昨年2月、某店で音楽の店巡りの達人と『浅草に新しい店が出来たらしい』という話になった。直前に横濱ラヂオ亭のNマスターから『知人が新しく作った店に大きなスピーカーを運んで音調整をして来た』と伺っていたので俄然行きたくなる。 
しかし、店名で検索してもまだGoogle Mapに表示されない。どうしたものかと話してたら、たまたま居合わせた達人のお知り合いのジャズ喫茶ファンの方から住所だけなら分かると教えてもらった。 
この日が営業日なのかどうかも確認のしようがなかったが、勢いで一人で行ってみた。 
浅草駅から仲見世通り〜浅草寺の境内を突っ切り、住所を頼りに住宅街の中けっこうな距離を歩くと、店は案外簡単に見つかった。 

が、これは?  
予想してたより大きめのお店。ガラス張りの壁面から植物のグリーンに彩られたお洒落な店内が見える。 
これはカフェファンの女性向けの最先端のカフェなのでは? 
くたびれたジーンズ姿の男性一人客は入ってはいけない店なのでは? 
せっかく来たけどTPO的にどうなのか? 
しばらく店の外をウロウロしてたら店内の女性スタッフの方と目が合ってしまったので意を決して店に入る。 






2025年1/30 開店。 後で知ったが、自分の行ったこの2月始めはまだグランドオープンではなくプレオープン中だった。 
スッキリとハイセンスな店内。天井が高く席の配置にずいぶん余裕があって実際以上に広々と感じる。 
ボタニカル・カフェというのか、緑の植物に彩られた空間が心地よい。その緑も適度な間隔をおいて配置されているので窮屈さがない。 
最近新しく出来た店はやや狭い店が多いが(東京の家賃を考えれば そりゃそうなるだろう)、カウンター内のスペースも広く取ってあり厨房作業がしやすそう。トイレもカウンターのラインに合わせたレイアウトのようで、中がやたら広くてわざわざ客席数を絞った贅沢な造り。
新しい店だからという雑な感想を受け付けないような毅然とした清潔感に溢れ、照明の照度も適切なあたりは女性オーナーならではの細やかさを感じる。 

スピーカーはElectro Voice社のパトリシアン700。見るのも聴くのも初めて。
ストリーミングで音量をかなり抑えたBGMとしてクラシックやポップス、ジャズが流れる。
確かにこのお店の雰囲気でモダンジャズやハードロックが大音量で流れるはずがない。 


女性オーナーの方と少し話す機会があったがとても気さくな方だった。店の雰囲気に合わない場違いな客という立場を忘れてしまう。 
『本業の仕事が忙しく、まだ店はオープンを迎えるにあたって万全の状態ではない』 
『コーヒーも豆の選定からブレンドの調合など試行錯誤しているところ』 
『フード類も試作している段階』 
いや、お店はすでに隅々まで完成されているように思うのだが。

というわけでコーヒーの試飲をさせてもらった。もちろんこれで充分美味しいが、さらにグレードアップが必要とのこと。今後種類が増えてゆくらしいフード類も楽しみになる。 
さらにこれからいろんな企画も立ててゆくそう。
客の雑な感想を越えて店はどんどん先に進んで行く。 






そして1年後の今年2月、その企画の一つである横濱ラヂオ亭Nマスターによる恒例のレコード・デイに行ってみた。
この日ばかりは大音量。スピーカーPATRICIAN 700をまともに聴くのは初めて。フルに鳴るとさすがに凄い迫力で高域は綺麗に伸びるし、中低域は濁ることなくまだまだ余裕のある鳴りっぷり。 
しかし、あまりにハイセンスな店内の雰囲気と、音の暴力のような響きのコントラストには驚くなぁ。 

Nマスターの選盤なので、聴いたことないアルバムがどんどん出て来る。今回一番驚いたのは “Dedicated To Dolphy”。誰のリーダー作かさえ分からないが、Jerome Richardsonのアルトは物凄かった。あまり世評に上らない作品にもいいものはたくさんあるということだろう。 
 一一 こちらのお店、大音量でジャズが流れてるとレコード・デイだと知らずに来られたお客さんが困惑されるのではないでしょうか? お客さんの様子を見て時には音量を少し下げるとか。 
『せっかくPATRICIAN 700を置いているわけですし、レコード・デイや各種企画の際は大音量で聴いてもらいたい。そのためSNSで企画等について周知してもらえるよう発信して行きます』 
企画と言えば、同じNマスターによるジャズ講座も定期開催とのこと。

ドリンクやフードの種類も順調に増えてるし、キャロットを使ったジュース、サンドイッチもすごく美味しい(写真を撮らせてもらったが、下手くそな映りなので写真無し)。 
さらにピアノも導入されてた!
定期的にライブも開催されるそう。
お店の魅力がさらに増してゆくが、これからどこまで進んでゆくのか予想が追い付かないような楽しみがある。 




〈追記〉
今年になってようやくHPやInstagram、XなどSNSでのお店の発信が増えて来たが、どの写真・レイアウトもセンスが良すぎる! (女性オーナーはSNSの専門家) 
これなら発信力のあるインスタ映えの女性カフェファンたちの間で大人気になりそう。雰囲気だけでなくドリンク・フードともレベルが高いので、店を目指して殺風景な住宅街をせっせと歩く若い女性が増えてゆくかもしれない。