ジャズピアノ初心者がアドリブ(即興演奏)が苦手な理由 | 池袋のジャズピアノレッスン

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ジャズピアノ初心者がアドリブ(即興演奏)が苦手な理由

こんにちは。池袋のジャズピアノレッスン講師のヨッシー佐藤です。

自由に弾いてみて!と言われて頭が真っ白になってしまった・・・

急にアドリブソロ弾いてと言われても、何をどうすればいいの・・・

即興演奏はつかみどころがなくて・・・

ジャズピアノ初心者の方で、いきなりアドリブをしてみましょう!と言われて困った経験がある方もいらっしゃると思います。

また、自由に弾いてみたとしても、本当にこれでいいの?と頭がモヤモヤされた経験がある方もいらっしゃると思います。

いくら好きに弾いていいですよ・・・と言われても、お手本も何もなければ心配になってしまいますよね。

今回は、こうしたアドリブ初心者の方がジャズピアノを習い始めた時にぶつかる最初の壁と壁を乗り越える方法についてご紹介したいと思います。

今回の内容はジャズピアノだけのお話ではなく、何か新しい道を切り開いていく時に共通した考え方になりますので、是非ジャズピアノ以外にも応用していただけたらと思います。

ジャズピアノ初心者がアドリブが苦手な理由その1

アドリブが苦手な多くのジャズピアノ初心者の方に共通しているのは、「正解と不正解という答えを出したがる」ところです。

例えば、普通のピアノのレッスンを受けていた方は、課題曲があり、課題曲を正確に弾くという経験をされます。

譜面どおりに弾けることが「正解」で、ミスをすることが「不正解」になります。

当然、譜面どおりに「正解」を弾けると達成感も生まれ、「正解」を弾けることで「安心感」が生まれます。

また、学校の授業でも、テストで正解を答えることで、成績も上がり、よい評価を受けることになります。

マークシートで「正解」を答えられることで、安心感が生まれます。

ピアノのレッスンでも、学校のテストでも、常に「正解」と「不正解」が区別されるので、多くの人が「正解と不正解という答えがある」という考え方に慣れていきます。

ところが、ジャズの世界はこの「正解と不正解の区別」が曖昧なのです。

アドリブで、間違えたはずが逆にカッコよくなったり、セオリーどおりの演奏が逆につまらなくなってしまったり・・・ということは日常茶飯事なのです。

分かりやすいように、少しジャズピアノの世界を離れて、試しにレゴ(LEGO)での遊びを考えてみましょう。

小さな頃に、お友達とレゴのパーツを組み合わせて、家を作ったり、船を作って遊んだことのある方は多いと思います。

例えば、レゴで同じ家を作るにしても、お友達の作る家と、自分が作った家とは、カラーの組み合わせも、形も違っていたと思います。

こうした違いが生まれたのは、家を作ろうと思った時に、お友だちと自分とでは頭の中でのイメージが違うからです。

なので、お友達がレゴで作った家も「正解」で、自分が作った家も「正解」になるのです。

ジャズピアノのアドリブは、まさにこのレゴでの家作りと同じことが当てはまります。

つまり、「正解が無数に生まれる」のがジャズのアドリブになります。

ジャズピアノ初心者の方は、まず「無数の正解が生まれる世界がある」という理解が大切になってきます。

ジャズピアノ初心者がアドリブが苦手な理由その2

アドリブが苦手な多くのジャズピアノ初心者の方に共通しているのが、他の人たちと演奏した体験が極端に少ないことです。

ピアノという楽器は「小さなオーケストラ」と言われ、1人で演奏しても音楽が成立します。

なので、音楽を楽しもうと思えば、1人でも楽しめてしまうのです。

ところが、ベースやドラムといったピアノ以外の楽器は、1人では音楽が成立しません。

つまり、最初から他の人たちと演奏を合わせる事が前提となっている楽器なのです。

他の人たちと演奏を合わせる中で、気持ちのよいリズムが生まれたり、カッコいいフレーズが生まれると「今のいいね!」という評価が生まれます。

ところが、1人で演奏していると、他の人たちからの評価がもらえません。

また、譜面どおりに弾けることが自分自身に対する唯一の評価の基準になってしまいがちになってしまうのです。

なので、アドリブをしても、他の人たちからの評価という視点が生まれず、「本当にこれでいいの・・・?」と自分1人で悩んでしまうのです。

さらに、一般的なピアノの世界では、書かれた譜面という「正解」が最初に提示されます。

つまり、「最初から答えを教えてもらえる」という世界です。

ところが、ジャズピアノの世界は「自分で答えを探していく」という、全く真逆な世界です。

つまり、「本当にこれでいいの・・・?」という頭がモヤモヤした状態は、常に存在するのです。

「本当にこれでいいの・・・?」という答えを探すために、様々なアンサンブルを経験していくのです。

なので、ジャズピアノ初心者の方には、ジャズの世界では「答えは自分で探していくのが前提」であることを、理解していただければと思います。

ジャズピアノ初心者がアドリブが苦手な理由その3

アドリブが苦手な多くのジャズピアノ初心者の方に共通しているのが、「音楽を聴く量が圧倒的に少ないこと」です。

僕はレッスンで、「リスニングダイアリーをつくてくださいね!」と生徒さんたちにオススメしています。

先ほど、ジャズピアノの世界は、「自分で答えを探していくのが前提」とご紹介しましたが、答え探しのひとつがリスニングなのです。

逆に、答えを探しているから、必然的に「誰かの演奏を聴いて、ヒントを得よう!」という発想につながるのです。

なので、アンサンブルでも、常に他の人たちがどのように演奏しているのか?が気になったり、どんなフレーズやリズムを生み出しているか?が気になります。

常にアンテナが立てられている状態なので、結果的に、リスニングの力も身についていきます。

ところが、最初から答えを教えてもらえる環境だと、答えを探さなくてよいので、リスニングの必要性も生まれません。

他の人の演奏にも関心がなくなります。

気になるのは、音が合っているか?間違っているか?だけになってしまいがちです。

結果、リスニングの力も身につかなくなってしまうのです。

アドリブが生まれる秘訣は、インプットの量をどれだけ増やすか?が大事になってきます。

一滴の水でも、量が増えると、コップに水がたまります。

さらに量が増えると、今度は水がコップから溢れるようになります。

この溢れ出た水が、アドリブソロになります。

ジャズピアノ初心者の方は、是非リスニングの量を増やしてみてください。