ライブレポート10 BABYMETAL BUDOKAN-Ⅱ | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ

本日1月21日 は、 2017年、Guns N’ RosesのSupport Actとして、大阪・京セラドームに出演した日DEATH。



10 BABYMETAL BUDOKAN2日目のセットリストは以下のとおり。
01. In The Name Of
02. Distortion
03. PAPAYA!!
04. ギミチョコ!!
05. ド・キ・ド・キ☆モーニング
06. Oh! MAJINAI
07. メギツネ
08. KARATE
09. Starlight
10. ヘドバンギャー!!!
11. Road of Resistance
<アンコール>
12. THE ONE
13. イジメ、ダメ、ゼッタイ
アベンジャー:岡崎百々子
神バンド:ISAO(南西、下手G)、BOH(北西B)、青山秀樹(北東、D)、大村孝佳(南東、上手G)

ぼくが会場入りしたのは昨日よりやや遅く、17:40過ぎだったが、ぼく同様、多くの方が初日の様子を見て安心したためか、場内を見渡すと、客入りの出足はやや遅かった。
昨日は南西、今日は東の席だったので、違う角度からライブの全体像を見渡すことができた。
セットリスト、アベンジャー、神バンドは昨日と全く同じだが、
1.昨日より観客の手拍子・拍手・動きなどのタイミングがとれ、歓声SEのボリュームやタイミングもよく、実際に歓声も上がっていたこと。
2.いくつかのセットトラブルがあったが、それがよりBABYMETALとの距離感を縮めてくれ、一体感を生み出していたこと
3.最後に、10 BABYMETAL BUDOKANのⅦ~Ⅹの日程が発表され、「十音の鐘」を鳴らす意味が示されたこと
などの違いがあった。結果、やや戸惑いやぎくしゃく感があった昨日より、はるかに素晴らしいこれぞBABYMETAL!と呼べるライブだった。

BGMは昨日と打って変わって、ややポップ寄りのパワーメタルが多く、開演直前の18:00台にはラムシュタインがかかっていた。
最初のKOBAMETALの口上は、今日もやや早口で全部は聴き取れなかったが、大意は以下のようなものだった。
「きつねだおー!諸君、今宵は10BABYMETAL BUDOKAN-日本武道館10公演へようこそ。10年間のMETAL RESISTANCE最終章となるBABYMETAL史上最大の戦いに挑むのだ。まずはじめに、キツネ様からのお告げを授かったのでお伝えしよう。
2020年、世界はDYSTOPIAによって支配され、メタルの叫び、すなわち我々の声はDYSTOPIAによって奪われたのであった。ひとたびメタルの叫びを発すると、それを聴きつけたDYSTOPIAが我々を捕らえ、“あっちの世界”へと連れ去ってしまうとても恐ろしい存在であった。
しかしキツネ様は、失われたメタルの叫びを蘇らせる、とっておきの方法を教えてくれた。
諸君がDYSTOPIAに見つからないようにひっそりと声を潜めることと引き換えに、キツネ様の超能力によって、これまでの10年間のメタルレジスタンスで蓄積されたメタルの叫びを再び蘇らせ、合成し、武道館に響き渡らせるのだ。
それを実現するのはここに終結した諸君の努力にかかっている。声を出さずに、心に宿るメタルの魂で、歌い、叫び、身体で表現することによって、あの日、あの時、あの場所で、我々が目撃した数々の伝説を再び感じることができるかもしれない…」
この後は、「キツネ様のご指示」により、今日も上部スクリーンに映示されていた「Savior Maskの着用」「大声を上げての声援は禁止」「自席を離れることは禁止」「他の客との接触も禁止」といった注意事項が示された。
KOBAMETALは、2020年の武漢ウイルス禍による異常事態を、「DYSTOPIA」という仮想敵を設定することで、BABYMETAL神話に組み込んだのだ。
声を出せない中、キツネ様の超能力で蘇る「10年間のメタルレジスタンスで蓄積されたメタルの叫び」とは、曲中や曲間に流れる歓声のSEのことである。後述するが、これも昨日よりボリュームアップされて、リアリティが増していた。
セトリ各曲の中で、スクリーンに映し出される目黒鹿鳴館から新春キツネ祭り、横アリ、WEMBLEY、東京ドーム、広島グリーンアリーナといった「伝説の名場面」もまた、昨日よりその意味の重さがよくわかった。
つまりは、この最初のKOBAMETALの口上に、「緊急事態宣言」下で行われる10 BABYMETAL BUDOKANの意味が、集約されていたのである。
BABYMETALの10年間とは、世間からのバッシングとの戦いであった。
そして、今もなお、BABYMETALは世間と戦っている。
無節操に増加する民間PCR検査と、発症すらしない陽性判定者を「感染者」と言い換えて恐怖感を煽るマスコミによって作られる「感染者の拡大」によって、国民の自由を制限する無意味な「緊急事態宣言」が発せられ、大声を上げることも、他者とフィジカルに接することも禁じられ、「我々の声=メタルの叫び」が奪われた。
その不条理に対する怒りが、「DYSTOPIA」という言葉で「BABYMETALの敵」に設定されたのだ。
しかも、DYSTOPIAはかつての仮想敵「巨大勢力アイドル」とはスケールが違う世界を覆う闇である。
だからこそ、10 BABYMETAL BUDOKANは「BABYMETAL史上最大の戦い」なのだ。

