『私の男』 | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

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人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

『私の男』☆☆

小川彩佳と観覧車乗ってはしゃいでた夢を見て嬉しかった今朝は7時半に起きたが、くしゃみ3連発で鼻詰まり。

カーリン・クローグ&アーチー・シェップのレコードアルバム「ハイ・フライ」を聴いた。
朝食は北海道産ゆめぴりか米でご飯炊き、くめ納豆、紀州産梅干で二膳。デザートは愛媛産伊予柑。花粉症薬飲んだ。
ギャオで「V シーズン2」を見た後、ローレンス・ダンモア監督「リバティーン」を見たんやが、ごっつええねん。ジョニー・デップが梅毒に罹り33歳の若さで死んだ第2代ロチェスター伯爵ジョン・ウィルモット演じとるんやが、破天荒ちゅう言葉とは彼の為にある。そして、あのジョン・マルコヴィッチが演じたのは王政復古で復活した国王チャールズ2世ですわ。また、ロザムンド・パイクがたぶらかされジョンの妻なったエリザベスで、サマンサ・モートンが野心満々ごっつプライド高い大根の女優やったがジョンの指導により当代一の女優に変貌する愛人エリザベスで、ケリー・ライリーが落ちぶれてしもたジョンを見捨てぬ娼婦ジェーンを演じとんのや。
昼食摂りに御徒町へ出掛け、「コションドール香味屋」で注文したのはAランチで、ローストポーク ペッパーソース、海老クリームコロッケ、チキンソテー トマトヴィネガーソースにスープ、ライス、コーヒーが付き950円也。今日のローストポークはソースがちょっち塩味強かったのが残念。
「まるごと南会津観光PRフェア」やっとった上野公園に寄り帰ったが、大寒桜は満開になっとって、寒緋桜は間もなく花開くがな。
夕食はカナダ産豚肉、栃木産ほうれん草、千葉産人参、北海道産玉ねぎを炒めご飯と食うた。デザートはグレープフルーツジュース入りヨーグルト。
筋トレ30分した。

一時間風呂に浸り、何だか権力握っとる安倍晋三政権は性急にいろいろ議会で法案通しとるが、川崎市立中学1年の殺害された男子生徒の家庭が象徴するワーキング・プア問題には冷たいわと考えとったプータローのワテやった。非正規労働者比率を下げ、正社員比率を上げなデフレ脱却出来ぬ。
湯船から上がり、牛乳飲みながらザ・ポインターシスターズのアルバム「ザッツ・ア・プレンティ」をレコードで聴いた。
それにしても、今日も花粉症の薬飲んどるのに帰宅後何発くしゃみした事か・・・辛い時節や。


一昨昨日、NN君が昨年観た邦画の第7位にした作品をキネカ大森で観て来た。
余談やが、女性に問うてみたい。あんたの夫或いは恋人を“私の男”と心から思えるかと。
男と女なんて、ふたりに愛があるからちゅうても流氷の上に乗っとるようなもんやがな。これ、負け惜しみやあらへん。
桜庭一樹による直木賞受賞作を、熊切和嘉が監督しとる空白抱えた親子の歪んだ共依存の話でんがな。
この作品は昨年いろいろ受賞したりしとるが、それこそ2010年代の邦画のレベルの低下示すもんやでえ。
ワテ、タイトルに惹かれこの作品の原作買うて読んどる。しかも、年来の友人DODとOKにこの本を素直な気持ちで薦めたんやが、ふたりが「近親相姦なんてあり得ない」と声揃えるんで、「生殖的に考えればや、近親相姦はごっつ危ういが、高齢出産かて危ういんやから、タブー意識無く育ってしもた者ならそないなまぐわいもありえへん事では無いやろ」と、また思うた儘に云うてしもて、ふたりから「そんな話をレディに向かってするなんて」と叱られた曰く付きの作品なんや。
ワテが原作読んどる映画は珍しいんやが、観終えた後で原作とはかなり異なる印象を抱いた。
興行サイドの要望受け入れたものと思われるが、児童性虐待の描写を原作より大幅にカットしとる事もある。
花の婚約者を美郎にしてはおらぬちゅう事もあるが、それだけやない。
勿論、結末ぽく無い終わり方が異なるちゅう事もあるが、それだけやない。
原作では現在から過去に遡って謎解きして行くんやが、この作品では時間通りに進んで行くちゅう事も印象が異なる要因であるんやが、要因は別にもある事は後述する。
物語は、奥尻島を襲った大地震による津波で家族を亡くし震災孤児になった女の子花と彼女を引き取った遠縁の海上保安官腐野淳悟が紋別の地で肩寄せ合い暮らしてゆくんやけど、この淳悟は超ドヘンタイで、恋人居るのにまだ幼い女の子に妻になり母になる事を渇望しよるのに、花はそれに応えるちゅうお話で、おぞましくも切ない物語になるはずやった。
この女の子花が性虐待の被害者である認識を育てて行く事が出来、嫌悪感を抱き、超ドヘンタイ淳悟を見事成敗して芽出度し芽出度しとなったんやない。
原作同様この映画でも親子が共依存の儘、女の子が近親相姦が許されぬ事であるのを知ってさえそれを積極的に行い、あたかも淳悟の妻になり母になりどんどん大きく歪んで変化してゆく事で存在しようとするのが怖いねん。哀しく居た堪れないんや。人間も促成栽培的成長は禍根生じさせるちゅう事やね。淳悟の方も変化してゆくんやけど、それは早い話が退行や。花ちゅう存在に吸い取られるかの如くか細くなって飢えだけの身になってゆくねん。大人は子供にすがりきってはあかんちゅう教訓やね。
主演の淳悟役には浅野忠信が、そして花に扮しとるのは二階堂ふみ。実の親子の設定にしては全く似てないんやが、ふたり共ええ味出しとったがな。
カメラを変えて行く撮影もええ。
しかしながら、脚本演出とも今市日光活きておらんのや。そやさかい、おぞましくも切ない物語になるはずやった手前で終わってしもた。
どうしてかとつらつら考えとったんやが、描いとる場面場面のつなぎ方と描かずに秘するところの設定に問題があるんやろなあ。
そやから例えば、淳悟と彼の実の娘やった花が初めてまぐわう背徳シーンがねっとり見えへん。
それから例えば、流氷上のシーンの撮影はごっつ寒かったろうが、それ地元で世話役しとる初老の遠縁大塩演じた藤竜也が懸命に花を諭しとる場面なんやけど、気の毒さはよう出とるんやけどそれだけに止まった。
例えば、ふたりが逃避行しながら絆を深めてゆくちゅうところが大事やが、実際逃げてる姿無く希薄に見えた。
そして例えば、大塩と田岡の関係をしっかり描いておらんから、東京に逃げた淳悟の前に疑惑抱いた田岡が現れてもデカが殺されただけに見えた。
また、原作同様の突っ込み所は、腐乱しとる死体との同居生活なんやけど、リアリティうすっぺらでんねん。
それに関連して、やはり原作同様の突っ込み所は、殺された田岡が行方不明となっとるのにもかかわらず警察は何しとんねん。
ちゅう訳で、桜庭一樹の原作を意識すると、この映画の評価はもう一段落ちフツーランクなんやけど、別物として考え☆☆としましたわ。
確かに『私の男』は生理的に受け入れてはあかん近親相姦もんやけど、肉欲にまでは行かんけど周り見渡すと結構居りますやろ、自立出来とらんべったり共依存の親子。そないな人達こそ原作読んだりこの映画観なならんわな。