本郷大横丁 | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

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人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

今朝は7時半に起き、朝食には昨夜スーパーで買うとった半額のビリ辛海老チリ卵丼。デザートは愛媛産伊予柑。
カーリン・クローグ&アーチー・シェップのレコードアルバム「ハイ・フライ」を繰り返し聴いた。
筋トレ30分した。

「スパ・ラクーア」へと出掛け、その前に昼食は「アバ」に入って豚ロースのローストを注文。パンとサラダが付いて、1150円也。

「スパ・ラクーア」には12時半に入ったが、この時間帯は空いとって久し振りにリラックスラウンジでテレビも見られうたた寝もし、夕刻にはたっぷり温泉に浸り満足。ただ、水素水サーバーが無くなっとったのが残念。
先週T夫さんとJちゃんと今週もHJちゃんと一日しか酒飲んどらんさかいええやろと、夕食は「銀座ライオン 上野西郷会館店」に入り、りんごとプルーンのローストチキンなど食いながらヱビス ハーフ&ハーフ大ジョッキと柑橘香るペールエール360mlを一杯ずつ。
帰宅し、缶コーヒーチビチビ飲みながらアル・ヘイグ→キース・ジャレットの演奏をユーチューブで聴いた。


今日は10時ちょっち過ぎに出掛けて、今年初温泉の小石川温泉「スパ・ラクーア」へ。その前に「アバ」で昼食と決めとった。
大学最中が看板商品の「本郷三原堂」がある春日通りと本郷通りの交差点を渡り、本郷通りを御茶ノ水方向へ歩き、丸ノ内線本郷三丁目駅入り口には目もくれず旨いうどん店「こくわがた」も過ぎ去りりそな銀行本郷支店迄行って、その角を右折すると本郷大横丁の通りに入った。
この本郷大横丁の商店街、400メートルは無いと思う。飲食店が多いんやが、花を扱う店が三軒もありますんや。ええ匂い漂わす鰹節屋も中程にありまっせ。
今日のようにこの商店街にある「アバ」に昼食摂りに行く際や「スパ・ラクーア」へ行く際、そして、東京ドームに燕軍を応援しに行く際にはここを通るんや。
「アバ」は、本郷通りよりも新壱岐坂通りに近いところにあるビストロ。久し振りやったが、店主が居らず別の若い男が調理しとるやないか。それに、開店時間直後に入ったつもりなのに、食い終えて勘定しとる客が居るんや。給仕担当の女性に問うと、開店時間早めたんやて。ちょっち早く着いたんで、辺りうろうろしとったのに・・・
それで、石川啄木が本郷二丁目の床屋二階に間借りして住んどったの知ったからええか。
豚ロースのローストを注文したが、前よりもちょっち塩気が増したような気がした。
肉鱈腹食うて、{店主、今日は夕刻からのご出勤なんやろうか}とか思いつつ店を出て、両脇に東洋学園大学がある所に来て新壱岐坂に出た。左手の建物の壁面には目を引くモザイク模様の大きなレリーフがありまんねん。壱岐坂の目印や。
ここに来てレリーフ見るといつも思い出す事あんねん。年に何回も通る所やさかいその度に記憶は呼び戻されとる訳や。
本郷大横丁にしてももう薄れてしもたが、それはまだ昭和な商店街の面影残しとった十年前頃の事やった。「アバ」はまだ無かった。
本郷大横丁を通り過ぎレリーフに背を向けて新壱岐坂下ろうとした時、前方から野太い声発せられワテの苗字が二度聞こえた。見覚えのある中肉中背の男に呼び止められたんや。
とある飲み屋で隣席になり知り合うて話するようになったグループの中の一人が、目の前に来た。忘れてもええ顔やったけど、忘れさせてくれぬ類の淀んだ臭気があった。この人は、初対面ではおくびにも出さんかったが新興宗教にかぶれとって、その店は彼等の行きつけらしく、ワテ等が行く度に出くわして、三度目に会うた時から二人一組が膝乗り出してワテ等の席に来て連携しての勧誘が始まったんや。交友関係とか家族、電話番号知りたがっとった。宗教には関心が無い旨きっちり伝えても迷惑顔をしても、寄って来ては聞き飽きた同じ話しよるんで、彼等が語りたがらぬ事だけを知りたかったワテ等はその店からすっかり足遠のいたから、顔合わせるのはあの店最後に訪れて以来やった。名前は忘れてしもた顔や。
「ご無沙汰ですねえ。お元気で何よりです。今はどちらでお飲みになっていらっしゃるんですか?」と、ワテの真正面に立ち親しげに笑顔で話し掛けてきよったが、ワテは「奇遇やね」と応えるた後の言葉が口から出んかった。
それで、その人は笑顔崩さぬ儘、相変わらず今も知り合うた店へ通っとってそこの変わりのない様子や客の変遷などを喋っとったが、ワテが興味示さぬの分かっとるはずなのに「久し振りですからご一緒にお茶でも行きましょう」と、ワテの腕つかまんばかりなんで、「いや、ワテ友人と待ち合わせとって、時間無いねん。ほな、さいなら」と、野球の試合開始迄には大分間があったが、早口になり突如忙しくなったワテやった。
ところが、すぐにでもその場立ち去りたかったのやけれども、ワテの目の方は留まった一点からなかなか外れようとせず移動躊躇っとった。ちゅうのも、奴の隣に連れが居りましたんや。
正直云うと、男の顔見たのは誰なのか見極めた時のみで、後はその連れに見入っとりましたんや。単なる連れちゃいまっせ。ちょっと綺麗な位であれば「隅に置けまへんな、お連れの麗しい方紹介してえな」とか軽口叩くワテなんやが、そのコちいちゃいが顔立ち整ったごっつ美人やった。
男は傍らには誰も居ないかのように、ワテの視線は無視した儘喋っとった。
年齢が判然とせぬ美人は、身長は145センチ程でおかっぱ頭に化粧しとらんが、間違いなく成人で不思議な色気が感じられた。色白で目鼻立ちがクッキリしとって口小さいが下唇は厚かった。
ただ能面の如く表情は乏しいんや。
そのコの表情が動いたのは、ワテが「ほな、さいなら」云うた時だけでした。意味深な微笑したんや。
「飲みに行かれている店を教えてください。今度ご一緒しましょう」と、男が云う言葉が耳に入って我に返り、呪いが解けた如く目を離せたワテは一方的に別れの挨拶してそそくさとその場を去ったんや。
それだけの話やが、あの時の微笑が小骨のようにワテに深く刺さっとんねん。
ちいちゃな美人はあの男の何やったんやろ?彼女?仲良く東京ドームシティの遊園地で遊んだ帰りやろか?信教仲間?やはり新興宗教にかぶれとって、話したらワテを折伏したやろか?もしかして怪しげな神事に身を委ねとるんやろうか?
またしてもモザイク模様の大きなレリーフ眺めそない考えてしもた。もう幾度同じ想い膨らましとる事か。
新壱岐坂下り出し前見ると、白山通り沿いに東京ドームが見えた。来月にはプロ野球が始まるなあ。