Blue Noteレーベルのアナログ復刻シリーズ “Tone Poet盤”。

音のことがよく分からない (またはさっぱり分からない) リスナーでも、いい音のレコードという噂を聞くとソワソワする。
けれど、レコードは高くて買えない。いや、6,000円なら買えないことはないが、今さらあらためてレコードに手を出すのは危ない。それに、このシリーズはどんどん新しいのが出て来る。キリがない。
しかも発売枚数を絞っているのか、購入するか迷ってるうちにすぐ品薄となって10,000円近くまで高騰する。が、高くなるとますます欲しくなる。これではいけない。

で、購入は諦めてジャズの店で聴かせてもらった。
Bobby Hutcherson “The Kicker” 1963.12/29。




① 雪が谷大塚 ジャズカフェ “Slow Boat”。
この店は録音された音の忠実な再生が基本だが、輪郭のくっきりしたややカッチリした音。
Blue Noteはジャズで一番好きなレーベルだが、Rudy Van GelderのBN録音は、誇張のあるやや不自然な音というイメージがある。同じRVGでもPrestigeなど別のレーベルではずいぶん質感が異なるけれど。
← 婉曲的な表現。BN盤は率直に言うとかなり加工された歪な音。その分、とんでもない迫力があって全盛期のモダンジャズは正にこれだと感じる。しかし、ピアノの潰れた音など極端すぎると思うなぁ。
(という話を数年前にある店で隣に座った同年輩の客に話したところ大反論を喰らった)
Blue Noteのオリジナル盤を聴く機会などまずないが、たまに明大前マイルスでかかると圧倒的な音の強さに仰天する。

でも、このTone Poet盤 (マスタリングはKevin Gray、総指揮はJoe Harley) の音はBNのそうした過剰な面が薄れ、個々の音の強さはそのままにごくナチュラルな音に感じる (ような気がする)。
話題になるだけあってこれは相当いいのでは?
演奏内容については申し分ない。BNには録音当時なぜ速やかに発売されなかったのか疑問に思うものがいくつもあるが、これもそのうちの1枚。1日で録った音源だし。
一度CD化されたことがあるとは知らなかった。






② 千駄木 ジャズ喫茶&バー “Player's Bar R”。
この店は昔ながらのジャズ喫茶のスタイル。ドアを開けた瞬間、音の洪水に包まれる。
重量感溢れる分厚い音で聴かせてもらったが、ここでも過度な強調のないごく自然な音のように聴こえた (ような気がする)。もちろんBN盤の圧倒的な迫力はそのままで。

近々、Tone Poet盤 John Coltrane “Blue train” の未発表音源を含む2枚組が出るそう。
う~む、欲しいけど新譜で10,000円を超えるとなるとなぁ。 (→ 振り出しへ戻る)