汎ヨーロッパツアー14都市目ロンドン公演 | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日2月24日は、過去BABYMETAL関連で大きなイベントのなかった日DEATH。

BABYMETALのイギリスでの足跡をまとめてみると次のようになる。
2014年、7月にロンドン北部のネブワースで行われたSonisphere 2014でイギリスデビューし、続いてロンドン単独公演、11月にはロンドン追加公演。
2015年、8月レディング&リーズフェスティバルに出演。
2016年、4月ウェンブリーアリーナ公演、6月ダービー州ドニントンパークのDownloadフェスに出演、12月、レッチリの前座としてロンドン、バーミンガム、マンチェスター、グラスゴーを回るUKツアーに参加。
2017年なし。
2018年、6月Download フェスティバルに出演。
2019年、6月南西部のグラストンベリーフェス、7月ロンドン公演。
このように、多くの公演を行っており、イギリスが第二の故郷だというのはウソではない。
だが、イギリス人の目に映るBABYMETAL像は変容してきた。
2014年~2016年は、SU-、YUI、MOAの三人に、小神様、Leda神、大村神、BOH神、青山神の黄金の布陣だった。オープニングは「BABYMETAL DEATH」、セトリは1stアルバム、2ndアルバムからで、フィニッシュは「イジメ、ダメ、ゼッタイ」または「Road of Resistance」だった。
だが、小神様とYUIを失った2018年のDownloadは、SU-、MOA+二人のサポートダンサー、神バンドは大村神、ISAO神、BOH神、青山神という構成になり、「In the name of」で始まり、「メギツネ」「ギミチョコ!!」「Kagerou」「Distortion」「KARATE」「ROR」というDarkside仕様のセットリストだった。
昨年は、SU-、MOA+鞘師里保の三人体制に戻り、神バンドは大村神、Leda神、BOH神、青山神という構成で、セトリに「Starlight」「Shanti Shanti Shanti」「PAPAYA!!」が加わり、新生BABYMETALを訴求した。
そして今年。「FUTURE METAL「DADADANCE」で始まり、「Oh! MAJINAI」「BxMxC」が加わって、よりパワーアップした。というか、『METAL GALAXY』がリリースされて、BABYMETALの音楽がどういうものか、コンセプトが鮮明になった。神バンドはGalactic Empire主体の銀河神バンドに変わっている。
それを、第二の故郷である本場イギリス、その首都ロンドンの観客がどう受け止めるのか。

会場のEventim Apolloは、かつてハマースミス・オデオンと呼ばれていた。
あのクイーンの「オデオン座の夜」の舞台であり、1980年にはYMOがライブを行っている。

ギリギリまでSOLD OUTがつかなかったが、いざ開場になると正面入り口にSOLD OUTの文字が。開演前の場内写真を見ると、二階席のラウンドシートも、ピットもパンパンに客が入っている。それだけで泣けてきた。


セットリストは以下のとおり。

1.FUTURE METAL
2.DA DA DANCE
3.ギミチョコ!!
4.Shanti Shanti Shanti
5.BxMxC
6.神バンドソロ~Kagerou
7.Oh! MAJINAI
8.メギツネ
9.PA PA YA!!
10.Distortion
11.KARATE
12.ヘドバンギャー!!
13.Road of Resistance

メンバー:SU-METAL、MOAMETAL、アベンジャー:岡崎百々子
神バンド:下手ギターChris Kelly、ベースClint Tustin、ドラムスAnthony Barone、上手ギターCJ Masciantonio

