「ランソン ブラック・ラベル ブリュット」 | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

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人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

土曜日は通う事にしとる図書館行くつもりが涼しくて午後眠ってしまった事もあり、今朝は珍しく6時ちょっち過ぎに起きた。

朝食は北家の鶴岡だだちゃ豆おこわを3つタジン鍋で蒸して食うた。デザートは山梨産ソルダム2個。
ニーナ・シモンのアルバム「ボルチモア」をレコードで聴いた。
筋トレ30分した。

牛乳飲んでぬるめの風呂に小一時間浸かって、太古、人間は採取狩猟して生きて来たの思い出させるポケモンGOでこれ迄家の中に引き籠りゲームに興じとったもんに散歩させるように仕向けた任天堂はえらいと考えとった。
昼食は松が谷の「カーサ カステリーニ」へ行き、2点から選んだのは小柱、ゴーヤ、とうもろこしのオイルソース・スパゲッティで、サラダとパンにエスプレッソが付き1080円也。そこでお爺ちゃん二人の都知事選の候補者談議が聞こえたんやが、その一人が頻りに鳥越が可哀相云うんや。週刊文春のネガティブキャンペーンの事かと思うたら、癌なのに担ぎ出された事やった。もし都知事になっても務まらぬちゅうんやけど、石原慎太郎なんか週2、3日しか登庁せんかったの有名で、猪瀬直樹も登庁週4日ちゅう話もあったし、舛添要一は公用車で湯河原にも登庁しとる余裕あったし、鳥越を担ぎ出した連中は十分務まる確信しとるんやろ。
スーパーで食糧調達し帰宅。

プロレスをユーチューブで見とったんやが、中邑真輔とフィン・ベイラーの2戦が中々。

土曜図書館サボった事もあり南千住図書館へ行き、週刊プロレスを読んだ。
もしかして優勝決定戦があるやもしれんと16時半に帰り、大相撲をラジオで聞いたが、すんなり日馬富士の優勝。
夕食はタイ産鶏肉、青森産人参、静岡産じゃが芋、茨城産ピーマンとエリンギをタジン鍋で蒸して食うた。デザートは山梨産桃。
由規の5年ぶり復活勝利を祝し、ヱビスビールを飲みながら寺久保エレナをユーチューブで聴いた。
ほな、昔のメモ書きから泡な話起こします。


