柴又帝釈天から矢切の渡しへ | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

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人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

昨夜、ラジオ「ジャズ・トゥナイト」を最後迄聴いとったんで、今朝起きたのは9時ちょっち前で、朝食は鹿児島産安納芋3本。デザートは奈良産富有柿。
オーネット・コールマンの生き生きしたアルバム「ゴールデン・サークル」とセシル・テイラーの叙情的なアルバム「黙舌」をレコードで聴いた。
昼食は松が谷「カーサ カステリーニ」に行き、ミートソースと芽キャベツのパスタランチ。サラダとバゲットにコーヒーが付いて1080円也。
満足して帰宅。

中途半端な儘にしとる本と雑誌の整理をまたせなならんと思いつつも、寺久保エレナのサックス演奏をユーチューブで聴いとった。
筋トレ小一時間した。

夕食にはブラジル産鶏肉、熊本産トマトに日高産モッツァレラチーズも入れて鶏肉とトマトのチーズ・パスタつくって食うた。デザートはタルトタタン。
風呂に一時間浸り、今朝見た夢の事考えとった。それは賭場は無人島に設置し、胴元は日本企業のみにし、外国人観光客のみにやらせ、どうしてもやりたい日本人には入場料10万円取るちゅう主張を街頭でしとるもんやった。こないな夢やったのは、飲み会での友人達が統合型リゾート推進法案に余り興味がなさげでワテの主張を聞いてくれぬからに違いない。
ほな、昔のメモ書き写しますわ。Wみさんが鬼に見えた時や。


今日、Wみさんがパールハーバー・アタックのようにワテん所へ乗り込んで来て、憲兵の如く事細かく家捜しした。そして、遂に机の引き出しに入れとった書き溜めたこれ迄ガールフレンドとの遣り取りのメモを見つけられビリビリに破かれてしもた・・・
ワテ、ダンゴ虫のように丸くなって、その後暫し抜け殻の如くなったがな。
この前、南蔵院見たいとか理由付けて来た時は、やはりワテの住まいの確認やったんや。そや、一昨日の電話で今日在宅しとるの確認されたなあ、と気付いたが既に遅かった。あの時はどうしてもワテの住まい見たい様子は無く、寄らずに帰ったからホッとしとったのがあかんかった。
「陰気な顔してる。まだ諦め切れないの、男らしくないよ」
「Wみの仕打ちで鬱屈を溜めこんどんねん」
「そう、気懸かりが消えてすっきりしたけど」
「お前様はそうかもしらんが・・今のワテ、人生に虚しさ感じとんねん」
「人生にはそういう時もあるわね」
「荒っぽい事しといてよう云うわ。脚本家になる為にしとった今迄の地道な努力がさっき消え去ってしもた」云うて、深い溜息ついた。
「過去を振り向かないの。これから幾らでも書けるじゃん」
「他人の向上心を奪う事しといて」
言葉遮って彼女は云うた。「楽しい過去が無くなった訳ではないし、未来は閉ざされてないじゃん」
「トラウマになったがな」
「トラウマに引き籠る必要はないわ。意志の持ち様次第だから」
「簡単に云わんといて」
「さあ、立ち上がって。これから思い出づくりに協力するわ」
ちゅう訳で、ワテん所から狼藉者Wみさんに曳かれるようにして柴又帝釈天へトボトボ歩いたんや。矢切の渡し迄行くと云う。
柴又帝釈天には一度だけしか行ってなかった。近くの水道局営業所には水道代の督促状が来て二回払いに行って、そのついでに仲見世通りに脚伸ばして草団子買うたけどな。
煎餅屋、飴屋、川魚料理屋、佃煮屋、それに団子屋「とらや」もあるが、フーテンの寅の実家のモデルとなったのは趣ある建物の団子屋「高木屋」で、それらの店が軒を連ねとる参道歩き柴又帝釈天に着いたが、正式名称は題経寺やったんや。
増長天と広目天居る二階建ての立派な山門くぐると境内はそこそこ広い。
盆栽デカくしたような松が植わっとる。車寅次郎の産湯にされたちゅう御神水もある。
見事なのは帝釈堂に施されとる細かな浮き彫り彫刻ですわ。
帝釈天を江戸川方向へ抜けて行くと、「山本亭」があった。
Wみさんが観覧料払うてくれた。もしかして、罪滅ぼし?
知らんかったが、ごっつええ庭ですわ。書院造りと洋風建築が合わさった大正時代に建てられた家もええ。
長閑な光景の江戸川土手に上がると、手漕ぎの渡し船が川岸往復しとる矢切の渡しや。川向うは松戸。
心地ええ風が頬撫でた。ワテん所出た時より空には雲が増えとった。
「鬱々としたもんがわだかまっとんねんけど」そう云うてみた。
「それより、あそこのカップル見て」云うて、顎しゃくって100m程離れた二人示し、付け加えた。「イチャイチャしてるの後ろめたさないのかな?」
口には出さんかったが、{お前様の方こそ、今日のワテに対する仕打ちに後ろめたさ無いんかい}と毒づいたわ。

あの日は女の怖さ見せ付けられた。
メモ読み返してみて、ワテが平和主義者なの改めて認識したがな。乱暴な男やったら激情抑えきれず殴りかかっとるところやでえ。
苦い思いから学んで、それからは異性との遣り取り書いたもんは絶対に見付からぬよう意外な場所に隠す事にしたわ。そやから、Eみさんが乗り込んだ時には、Wみさんとの遣り取り書いたもんは無事やった。
そう云えば、Wみさんと行った頃には無かったが、今は柴又駅前広場には振り返った姿のフーテンの寅こと車寅次郎の銅像が出来とる。
どうもしっくりこん。「結構毛だらけ猫灰だらけ、お尻の周りは糞だらけ」云う寅一人だけやからや。少なくとも異母妹さくらとおいちゃん、おばちゃんが居らんとなあ。「男はつらいよ」ちゅうのは、家族の物語なんやからなあ。