KOBAMETALの口上に続いて、昨日同様、たいまつを持った8人のキツネ面男たちが、八角形ステージの外周の8つの角に置かれたパイロの前に陣取る。やがて、東に岡崎百々子、西にMOAMETAL、南にSU-METALを載せたステージが現れ、リフトアップされていくと、客席は、禁止事項も忘れて歓声を上げた。
歪んだギターのイントロで、せりあがった中央ステージ、その外縁にある内周ステージ、さらに外周ステージの側面に炎が燃え上がる映像が映し出され、1曲目「In The Name Of」が始まった。
SU-、MOA、MOMOKOはそれぞれ錫杖を観客席に向ける。その姿は、「史上最大」のこの戦いに参加する意志をひとりひとりに問うているようだった。
ものすごい盛り上がり。昨日とは段違いである。
歌詞も、合いの手もない「In The Name Of」がこれほど盛り上がろうとは。
ここに集まった5000人は、まさしく「DYSTOPIA」と戦うBABYMETALの隊列だった。
曲の終わり、ちょうどぼくのいる東に立ったMOAは、胸に手を当てお辞儀をした。それは「一緒に戦ってくれてありがとう」という同志に対する敬意をこめた挨拶のように思えた。
サイレンのような残響の中、遠くから「♪ウォーウォーウォーウォー…」というコーラスが聴こえてくる。各ステージの側面が、「Distortion」PVにある廃墟の映像を映し出す。
それは、「DYSTOPIA」によって破壊されつくしたわが国に、救世主としてのBABYMETALが降臨するイメージだった。
観客も「♪ウォーウォーウォーウォー…」と歌う。歌わずにはいられなかった。
今日は、曲中の「合いの手」の部分にKOBAMETALのいう「蓄積されたメタルの叫び」=SEがタイミングよく入っていたのだが、観客も手振りだけでなく、やはり声を出して「合いの手」を入れている。
間奏部。SU-は「声出せないけど、手拍子で参加してね!」と分かりやすく説明し、「Everybody Clap Your Hands!」と英語でも煽った。
これで客席が一気にヒートアップ。いつものBABYMETALのライブと同じく、手拍子を打ちながら、「♪ウォーウォーウォーウォー!」と歌う観客の声が武道館に響いた。
曲が終わると、暗転の中、「チャッチャッチャッチャッ、BABYMETAL!」というSEによるコールが響く。もちろん観客も手拍子&唱和で応える。
やがて、上部スクリーンに「Give…Me…」という文字が映り「ギリギリギリ…」というSEも流れた。
4曲目「ギミチョコ」である。
(つづく)