三斗小屋温泉「大黒屋」 | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

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人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

今朝は9時ちょっち前に起きたらくしゃみ8連発鼻水タラ~リで、茨城下妻市産こしひかりのご飯、くめ納豆、海苔で朝食摂り、デザートはビタミンC補給に静岡産みかん3個。
風邪薬飲んで、鈴木良雄と鈴木勲、ふたりのべーシストをユーチューブで聴いとった。
正午過ぎてから昼食に自転車に乗りかっぱ橋本通り「佐藤」へ出掛け、ジャズを聴きながら日替わりランチの牛タンシチュー食うた。やはり旨い。年始はいつから営業するのかと問うと、佐藤氏は二日からや云う。よう働きますなあ。
千束「三島屋」で1個80円の作りたての今川焼きを3個買うて、近所の公園のベンチに腰掛け二つ食うて満足。
郵便局へ立ち寄りカレンダーを受け取り帰宅。
まだ尻の肉が少ないんで、自転車長時間乗るのは厳しい事を実感。
M夫ちゃんに葉書認めた後、プロレスをユーチューブで見とった。
夕食は岩手産鶏肉、鹿児島産南瓜、岐阜産空心菜、群馬産ほうれん草入れた鍋でご飯二膳食うた。デザートは青森産りんご。
小一時間風呂に入り、一昨夜マッシモさん、ムムッちゃんと盛り上がった温泉ツアーの事思い起こしとった。

牛乳飲みながらギル・エバンスとマリア・シュナイダーをユーチューブで聴いた。
Wみさん、Eみさんとや友人達とのだけでなく、行った温泉ツアーの行程は一人旅も含め詳細にメモ書きして残しておけばよかったなあ、この頃そないつくづく思うねん。

 


一昨夜、忘年会望年会花盛りの一昨夜は30店以上電話掛けなんとか予約出来とった浅草のワイン居酒屋へと会社を出て急いだ。
指定時間を20分遅れて店に到着。マッシモさんとムムッちゃんは舶来ビール飲みながらワテを待って居った。有り難い事にワテを励ますちゅう会を設けてくれたんや。
ふたりと旧交温め、ごっつう懐かしい旅行話に花が咲いた。マッシモさんは会社の同僚でたまにワテ主催のホルモン会で一緒していたが、ムムッちゃんとは四半世紀振りやった。彼女、来年は五十路や云う。時が経つのは早いなあ。
ふたりとはS雄さん等5、6人で旅行し、これまで三斗小屋温泉、湯ノ花温泉、龍泉洞温泉、老神温泉と四箇所の温泉宿に泊まった仲や。
その中でも三斗小屋温泉「大黒屋」へ行った時の事は忘れられぬ。

このランプの宿に居った時、皆で一体何を話したのかさっぱり憶えとらんのやけど、楽しい会話しとったような気がすんねん。

ふたりが鮮やかに憶えとるのは、ワテの登る姿やねん。「Sさん、スーツ姿でビジネスシューズ履いて来てた」そうマッシモさんに云われ、「信じられなかった」と、ムムッちゃんに大きな声で笑われた。
「ワテが場所決めて宿の手配もし、調べたら道中特に難所も無いし、そないな服装でさえ行けるの、まるっとお見通しやった」と、ふたりには強がり云うたが、ほんまは大変やった。

ほな、メモ書き写しますわ。

 

