福岡便り6月号
福岡便り6月号2026年5月24日 松本徹編集本田技研が創業以来始めての赤字に陥った。OBの僕としては非常に残念な思いだ。Yahoo!ニュース、YouTube等でこの件に関して様々な意見がある様だが、どれも他人事の様な記事が多い。本田の内部を知っている僕の意見はシンプルで現在の社長は責任を取って辞任するべきだ。この様なシンプルな判断が出来ない今の本田はかなり重症だと言わざるを得ない。社長が変わって以来本田の自動車のデザインはワクワク感がなくなり欲しい車がなくなったのは事実だ。だから僕自身本田を辞めて以来トヨタの車に乗っている。さてこの福岡便りも今月号と7月号を発行するとタイトルを変える事になると思う。8月からは横浜便りになると考えているが、僕は初めて横浜の鴨居にマンションを購入した。これから先も鴨居に戻る事はないと思うが、鴨居でこの便りを編集していてもタイトルは鴨居便りではなくきっと横浜便りにしていたと思う。当時の僕は宇都宮の本田マンションで生活していた。子供2人を森村学園に入学させていたので、単身赴任と言う道を選んだが、今でもこの選択は間違えなかったと考えている。森村に通学出来る事を前提に鴨居にマンションを購入し、僕は週末宇都宮から鴨居に戻った。この様な生活を長く続けた。この間地下鉄サリン事件が起こったり、阪神淡路大震災も発生した。世の中はバブルが弾け諦めムードが漂っていたなか、これらの出来事で日本全体が暗い雰囲気に包まれていた。本田もこの当時今と同じで売れる車がなかった。そんな事もあってバイクの研究所のメンバー500人程度栃木研究所に移動して頑張った。僕は栃木研究所のメンバーとは馴染めず朝霞研究所のメンバーとここでも一緒に仕事をした。当時の栃木研究所には上から目線で話すメンバーが多く同じ会社の社員とは思えない独特の雰囲気があった。正直とても遣り難かった。僕は栃木研究所でも表面処理の仕事に従事し、様々な製品を世に送り出し。例えばNSXの鍛造ホイールにクロムメッキを施し販売もしたし、部分的にアルミ材を採用した自動車の表面処理も開発した。この開発は後に表面技術に取り上げられ、この技術のベースを作らせて貰った。しかし色々な事が重なり、僕は本田をあっさりと辞める事にした。結局本田では良い上司に巡り会うことは出来ず尖った変な上司とばかり出会うことになった。その後広島で燃費向上の技術開発に挑戦し、会社は何とか立ち上げる事になった。それから愛知県に行きトヨタ紡織で仕事を始めた。トヨタ紡織は豊田さんが始めた立ち上げた会社で様々な困難を乗り越え軌道に乗せた会社なのだ。大正時代には既に上海に支社があった事には驚かされる。その後豊田織機を作りこの会社の中に自動車部門を作る事になる。トヨタ紡織時代はトヨタ車体OBの小原さん青木さんに大変良くして頂いた。またトヨタ自動車OBの武田さん谷口さんにもお世話になった。武田さんは数年前に亡くられたが、今は息子さんと交流させて頂いている。お世話になった先輩方に品質の重要性を教えて頂き今の僕の血と肉になっている。トヨタのすごい所は問題が発生した時みんな同じ方向を向いて仕事をするパワーがある事だ。長年TPSを現地現物で教え込まれたトヨタマンだから出来る神業なのだ。例えばトヨタ以外の会社で仕事をやるとこうはいかない。例えば締め付け工程では必ず検査トルクを測定してその結果をX(BAR)-R管理図で異常管理を実施する必要があるのだが、この様な管理は当たり前なの事なのだが、この当たり前が出来ない会社が多くあることに驚く事がある。この様な話しを中国ですると、それはトヨタだから出来る事だと言われる。TPSを取り入れたいと言う中国の経営者には多くいるが、本気で取り入れようとする会社は稀だ。それでも何とかして品質の重要性を分かって貰うために小説にこの事を書いて発売したり、この便りを書き続けている。そうして気がつくと46年の月日が流れていた。だから今仕事をしているフォルシアジャパンでも僕の経験した事を何とかして伝えたく頑張っている。ある会社に行ってその会社の経営者に5S、日常管理、変化点管理は三種の神器なので愚直に実施して欲しいと伝えるとそんな事を守っていると生産は出来ないと言われた。しかしこれを守らないと品質の良い製品は出来ないのだ。物つくりの世界はいかに心の篭った製品を作るかに、その真髄はあるのだが、開発に趣を置くと品質が蔑ろにされてします。僕はHY戦争を経験し1年間で130車種以上のバイクを世に送り出した。しかし品質を蔑ろにしたため、その後クレームが山の様に戻って来た。今の中国の自動車の開発合戦を見ていると当時のHY戦争の事が頭を過った。7月までフォルシアジャパンで仕事をする予定であるが、この僕の思いを何とかして伝えたく、先日太田社長に小説をプレゼントさせて頂いた。8月SOP。これからが本当の正念場だと考えている。