10年のキセキ(42) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日5月22日は、過去BABYMETAL関連で大きなイベントのなかった日DEATH。

■武漢ウイルス関連データ
●累計    
・世界 感染確認者4,946,749人>死者326,512人
・日本 感染確認者16,424人>死者777人・退院12,672人・要入院2,917人>重症195人
●10万人当たり
・世界 感染確認者64.12人>死者4.23人
・日本 感染確認者12.98人>死者0.61人
出典:厚労省「新型コロナウイルスの現在の状況について」(5月21日12:00現在)

2ndアルバム『Metal Resistance』のビルボード39位、WEMBLEY ARENA公演、四大夏フェス出演、東京ドーム2daysとエポックメイキングな2016年に比べて、 2015年は、BABYMETALにとって「過渡期」のような扱いを受けることもあるが、実際には、YUI・MOAのさくら学院卒業を受けて飛躍的にライブ数が増え、メキシコシティ~EUツアーまでの「跳べない身体」の克服や、「CDショップ大賞」の受賞、『Karrang!』『Metal Hammer』の海外二誌のアワード受賞、『GQ Japan』『VOGUE Japon』からの表彰など、実りの多い年だった。
2015年のセットリスト一覧をまとめてみると、「新春キツネ祭り」で「あわだまフィーバー」、「巨大天下一メタル武道会」で「ヤバッ!」、「The Final Chapter of Trilogy」で「THE ONE」と「KARATE」が初披露され、2014年11月のロンドン追加公演で初披露された「Road of Resistane」とともに、2ndアルバム『Metal Resistance』の主要曲がそろっていく様子がうかがえる。ただし、同アルバムに収録された「No Rain No Rainbow」は、2015年には一度も生披露されなかった。

レディング&リーズフェスティバルを終えたBABYMETALは、2週間ほどの休みをとっただけで、9月16日、Zepp Namba(収容2,513人)で、BABYMETAL World Tour 2015 in Japanをスタートさせた。
このツアーは、BABYMETALにとって、世界でファンベースを広げるのと同様に、日本全国にファンを広げる重要なツアーだった。このツアーがあったからこそ、翌年の東京ドーム2日間が成功したとぼくは見ている。


このツアーでは、それまでになかった新しい試みがいくつかあった。
第一に、大阪、札幌、福岡、名古屋、東京と大都市中心ではあるにしろ、地方でライブを行ったことが大きい。
なんだかんだ言ってBABYMETALのライブは、東京、幕張、さいたまといった首都圏限定であり、テレビに出ないBABYMETALを地方在住者が観るには、交通費や宿泊費をかけなければならない。
近くまでBABYMETALが来るなら、ファンが友だちを誘って参加できる。
実際、9月21日にオンエアされたFM大阪の「REDNIQS」では、大阪は2012年のヘドバ行脚以来何度も訪れていたが、今回のライブでは新規さんが多かったとSU-が語っていた。一度ライブを見れば、きっとBABYMETALの虜になってしまう。
もうひとつは、ZEPPツアーでは「LIVE初心者の方、体力に自信のない方」のために、HAPPY MOSH’SH PITが設定されたこと。
ZEPPは形式上、ワンドリンク必須のライブハウスではあるが、各地の施設は収容人員1,800~2,500人で、レッドツェッペリンに由来する名前のとおり、大音量のHR/HM、ラウド系バンドに対応した音響/照明設備を持つコンサート会場である。
スタンディング中心だが、フロアには段差があり後方からも見やすい。危険モッシュ防止のため細かい柵が設置されているのでサークルモッシュはできない代わりに安全である。
テレビに露出しないBABYMETALは、「ヘヴィメタル」を標榜しており、ライブでは「圧縮」「モッシュ」「ダイブ」が当たり前とされていたので、一般の方、とりわけ女性がライブに参加するにはハードルが高かった。
その一つの解決策が女性限定ライブであり、柵で守られた女性専用エリアだったが、それを「LIVE初心者や体力に自信のない方」にまで広げたわけである。
実際には、圧縮のきつい最前列付近以外なら、肩がぶつかり合うことはあっても、メイトさんは弱者に優しいので、