「FUTURE METAL」が始まった。ピットの観客がリズムに合わせて「Hey!Hey!Hey!…」と合の手を入れる。これまでになかった現象だ。ロンドンのメイトさんたちが、どれだけ新生BABYMETALを待ち焦がれていたかがわかる。
巨大スクリーン前に銀河神バンドのメンバーが登場すると由緒あるオデオン座のラウンドシート席からも大歓声が上がる。
機械音を残して、曲が終わると、青いサーチライトが点滅し、三人が登場する。断続的なイントロに三人の姿がシルエットで映るたび、会場からは大歓声。口笛、拍手。
スクリーンが赤く燃え上がり、「DADADANCE」が始まる。
「BABY BABYべいびーめろっ!」「フォー!」のユーロビート・メタルに、最前列はもちろん、ピット後方でも、二階席でも観客の頭がうねるように揺れている。メタルかどうかではない。これがBABYMETALなのだ。2014年にそれを受け入れてくれたのは他ならぬロンドンだったではないか。だからここは第二の故郷なのだ。
3曲目「ギミチョコ!!」。「Give me…」のグロウルが流れると会場はさらにヒートアップする。曲が始まった瞬間、ステージの左右で、これまでの会場ではやらなかったパイロが炸裂する。その炎に照らされたピットではすさまじいモッシュが発生している。
間奏部SU-が「Hey!ろんどーん!」と叫ぶ。観客席からものすごい声援。MOAとMOMOKOが上手、下手に分かれ、拍手を促している。その笑顔がスクリーンにアップになると客席から大歓声。
シタールの音色が響き、4曲目「Shanti Shanti Shanti」が始まる。ボリウッド+メタルという不思議な取り合わせだが、これがBABYMETAL流。客席は、SU-のインド風歌唱、MOA、MOMOKOのしなやかなダンスに酔いしれる。三拍子パートになると、観客は「ウォー!」と大拍手をし、三人の踊りに合わせてヘドバンをしながら手拍子を打つ。ピットでは「ライララライララライララ…」と叫びながら踊り狂っている。楽しんでいない観客などいない。曲が終わると、またも大拍手、歓声。ここまでインド音楽をメタルかつポップに仕上げたアーティストが存在しただろうか。


