10 BABYMETAL BUDOKAN Ⅲレポート(2) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日2月17日は、2014年、ニッポン放送「西川貴教のちょこっとナイトニッポン」(~21日)に出演した日で、2016年には、7月17日のアメリカのフェス『CHICAGO OPEN AIR』に出演することが発表され、2020年には、オランダ・ティルブルフ公演@013が行われ、2021年には、10 BABYMETAL BUDOKANⅣが行われる日DEATH。

2017年巨大キツネ祭り@SSA&大阪城ホール以来となる「シンコペーション」の興奮冷めやらぬまま、暗転した日本武道館に「♪キーツーネー、キーツーネー、わーたーしーは―メーギツネー…」というSU-のアカペラが響く。7曲目「メギツネ」である。
ステージ最外縁のパイロが怪しく炎を放つ。三人の登場を待ちきれぬかのように、「…オイ!オイ!オイ!」の歓声SEも流れ、観客は両手でキツネサインを高く掲げる。
スクリーンには、2015年の新春キツネ祭り@SSA、2015年12月のThe Final Chapter of Trilogy@横アリ、2014年3月の日本武道館、2017年Legend-S-@広島グリーンアリーナの映像が次々と流れる。
この曲こそ、BABYMETALにメタルの力で人々に希望を与える使命を与えたキツネ様の魔力が全開となる曲である。三人がステージに現れ、こらえきれない歓声が上がると同時に、イントロが終わり、Fの単音「♪ダダダダッダンダダン…」というリフが響き、続いて和楽器が「♪カラリンコン…」と響く。
MOAと岡崎百々子が、「狛キツネ」ポーズから、キツネサインを客席に突き刺すと、日本武道館は灼熱のキツネ祭りと化した。
「♪ソレ!ソレ!ソレ!ソレソレソレソレ!」と三人が踊りだすと、5,000人の観客は両手を上げてジャンプし、踊り狂った。
間奏部、SU-は「ヘイ!ぶどうかーん!」「We want to see the Big Wave!」と叫んだ。スポットライトが東、南、西、北へと当たるたび、「前説」で演習したように、観客は深く上体を折り曲げた姿勢から、両手を上げたポーズへとジャンプした。それを見ている三人はニコニコ顔だ。2周繰り返すと、続いていつもの「On the count of Three,Let’s jump up with the Fox God!Are you ready?Ar---e Yo---u Read---y!?」から「1,2,13!Jump!」で再び「ソレソレソレソレ!」のジャンプ大会。声を出せなくても、確かにこれはいつものBABYMETALのライブである。キツネ様畏るべし。
そして、場内が青く変わると「♪トントントントン…」というSEが入り、8曲目「KARATE」になる。
ぼくの席は天空席だったので、前回よりも全体のステージ構成がよくわかった。
何より凄いのは、八角形の中央ステージの床面もスクリーンになっていることである。
「KARATE」では、曲の初めの頃は、暗闇の中の霧状の映像であり、その中に2018年の苦闘の映像が重なる。
スクリーンの上で激しく踊る三人のシンクロ率は信じがたいほどである。岡崎百々子は前回よりもさらにほっそりとし、パワフルだけでなく、優雅さも身につけ始めている。MOAは逆に華奢に見える全身から「気」を発している。そして、SU-も二人の動きに負けないくらいキレキレのダンスを見せる。三人が発するエネルギーによって、スクリーン内の霧が徐々に晴れていき、「♪ひたすらセイヤソイヤ戦うんだ、こぶしをもっと心をもっと」のところでは、金色の炎の映像が三人を包む。
床面、ステージ上部、ステージ側面の映像の中の三人は、インジェクションマップの中で踊っているように見える。声が出せない、モッシュできないという制約の中で、チームベビメタはステージと映像の合体という卓越した演出で、観客の目を楽しませてくれるのだ。楽しむというか、「すげー!!!」と感嘆するしかないステージングを提供してくれているのだ。
三人が握りこぶしをキツネサインに変えて掲げ、すっと胸にしまう瞬間、消えゆく照明の中でMOAの顔半分のアップという斬新な映像。思わず「おー!!!」と言ってしまうカッコよさがあった。
「KARATE」が終わると、聞きなれないインターリュードが流れた。だが、それは「アレ?このメロディ、どっかで聴いたことがあるかも…」という疑問に変わり、記憶の糸を手繰っていって、その正体が分かった瞬間、全身に鳥肌が立った。
9曲目は、2017年6月16日のWorld Tour 2017 Special Headline show@ハリウッドPalladium以来となる「From Dusk Till Dawn」だった。『METAL RESISTANCE』のEU/US盤にしか収録されていない、日本人ファンにとっては幻の楽曲である。ぼくは幸運にも生でこの曲が演奏された場に2度とも居合わせたことになる。
そして、この曲こそ、「今」にふさわしい曲かもしれないとすぐに思い至った。
EU/US盤には歌詞カードが封入されていないので、歌詞は聴き取りによるしかない。
Palladiumでは密集した中だったのではっきりしなかったが、神秘的なプログレッシブメタルの曲調の中で、SU-が裏声を使って超高音パートを歌い、MOAがメインメロディを歌っていた。二人がパートを割って歌うデュエット曲なのだ。
もちろん、サビの「♪In the Air…」は、ノーマルボイスのSU-の歌が響き渡るが、そのあとのウィスパーは、二人が交互に発している。その内容は、実は「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の間奏部で、三人が親指を合わせる「…痛み、感じて、心、気づかないふり、もう、逃げない…」を英語にしたものである。
そして、床面スクリーンとなっているステージも、まるで三人が空中に浮遊して、海、大陸、地球全体、宇宙、銀河へと上昇していくような映像になっていた。天空席だからこそ、その演出意図がはっきりわかった。
「From Dusk Till Dawn」とは、「黄昏から夜明けまで」という意味である。神秘的なメロディを歌う二人は、救世主として、今、世界が陥っているこの「夜」を晴らそうとしているのだ。
もう抑えきれない。ぼくは思わず「ウォー!!!スゲー!!!」と叫んでしまった。
もちろん、開場も大歓声である。日本初披露。明日もやるのかな。明日はハリウッドのTシャツを着ていこう!
いよいよ佳境。雷鳴とオルガンの不穏なフルコーラスが響き渡る。10曲目は「ヘドバンギャー!!」であった。
(つづく)