コツさえつかめば全然問題なくライブを楽しめるのだが、HAPPY MOSH’SHピットの設定は、初めてBABYMETALのライブに参加してみようと思う方の心理的ハードルを下げる効果があったといえるだろう。
また、各地の地方局の番組にBABYMETALが出演したことも大きい。
ライブ日程と放映日とはだいぶズレるのだが、9月21日のZEPP SAPPORO公演の5日後の9月26日にHTB北海道テレビ『イチオシ!モーニング』で、YUIが「白い恋人」の工場見学について語り、10月2日のZEPP FUKUOKA公演の4日後の10月6日にはKBC九州朝日放送の『アサデス。KBC』に出演した。
10月8日のZEPP NAGOYA公演のはるか後になってしまったが、名古屋放送では、10月24日の『Bomber-Eドデスカ』、10月26日の『ドデスカナイト』にも出演した。
さらにライブとの間隔が長かったのが、9月17日のZEPP NAMBA二日目から約1か月後の10月13日に放送されたABCの『おはよう朝日です』『おはようコール』だった。

『おはよう朝日です』では、30代の女性アナウンサーが、SU-が正確なピッチのアカペラで「♪イーチゴのよーるを」と歌う中、YUI・MOAが軽々とバンザイジャンプするのを真似しようとして、腰が「グギッ」と鳴る音が収録されてしまい、BABYMETALのダンスがいかにスゴイかを図らずも証明した。あのメキシコシティ~EUの苦闘の後だと思うと、余計感慨深い。
東京では、10月15・16日のZEPP TOKYO公演の前、10月7日の日本テレビ『NEWS ZERO』で、BABYMETALの特集が放送された。
ZEPPツアーのセットリストは2パターンで、日替わりに行われた。
<Aセット>が、1.いいね!、2.メギツネ、3.ド・キ・ド・キ☆モーニング、4.あわだまフィーバー、5.神バンドソロ~Catch Me If You Can、6.ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト、7.神バンドソロ~紅月-アカツキ-、8.4の歌、9.ヘドバンギャー!!、10.ヤバッ!、11.Road of Resistance、12.ギミチョコ!、13.イジメ、ダメ、ゼッタイの13曲。
<Bセット>が、1.いいね!、2.メギツネ、3.ド・キ・ド・キ☆モーニング、4.あわだまフィーバー、5.神バンドソロ~Catch Me If You Can、6.ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト、7.神バンドソロ~悪夢の輪舞曲、8.おねだり大作戦、9.ヘドバンギャー!!、10.ヤバッ!、11.イジメ、ダメ、ゼッタイ、12.ギミチョコ!、13.Road of Resistanceの13曲。


「いいね!」始まりは同じだが、SU-ソロとBLACK BABYMETALの楽曲が、「紅月-アカツキ-」「4の歌」の組み合わせか、「悪夢の輪舞曲」「おねだり大作戦」の組み合わせかが異なった。
「悪夢の輪舞曲」の前の神バンドソロは「Mischief of Metal Gods」だが、「紅月-アカツキ-」前には「新曲」が披露された。
また、フィニッシュまでの3曲が「Road of Resistance」「ギミチョコ!」「イジメ、ダメ、ゼッタイ」となるか、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」「ギミチョコ!」「Road of Resistance」になるかの違いもあった。
これまでのフィニッシュ曲「イジメ、ダメ、ゼッタイ」→「321!」から、「Road of Resistance」→「Put your your KITSUNE U---P、あー!」でのフィニッシュへの移行を試していたとも考えられる。
あえてデスメタル色の強い「BABYMETAL DEATH」始まりにしなかったのは、新規ファンに「コワさ」を与えないための配慮か。
各地のライブ冒頭には「紙芝居」の前に骨タイツのKOBAMETALが登場し、禁止事項のほか、ヘドバンのやり方や、クラウドサーファーをやり過ごす「おくりびと」の説明などをした。これも新規さんへ向けたウェルカムの姿勢といえる。これが、翌年、東京ドーム5万5000人を前にした「キツネだおー」の原型でもあった。
さらに、煽りに各地の方言を入れるなどの工夫もあった。
「ギミチョコ!」の煽りの最後、海外では三人そろって「Thank You」というところが、大阪では「おおきに!」、札幌では「なまらいいっしょー」、福岡では「よかね~!」、名古屋ではMOAが「でら!いっぱいいるな?」「でも聞こえんよ!」からの三人そろっての「でらええがん!」だった。
さらに、終演の際に特効の爆発音で舞い上がる銀色のテープには、SU-、YUI、MOAのサインと「We’ll be back」「I’m happy to see you」「We are The One」などのメッセージが書いてあり、拾った参加者の「宝物」となった。


