

『ホモ・サピエンスの誕生と拡散』2017年 刊、2024年 改訂版 刊。
ここ数年、主にNHKテレビで“人類の起源”とか“日本人の起源”といった番組が放映されることが増えた。どうやらDNA(生物の設計図)解析の技術が進み、従来の知見がどんどん書き換えられてゆくらしい。
古代人の人骨からDNAを抽出・解析する技術は以前からあったそうだが、抽出出来るDNAが微量すぎて正確な解析は無理だったらしい。それが、技術の進歩によりごく微量のDNAからでもかなり正確な解析が出来るようになって来たとのこと。
もちろん科学である以上、現時点での知見が最終的な結論というわけではないだろうけど。
しかし、大昔に得た知識のままアップデートを怠ってきた身としては、テレビ画面を眺めててもさっぱり分からない。それで、初心者向けの入門書を見つけたので読んでみた。 監修者は分子分類学者の篠田謙一。先のテレビ番組にも登場した人物で、数年前には国立科学博物館の館長を務めていた。
ざっと読んでみたが、半世紀前の古い知識(または俗説の盲信)では歯が立たない。
① 現世人類(新人 ホモ・サピエンス)は猿(類人猿)から進化した
→ 誤り。
両者が共通の祖先から分岐したのは700万年前のはるか昔。種が異なる。そう言われれば確かに人間とチンパンジーの交雑による子孫誕生は聞いたことがない。
でもゲノム分析によれば人間とチンパンジーは99%が同じ組成。文系の人間がフツーに考えればほぼ同じ生き物のような気がするのだけれど。
② 猿人 →原人 →旧人 →新人(現世人類)へと進化した
→ 誤り。
→ 誤り。
これもはるか昔に共通祖先からそれぞれ分岐している。
現在の定説では、ホモ・サピエンスはアフリカ大陸で10万年前(あるいは30万年前)に誕生した。そして6万年前にわずか数千人の規模で中東方面に進出する。
この少数の人たちが現在地球に住む人類の共通の祖先になったとは驚く (これ以前にも出アフリカは何度もあったらしいが全て絶滅) 。
現在の定説では、ホモ・サピエンスはアフリカ大陸で10万年前(あるいは30万年前)に誕生した。そして6万年前にわずか数千人の規模で中東方面に進出する。
この少数の人たちが現在地球に住む人類の共通の祖先になったとは驚く (これ以前にも出アフリカは何度もあったらしいが全て絶滅) 。
で、出アフリカを果たしたホモ・サピエンスは大きくは3方向に別れて未知の土地に進出してゆく。
ヨーロッパ方面、南アジア方面、シベリア方面。
ヨーロッパ方面、南アジア方面、シベリア方面。
当時は氷期。水が氷になり海水面は低下し現在のフィリピンやインドネシアなど諸島部は大陸と地続きだったそう(消えた大陸スンダランド)。
そうした温かい(または熱い)地域に進出したのは分かるが、なぜ今よりさらに寒かったシベリア方面に進出した人がいるのだろう。ルートはユーラシア大陸の内陸部を進み、現在の中国東部から北上したらしいが、獲物を追うにしてもシベリアまで行かなくても東アジアで獲物は手に入ったと思うのだが。
人が遠くへ移動するのは食べ物を求めてか、または集団から疎外された場合。当時すでに部族社会のようなものを形成していたのだろうか。
それはともかく、新人と旧人が交雑していたとは知らなかった。それもかなり早い段階で。(両者の生存時期が一部重なる)
ヨーロッパ方面へ進出した新人(ホモ・サピエンス)は先住の旧人(ネアンデルタール人)と。シベリア方面へ進出した新人は先住の旧人(デニソワ人)と。
なにしろ当初の新人の絶対数が少ないので、種としては絶滅したネアンデルタール人だが、その血だけは新人の中に生き残り現代の人類へと続く(DNAの数%)。
今の自分の身体の中にもネアンデルタール人がいると思えばロマンを感じる。
この書の後半はホモ・サピエンスの日本列島への到達、つまり日本人の誕生についてになるが、なまじ身近な話になるせいか記述が細かく、あまりに不確実な(ややこしい)部分が多いのでまた別の機会に。縄文人や弥生人に関する書籍は初心者向けの新書でもやたら難しく感じる。