風がそよとも動かぬ初夏の夜、半袖シャツの胸元開けたワテは団扇パタパタしながら脇に居る彼女が口動かすのを黙って見とった。鶴の湯の予約取れず不満タラタラなEみさんやった。
「ちゃんと聞いてる?」水色の薄物を着たEみさんが尋ねた。
「体はちょっちダラけて見えるかもしれへんけど、耳の方は正座して聞いてまっせ。一言云いたいんやが、キャンセル出とらんかと思うてここ来る直前にも宿に電話入れてみたんやでえ」
「でも取れてない。明らかにしなければいけないの、その責任だね」云うたEみさん、ワテの動かしていない方の手の甲抓った。
「痛いがな!」
「蚊に刺された位でしょ」
「マラリアに感染しとる蚊かもしれんやろ」
「おバカな事云って誤魔化そうとしても駄目だから。毎日電話してよね」
「これ迄お前様の為やったらと身を粉にして働いて来たワテや、云われんでもやりまっせ」
「寒い嘘だね」
「またその云い方かい。ワテは暑くてしょうないがな」云うたら、今度は腿抓られた。「痛いがな。嘘など云うとらんでえ、ソ連なのに疑うとは。ましてや猛暑なのに寒いなんて」
Eみさん言葉遮って、「Eみの心は凍えてるの。暑いのはねぇ、S吉が怠けてるからお天道様が怒って暑くしてるんだね。この儘予約取れないともっともっと暑くなるね」
「そんな事云うても、テレビでよう紹介される乳頭温泉郷は人気が高いから満室なの。黒湯も妙乃湯も孫六温泉も大釜温泉も混んどって取れんかったんや。それ、ワテのせいやないやろ」何遍したのかまた言い訳や。
「S吉は努力してないね。Eみはしてるでしょ」
{それ、この前云われた}とは思うたものの、これ以上機嫌損ねたくないんで相槌を打ち、「有難う」とだけ云うた。
「そうだょ、S吉の夏休みに合わせてお休みをとったの分かってるでしょ」云うて、ワテの脇腹突きながら「でしょ、でしょ」と続けた。
「お前様も努力しとるが、ワテもしとる事は理解して欲しいでえ」
けれども、ワテの主張は無視し、「だからぁ、日にち決まったその時に電話して予約しなきゃねぇ」と話蒸し返された。
「その時やなかったけど、翌日にはしたでえ」ワテも前に云うた事繰り返したがな。
「一日の違いで取れなかったのかも」
{それもこの前聞いた}とは思うたが、「Eみちゃん、相性が悪かったちゅう事で乳頭温泉郷は次回の行き先にしよ」と穏やかに云うた。
「ほんと執着心が足りないねぇ。旅行代理店に知り合いが居ないの?」
「旅行代理店にも乳頭温泉郷にも知り合いオランウータン。けど、M夫ちゃんやNっぺ、ひょうきん者の乳頭なら温泉で見とるから知っとる。Nっぺなんかそこを洗濯ばさみで挟んでやると喜ぶでえ」
「戯け者!」
「そないに大声出して。ストレス溜まるでえ」
「ストレス溜めようとしてるの誰かなぁ」と云うてから、わざとらしく大きな溜息や。
「ええもん出すさかい心鎮めてや」ワテは携えて来たビジネスバックを開け手を入れた。「今日はな、これ持って来ましてん。英国王室御用達やでえ」云うて、恭しく「ランソン ブラック・ラベル ブリュット」を出して見せた。
「シャンパン?」
「そうや、紛れもなく。それも由緒あるもんや。暑うなるとシュワシュワがええ云うお前様の為に奮発して買うて来ましたんやでえ」
「S吉が高いお酒出す時はいつも疚しい時さ」
ワテの言動の意図を全て理解してまう厄介なEみさんやった。
Eみさんは瓶を手に取って眺めとったが、「これ、飲んだ事あるょ」云うねん。
「え、どこでや」云うたワテの額には皺寄っとったと思う。「ワテ飲んだ事あらへんのに」
「忘れた」と素気ない。
「英国王室御用達の味忘れたんかい」
「味は憶えてるょ。切れ切れ。だから、さあ飲もう」云うて、「ランソン ブラック・ラベル ブリュット」をワテに渡し抜栓を促した。
「ちょっち待ちいな、冷えとらんやないか」
「時間もったいないょ。氷入れよう」そう云い終わらぬ内に立ち上がり、食器棚から出した大きめのワイングラスに冷蔵庫の氷入れて持って来た。
そして彼女は注ぐのも促した。
割り切れぬ気持ちで黄色な液体を二つのグラスに注ぎ、きめ細かな泡立ち見つつ、「やんごとなきシャンパン飲むのに、氷入れたワイングラスかい」と愚痴った。
「だって、シャンパングラスだと氷入らないょ」と云いながら手にしたグラスをグルグル回しとった。
「シャンパンを冷やせばええ事やろ。順序はしょるからや」
「合理的に処理したって事で」そう云うて、回す手を止め匂い嗅いで「いい香り」と呟いたと思うたらすぐ飲み干して云うた。「フルーティで切れ切れ」
「もうちょっち優雅に飲めんもんかなあ」
空いたグラス差し出したEみさんは「注いでょ」もう催促や。
急き立てられるようにワテも香り嗅ぐのそこそこに飲んだわ。「黄桃とかブリオッシュの香りで確かに酸味がしっかりしてシャープやな」
「でしょ~」
「余韻もええ」
「そうだぁ、マンゴーは持って来なかったの?S吉、シャンパンのブリュットにはマンゴーが合う、ロゼには苺が合うって云うでしょ」
ワテ、Eみさんの目見ながら云い訳した。「シャンパンだけでも重かったんや。理解してくれる?」
「これからデパートに買いに行く?Eみの為なら身を粉にして働く人だものねぇ」

Eみさん、暑うなって来よると、よう「スパークリングな季節だねぇ」とか「シュワシュワ会しよぅ」と云うとった。
確かに夏には花火が似合うようにシュワシュワが似合う。
しかし、あの時買うた「ランソン ブラック・ラベル ブリュット」の値段は今の倍近かったように記憶するんやけど、ワテの思い違いやろか?あれ以来飲んでないが、香りや味は変わっとるんやろか?