なお、ZEPP NAMBA公演には、大阪出身の大村神のご両親も来場されていたようで、「大猫の時とはレベルが全く違った」と喜んでおられたそうだ。2013年五月革命@大阪Big Catにも来られていたのだろう。
確かにBABYMETALは、あれから国内ロックフェス修行、日本武道館、Sonisphere 2014、Lady GAGA、新春キツネ祭り、メキシコシティ~EUツアーを乗り越えてきた。その証にZEPP NAGOYAにはDragonForceのハーマン・リが来ていた。
こうしてライブアーティストとしての成長を遂げたとはいえ、アイドル/アーティストは見てもらわなければならない。日本のファンベースを広げるためにこのZEPPツアーは、大いに貢献したといえよう。
11月19日、BABYMETALは『GQ Japan』のMen of the year 2015の「Discovery of the Year」を受賞した。これ「今後さらなる活躍が期待される人を称える特別賞」で2015年から新設された。「Men of the Year」の受賞者は、又吉直樹(漫才師・作家)、葉加瀬太郎(ヴァイオリニスト)、鈴木亮平(俳優)、松岡修造(テニス)、吉田鋼太郎(俳優)、五郎丸歩(ラグビー)で、BABYMETALは唯一無二の女性である。


受賞の感想を聞かれたSU-METALは「このように素敵な方々と並ぶことができて、本当に私たちでいいのかと不安な気持ちもありますが、とてもうれしいです。ずっと応援してくださっているファンの方々に(受賞を)伝えたいです」と述べた。
1週間後の11月26日、今度は『Vogue Japan』の「Women of The Year 2015」をBABYMETALが受賞。目黒雅叙園で行われた授賞式に出席した。この賞は各分野で活躍した“VOGUEな女性たち”に贈られる賞で、BABYMETALのほか、広瀬すず(女優)、吉田羊(女優)、阿部千登勢(デザイナー)、志村ふくみ(染織家・随筆家)、菅原小春(ダンサー)、西加奈子(作家)、渡部香生子(競泳)が受賞した。


授賞式でSU-METALは「この受賞を自信に変えて、これからも自分たちの信じる道を突き進んでいきたい」、YUIMETALは「この受賞を私たちのことをたくさん応援してきてくださった日本や海外のファンに伝えたい」、MOAMETALは「たくさんの方に感謝をしながら私たちの信じる道をこれからも突き進んでいって、最終的にはBABYMETALという新しいジャンルを確立できたらいいなと思っています。がんばります!」と語った。
この時、スポンサーのトヨタレクサスの前で撮影した写真で、YUIMETALの腕があまりにも細くなっているのに気づいたメイトたちが、「痩せすぎ」「ダイエットしなくてもYUIは十分キレイ」「健康面に問題があるのではないか」と色めき立った。
しかし、これは北米ツアー~EUツアーで露呈した「跳べなくなった身体」問題への対応として、筋肉をつけ、負荷を減らすために体重を絞った結果だったとぼくは考えている。MOAも同じだが、特にYUIはさくら学院時代には「小っちゃいこと」にコンプレックスを持っていただけに、身体が大きくなったことへの戸惑いも大きかったはずだ。身長が伸びたのは嬉しいが、それによって「跳べなくなった」ことがわかると、ストイックな性格のYUIはウェイトを絞ることに努力した。普通の女の子のように「キレイになるためのダイエット」ではなく、アスリートのように、パフォーマンスが十分にこなせる体重と筋肉量のバランスの最適解を探していたのだ。その証拠に、2016年4月のウェンブリーで、YUIはまた一回り大きくなり、パフォーマンスはよりパワフルになっていた。
前後したが、11月22日、BABYETALはOZZフェストジャパン@幕張メッセ9-11展示場に出演した。

BABYMETALの出番は、対面ステージAの最終日Ozzy Osbourne & Friendsの一つ前の18:00~。

11:30~ANIMETALTHE SECOND、13:20~Fear and Loathing in Las Vegas、14:50~9mm Parabellum Bullet、16:25~人間椅子に続く、国内アーティストトップの扱いだ。
ももクロが出演した2013年のような騒ぎはもちろん起こらなかった。会場は入場規制がかかったサマソニの再現となり、9-11展示場ぶち抜きの20,000人が満員になった。
だがこれが2015年の終わりではない。
12月12日-13日、BABYMETALはThe Final Chapter of Trilogy@横浜アリーナに臨んだ。
(つづく)