本当に久しぶりのブログ更新!
やはりじっくり書きたいことを書くのはブログかなーと思いこちらに。
JazzoomCafeウクレレ活動10周年記念CD
「Ukulele Blue」自身では5枚目のフルアルバムになります。
これまでのアルバムは、ウクレレ・プレイヤーとしての言わばアイデンティティの結晶でした。
1枚目はウクレレでやりたいこと、挑戦したいこと。
2枚目はその延長。
3枚目はウクレレ一本(テナー)の独奏。
4枚目はセイレンの弦楽器を使用した音楽。
それぞれ、その時にやりたいことではあったが、
今思うと何か欠けた視点があった。
“本来、ウクレレとはどういったものなのか”
どうしてそこにこだわり始めたのかというと、
あるTV番組の取材の話が来た打ち合わせの時だった。
もちろん、僕もウクレレ教室の校長なので、
開校時から今日まで、歴史的、文献的な見地からのウクレレを学んできました。
でもその時に番組のプロデューサーさんに、
「他の楽器にはできないウクレレの魅力とは?」。
「ウクレレは、なぜか友人が増える」
「100人一緒でステージに立てる」
「6歳から100歳までおなじサイズ」
「ポロンと癒しの周波数」
「軽くて、ケースもオシャレ」
など枚挙にいとまがないほど、語った。
でも、今思うと、いわゆるもっと端的な一言が必要だったのかも。
そんな時、ソプラノ・ウクレレの正体に近づくある2つのきっかけがあった。
一つは、ウクレレの神様“Ohta-san”の出したアルバム「AmazingUkulele」だ。
ずっとOhta-sanのアルバムを聴いてきたが、
87歳という演奏ではない。
まず気になったのがソプラノの音色だ。
ま、OhtaさんはLowGのソプラノロングネックなので、サウンドも結構違うとは思いますが。
2つ目は、11月のエバラ健太とのLIVEだった。
私はこの「向き合って同じテーマを弾き合う」というスタイルが好きだ。
そのアーティストの呼吸というか、テイストが存分に味わえてインスパイアされる。
その時に間近で彼の演奏を見て、
「このソプラノサウンドいいなぁ」と思った。
その日から「ソプラノ・ウクレレサウンド」と定評のCDを聴きまくり、システムに波形を取り込み研究した。
そこである一つの共通点に気づいた。
どの音源も「250hzから500hzの周波数帯域が強い」のだ。
周波数・・・・。
数日間、この単語が頭の中を駆け巡った。
何度もこの周波数のソプラノ・ウクレレ楽曲を
聴きながら、近いサウンドの楽器を見つけた。
“Martin Style 3M”シリーズだ。
何箇所か試奏したが、何とも理想のサウンドのウクレレが見つからなかった。
そして阿佐ヶ谷のウクレレ・バードさんで見つけたのがこれだ。
これは目指していた350hzを中心としたサウンドだけでなく、残響の切れ目も見事でした。
「ポコっ」としたサウンド!350mmスケールで12フレットジョイントのHigh-G。
ここがまだ研究しきれていないのですが、
おそらくペグの種類も大きな理由の一つではないか。
近代的なギアペグと、フリクションペグで、
最もサウンドに変化があるのは残響感だ。
人気のギアペグは残響に特徴がありすぎて、
同じサウンドになりやすい。なので、フリクションペグ系を探した。
このウクレレは高山康夫さんが、1世紀前の家具のホンジュラス・マホガニーから作成したと聞いたが、振動感も申し分ない。
いろんな人が口にする「ソプラノ・ウクレレらしいポコっとした音」この正体の一つは「周波数帯」「残響感」だと思う。
(まだ探求中で、確信はないが、要素の一つではあると思う)
この楽器ならではのサウンド。
それこそがソプラノ・ウクレレのサウンドかもしれない。
以前Walt Disney recordsのオムニバスのレコーディングに参加させて頂いた際に、有名なサウンドプロデューサーさんとご一緒させて頂いた。
その際にこう言われた。
「うっちぃ。16ビートのカッティングならエレキギターでいい。ナイロン弦のアタッキーなサウンドが欲しいなら、ガットギターでいい。
このウクレレでないと表現できないサウンドの世界観ってどういうものだ?」
その言葉が忘れられない。
楽器は本来、音色が勝負だ。
今回は初めてそういった「ウクレレ本来がもつサウンド」に執着した作品にしたかった。
レコーディングのマイクも2本同時の相性に悩まされ、何度も変えて、結局この2本にした。
つじあやのさんが、「いろいろ高価なコンデンサーマイクで試したが、サウンドはSM57/58がピンときた」と
話していたのを思い出した。
今回は頼んでいたエンジニアさんがどうしても硬い音を作ってしまうので、録音も自分自身で行うことにした。
(僕の伝え方も悪かったのかもしれません。。。)
「ウクレレは、ギターとは違う」
このアルバムは、そのサウンドに追求し始めた私の処女作とも言えるかもしれない。
Ohta-sanや、関口さん、キヨシ小林さん、
かどくらたかひろさん、まいたけさん、
台湾のHankなんかともじっくり、酒でも飲みながら話し合ってみたいですね。
それにしても、テナーサイズのストラップがっちり固定で超絶演奏のスタイルだった僕には、まだまだ弾きにくいww。
この旅はもう少し続きそうです。