86年の秋、S雄さん、マッシモさん、ムムッちゃん、Tell me、山本君(♀)の5人にワテが合流した形で奥那須の三斗小屋温泉「大黒屋」へ行った。
大黒屋とはどこにでもありそうな宿の名やが、本来なら行くのに登山装備が必要な山の湯なんですわ。
けどな、ワテ、その直前迄東北出張しとって、旅行前夜はほんま残念なんやがもう既に廃業してしもた福島でとても親しくしていただいた会社の社長A彦さんと丁度当日になる時間迄飲んどって、福島市のホテル泊したんや。
だから、スーツの上着を脱ぎネクタイ外しただけで、ビジネスシューズ履いて商談へ行く格好して山登りしたんや。それもちっちゃな山やないでえ、宿泊すんのは那須ロープウェイ山頂駅からは歩いてしか行けへん山懐の秘湯やからな。
まずは栃木と福島との県境に連なる那須岳の日本百名山に名を連ねる茶臼岳へ行ったんや。
ロープウェイ山頂駅に着くと晴れ亘り気分爽快、秋の空気を深呼吸した。既にそこが九合目やさかい天辺へは山登り初心者でも残り小一時間やが、千九百メートル超える山頂へ登るのは整備されとるとはいえ容易くはない。ましてやワテ、フツーの革靴やでえ。
道は最初から急な登りやった。
でもな、見渡せばそこここで硫黄ガスが噴出しとる活火山茶臼岳の山頂へ、ワテは汗掻きながら一所懸命上がったんや。そこで見た景色はもう忘れてしもたけど硫黄臭が記憶に留まっとる。
茶臼岳山頂から山の西側にある温泉宿迄はもう一時間強掛かるんや。
周りの人々は、ビジネスマンが大き目のバック持ち登山道歩いとるの好奇の目で見とったわ。
ええ天気の日やったからよかったが悪天候やったらどないするつもりやったんか?会社の山の会に属して山の怖さ知っとったのに、今戻って考えると軽薄この上無いでえ。
しかしや、ワテは黒磯の酒屋で買うたビール4本をボストンバックに詰めて颯爽と登っておった。山の上のビールは高い金取られるからな。
そして、ビジネスマンはそのまま宿迄颯爽と着けるはずやった・・・
ところが、あろう事かその内冷や汗が出てきよったんや。途端に疲れが押し寄せる感じがした。
沼原分岐から戻るように歩き、ミネラル豊富そうな延命水が出とる所の手前での事やった。
延命水を飲み、それからゆっくりと引き返したわ。
ワテの健康を損なう何物かが体内でうごめいていたんや。
落伍する事なく何とか歩み続けて、那須岳登山の拠点と云える三斗小屋温泉の旅籠っぽい建物の「大黒屋」へと着く事が出来たがな。

ところが、安堵したのも束の間やった。荷物を放り投げるように置き、トイレで小用を済ませると血尿が出たんや!生まれて初めての事やった。
溜まった疲れからやろか?それとも吸い込んだ火山ガスのせいやろか?
暫くゴロンと横になり休むと体調は嘘のように回復し、その後はもう尿に血がまじる事も無かった。
三斗小屋温泉には温泉宿が二軒隣り合って建っとる。共に木造二階建ての建物や。
ワテ等が泊まった「大黒屋」は、古びた木造で湯治宿と云うた雰囲気が色濃くてええ。夜はランプが灯り風情楽しめたわ。
客は登山者が多く、その日は満員やった。
そやから、灯りがある時間迄しか入れぬ風呂が混んどった。登山したんでゆっくり浸ってたいものの、人が次々入りに来るんで難しかった。
湯の泉質は無色透明な単純温泉で、趣のある木製浴室やった。他に小ぢんまりした岩風呂もあった。
ここの風呂は内湯のみで、隣の「煙草屋旅館」が宿の上に設えた岩造りの野天風呂が羨ましかったがな。ワテは煙草嫌いゆえ、「大黒屋」の方を選んだんやが、その時は悔やんだわ。
夕食は山の宿らしく早い時間に設定され、質素な料理やが、山登って来とるんで腹空いとるから旨く感じた。
ここがええのは飯が旨く食えるだけや勿論ない。標高からして山々の眺望が満喫出来る。
そして、取って置きはな、夜に分かる。天上の瞬く星空が明るい事知る時がやって来るんや。満天の星が眺められる贅沢な時を過ごせまんねん。
♂♀雑魚寝での就寝となったのやが、21時になると山時間ちゅうやつでもう消灯時間。この早さ、体力回復にはええのかもしらんけど、馴染んだ寝入る時間よりかなり早く、なかなか寝付けず簡単には夢に辿り着けなかったわ。
翌日の起きてから帰り道の事迄、なぜか全く記憶に無いねん。朝は叩き起こされたに違いないが、すっきりと目覚めたのやろか?
そして、血尿は大事には至らなかった。帰宅後にも血尿は出とらん。

兎も角、三斗小屋温泉は別天地やった。