関内 レコードバー “LISTEN”。
 2023.11/3 開店。 

横浜 関内駅から徒歩10分。

夜も賑わう伊勢佐木町から細い路地に逸れると、灯りの少ないひっそりした区域。看板を見つけて急な階段を上がると店がある。

ここはかつて小さなライブハウス ADLIB があった場所。 (ADLIBは2005年にジャズ喫茶としてスタートしたが、後に夜のライブがメインの店に変わった。2023年3月に閉店)




事前に某ジャズバーのマスターから “LISTEN” のマスターの簡単な経歴を聞く機会があった。レコード店や渋谷のミュージックバー、野毛のジャズ喫茶のスタッフをされてたなど。

それですっかりジャズ専門の店(ジャズバー)と思い込んでいたらずいぶん違った。







ジャズはもちろんかかるが、ジャンルを限定せず現在進行形のジャズテイストのもの(適切なジャンル名が分からん)から広くポップスまで。ポップスと言っても明るくノーテンキなものはなく、全体的に落ち着いた(暗く沈んだ)曲調のもので統一されているように感じる。 
初めて見るスピーカーはHarbeth-HL5(1988年製)。最初、現代的でクリアーな音と感じたが、しばらくして耳が慣れて来ると印象が変わる。くっきりしているが芯があって深みのある音。凄くいい。照度を抑えた店内の照明によく合っているし、夜の中に暗く沈んで行くような曲調と感じたのは、このスピーカーだからかもしれない。





意外だったのは、アルバムから1~2曲ずつ選曲してどんどん掛け替えて行くDJスタイルだったこと。 
レコードを掛ける
→ レコード棚の前に行ってじっくり数枚を選ぶ
→ カウンター内に戻って終わったレコードをまとめる 
→ レコード棚に戻し、次に掛ける数枚のレコードを選ぶ 
→ その合間に客のオーダーをこなす。
客は退屈せずに楽しめるがターンテーブルは1台しかないし、ともかくずっと忙しそう。これはたいへんだなぁ。






  ……… 大阪心斎橋に “BAR JAZZ” という凄くいい店があるのですが、その店もDJスタイルでアルバムから(なんと)1曲ずつ選曲されてます。 
『その店のことは知ってます。私は行ったことないのですが、以前スタッフをしていた渋谷のミュージックバーのマスターが交流があり出張DJとしてその店に行かれたりしてます』

 ………  普段聴かないミュージシャンの曲がいろいろ聴けて新鮮でした。京都に “Hachi Record Shop” という店があって、そこも新鮮な感覚が持てて楽しめるいい店でした。 
『そこもよく知ってます。マスターとは以前から交流があります』 

横浜――関西と遠く離れていても、 こうして店どうしの交流があるのはいいことだと思う。特に若い店主がやっている店はいくつもあるし、他にもそうした店との交流・情報交換の場がどんどん広がるんじゃないだろうか。




マスターには終始気持ちの良い応対をしてもらった。もちろんあれこれと話しかけたわけではないが、知らないミュージシャン・アルバムのことはつい尋ねたくなる。でも (ずっと忙しそうにされてるのに)そういう時も丁寧に説明してもらった。

途中で客が自分一人になった。ぼんやりした客なんだし、マスターはずっと忙しいし、レコードをわざわざ頻繁に掛けかえなくても片面掛けっ放しにしておけばいいのでは? 
でもポリシーとしてそれは出来ないとのこと。



Sonus Faberのアンプは初めて見た。スピーカーは “月光茶房” で聴いたことがあるが、そもそもアンプを作ってるなんて知らなかった。フェイスはいたってシンプル。 
 この日、一番良かったレコード。誰の声だかよく分からなかったがジャケットを見るとPrince。近年膨大な量の発掘音源が出て来たが今さら興味は抱けずこの作品も未聴だった。でも彼のデモ音源のクオリティは凄いものではある。