今日は、あなたのお葬式…
病気で働けなくなった私が 働けるようになり、「これが最後の仕事になるかも」と思いながら始めたのが、あなたの家に訪問するって仕事だった。
軽介助で歩けていたあなたが
ほとんど寝たきりになり
冗談ばかり言ってたあなたの言葉は、日に日に聞き取りにくくなっていった。
おーい!おーい!
トイレ!
吸引!
もう、ええわ
はっきりと聞き取れるのは これぐらいだった…「もう、ええわ」ってあなたが伝えることを諦めてしまう度に、申し訳なくて たまらない気持ちになったよ。
あなたは、出来ないことがどんどん増えて、イライラしてた。出来ないことばかりにとらわれないで、何とかあなたが豊かな穏やかな気持ちで暮らせないかと、ずーっと考える日々が続いた。笑顔でいて欲しくて。
癌と診断された後、
こんなに自分以外の人の事を考えたことはなかった気がする。
だけど、ゴメンね。
私、何にもしてあげられなかった。
最後に訪問した日…
なんだかとても穏やかな顔をしていて
よく笑って
帰る時に 「ありがとう」って…
あなたは奥さんがどれほど言っても
「ありがとう」なんて言わない人だったのに
あなたの 色んな表情が私の頭の中でグルグルしてる…昨日はお通夜だったのに、私は胸が痛くて行けなかったよ。
今日はお葬式なのに、わたし、行けない。
ゴメンね。
「生まれかわっても、又、夫婦になる」
ってよく言ってた。その言葉の後に見せるあなたの ふにゃーっとした笑顔はとても幸せそうだった。
どんな病気も残酷で辛いけど
ALS…辛い病気によく耐えて
愚痴ることもなかったね。
ヒデアキさん、
お疲れ様。
ありがとう。
空の上で スーパードライ呑みながら レイコさんのこと、見守ってあげて。