コーンは1800年代終わりころから金管楽器のマウスピース等を作っていたようです。
コーンさんは色々な事業を手掛けていたようで、楽器の製造もその一つでした。
金管楽器、木管楽器、弦楽器、最終的には電子楽器まで製造していたようで、今で言えばヤマハのような総合楽器メーカーと言えますね。
コーンは1970年頃に破産したようで、その後、工場が売却されたり、会社が合併したりで、ブランド名のみ残りました。
サックスは1888年頃から作られていたようです。
最初のモデルはワンダーというモデルになります。
この頃のコーンの楽器は、ほかの金管楽器などでもワンダーモデルという名前で製造されていたという事です。
コーンのサックスと言えばチャーリーパーカーやデクスターゴードン、レスターヤング等、ジャズジャイアントと呼ばれる方が多く愛用していました。
またコーンのサックスの特徴としては、トーンホールが上から下までまっすぐ配置されているインラインになっていることと、トーンホールの淵が丸く曲げられているカーリングトーンホールが有名です。
カーリングトーンホールはシリアル325000くらいからコストダウンにより無くなります。
アメリカのビンテージサックスはヨーロッパのサックスとは音のイメージが違い、柔らかさと抜けの良さが両立しているのが特徴です。
音色のキラキラ感や圧倒的なボリュームはありませんが音の密度と吹いた時の気持ちよさは特筆すべきものがあります。
コーンはそんなアメリカンビンテージサックスの代表と言えるでしょう。
コーンのサックスはキーの配置も今のサックスとは少し異なります。
というよりセルマーSBA以前の古いサックスはみな同じですが、テーブルキーの配置が異なっていて、今のサックスに慣れている人にとっては少し戸惑うかもしれません。慣れですけどね。
ちなみに今現在もコーンというブランドの楽器は販売されていますが、名前が残っているだけで、楽器としては全く別物です。
コーンのサックスを古いものから紹介すると、
・ワンダーモデル
1888年から製造されていたモデルで、コーン最初のモデル。
マイナーチェンジが何度かあったようですがシリアルナンバー0~32499くらいまで。
・ニューワンダー Ⅰ
1915年から作られてたモデルで、1925年まで10年間作られました。
レスターヤングが使っていたのはこの辺りではないでしょうか。
今でも時々見かけます。
シリアルナンバーは32500~145000くらいまで。
・ニューワンダー Ⅱ チューベリー
1925年から1930年くらいまで。
前モデルのニューワンダー 1とそんなに変わらないですが細かな変更があったようです。
チューベリーさんが使っていたモデルという事みたいです。
シリアルは145000~245000くらいまで。
ニューワンダーからMモデルの間に存在する移行期にあたるモデル。
ニューワンダーっぽい物や、Mモデルっぽい物も存在します。
シリアルは245000~259999まで。
・Mモデル(ネイキッドレディ)
1934年~1962年くらいまで。
コーンで一番有かもしれません。チャーリーパーカーやデクスターゴードンが使用していたことで有名です。
シリアル260000~940000くらいまで。
ただし325000くらいからコストダウンが始まるため、カーリングトーンホールが無くなり、デザインもだんだんと変わっていきます。工場もアメリカからメキシコへ変わります。
・Mカスタムモデル (コンクウェ―ラー)
1935年~1943年まで。
Mモデルと並行して製造されていたカスタムモデルで、コーンで一番高級なモデルでした。
キーシステムも普通のMモデルとは異なります。
シリアル263500~309000くらいまで。
・28M (コンステレーション)
1950年~1952年まで。
コーンサックス最後のモデル。
ベルのキーガードがプラスチックで出来ているのがとても印象的なモデル。
未来っぽいイメージで作ったんですかね?
シリアル328000~351000くらいまで。
またこれらの他にも調がCのCメロサックス、調がFのF Mezzo ソプラノ、ベルの先端に丸いボール見たいなものが付いたConn o サックス等の珍しいモデルも多く存在したようです。
という事でコーンのサックスの特徴は、
・アメリカンビンテージサックスの代表で、多くのジャズプレイヤーに愛されたサックス。
・トーンホールがインラインで配置され、トーンホールの淵が曲げられた、カーリングトーンホールが特徴。
・音量はさほどなく、キラキラした音色ではないが、柔らかく、抜けの良い音。
・現代のサックスとは設計が異なるため、合うマウスピースを探すのが手間かも?
といったところでしょうか。
現代で使うとなるとなかなか状態の良い物もないですし、運指などネガティブな部分もありますが、もし機会があればぜひ体験してみてください。
サックスのイメージがガラッと変わるかもしれませんよ!
ジャズトリガースクール
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