場内が闇に染まると、機械音が響き、スクリーンに日本語の「それなそれな」の文字。5曲目「BxMxC」である。観客は「B!M!C!」と叫びながら、SU-の日本語ラップとMOA、MOMOKOの激しいダンスを見つめる。それまでの明るくコケティッシュな曲調に比べて、ヘヴィでダークな曲調のラップ+日本語+テクノ+メタル+Kawaii+ダンスという複合構造の楽曲。もちろん歌詞の中身はわからない。だが、そのトータルな表現は、世界のどこにもないものであり、言語の壁を超えてエクストリームな感情が伝わってくる。後半のSU-のアカペラパートでは大歓声が沸き、口笛、拍手が止まらなかった。
銀河神バンドのソロが始まる。今日のDark Vaderは、ソロの後半にアウトなフレーズを入れ、それを受けたCJのソロもダブルベンドとタッピングだけでなく、アウトなフレージングで受けていた。拍手と歓声。そこへ三人が入ってくるとまたも歓声。
SU-のエモーショナルな歌唱と、スクリーンにアップになるMOAの妖艶な表情に、会場から感嘆の声が上がり、ピットではモッシュが続いた。
スクリーンにヨアキム・ブローデンのいかつい姿が映り、「♪ナイナナナイナイナイナイナイナイ…」と曲が始まる。7曲目「Oh! MAJINAI」である。ピットでは観客が笑いながらモッシュ。二階席からはスクリーンが見やすく、観客は巨大アニメーションとクルクル踊る三人を同時に見ながら、手拍子を打って楽しんでいる。
8曲目「メギツネ」。「♪きーつーねー、きーつーねーわーたーしーはーメーギツネー…」のSEが流れると、会場はまたも「イェー!」の大歓声に包まれる。スクリーンにはギャラクシーカラーのキツネ様。ピットはヘヴィなC#mのリフに合わせて「Hey!Hey!Hey!」と合いの手を入れながら、エネルギーを充填していく。和楽器のカラリンコン!からMOA、MOMOKOが狛キツネポーズをとり、客席にキツネサインを示すと曲が始まり、キツネ火を思わせるピッキングハーモニクスが響くと、ピットは一斉にモッシュを始める。
モッシュをしない観客も「ソレ!ソレ!ソレソレソレソレ!」の掛け声に合わせてジャンプ、横ぶりヘドバン、右手を突き上げるなどのアクションで熱狂する。
間奏部、キツネ面を被ったSU-をはさんで、MOAとMOMOKOがまた何か言い合って笑顔が弾ける。そしてSU-は「It’s good to be our second home…Hey! ろんどーん!」と叫ぶ。
ほとんど素の声で「やっぱり第二の故郷はいいわね…」と言っている。
もちろん観客席は大騒ぎ。古参メイトさんの顔に笑顔があふれる。「1,2,123!Jump!」から大ジャンプ大会。すさまじいノリである。
お祭りは続く。9曲目「PAPAYA!!」のイントロが鳴った瞬間、客席は「パッパパパヤ!」と叫び、タオル振りが始まる。ステージ左右ではまたもパイロの炎が上がる。二階席から見ると、ピットフロアは最後方までジャンプし、タオルを振る観客であふれている。今ツアー最高の熱狂状態である。祭りだ!祭りだ!
曲が終わっても、場内はまだ、熱気の余韻が残る。そこへ「♪ウォーウォーウォーウォー…」というコーラスが流れてくる。10曲目「Distortion」である。Djentのギターリフにマーチのようなドラムスが絡み、三人が息のそろったダンスを見せる。
「Give up Give up」「Stop the power」のグロウルは、2018年Download、2019年ロンドン公演とは違い、アーチエネミーのアリッサ・ホワイト・グラズによるものに変わっている。
神バンドも全く違うメンバーになっているし、今日のアベンジャーは鞘師里保ではなく岡崎百々子だ。
だが、そんな細かいことより、Darksideの苦闘を示すこの曲が、今ようやくポジティブに聴けるようになったことが今日のライブでハッキリした。小神様を失い、YUIが長期欠場していたあの頃、この曲は悲壮感に満ちていた。「ウォーウォーウォーウォー…」のコーラスは、唯一観客がBABYMETALを励ますことのできたパートだった。
あの時期を乗り越えたからこそ、今のBABYMETALがある。だから、次の11曲目「KARATE」が単なる人生応援ソングではなく、この曲のアンサーソングの位置づけになったのだ。この二曲がセトリで連続しているのは偶然ではない。
蒼い照明の中、三人がきれいに腕をそろえる。ヘヴィなリフが響き「KARATE」が始まる。ピットの観客はMOAの「セイヤ!セ、セ、セ、セイヤ!」から合いの手を入れている。
スクリーンには同時CG合成で、三人の身体が燃え上がっている。
「♪セイヤソイヤ戦うんだ拳をもっとココロをもっと…」の歌詞に、二階席で飛びはねている少年がいる。
間奏部、三人が倒れるシーンではピットの観客がフロアに座り込む。三人が肩を組んで立ち上がり、SU-が「Everybody Jump!」と叫ぶと、一斉にジャンプする。ロンドンのメイトは心折られるほどのダメージを受けても立ち上がり、前進するBABYMETALと心を合わせているのだ。
そして、場内に不穏はオルガンと雷鳴が響く。12曲目「ヘドバンギャー‼」である。
この曲はBABYMETALの「成長」を象徴する曲である。インディーズデビュー曲であり、『ヘドバン』創刊のきっかけとなり、日本武道館では欧米デビューのゴングを鳴らした。
そしてこの曲は今、ダメージを受けつつ、苦闘を続け、倒れても立ち上がり、そしてより強く、大きくなって成長することを高らかに示している。MOAの「ヘドバン、ヘドバン…」という煽りに、オデオン座のすべての観客がヘドバンで応える。頭を上から下へ動かすのは、世界各国共通の「肯定」である。そうだ。そうだ。ガンバレ、BABYMETAL!Head Bangingがここまでポジティブな意味を持つとは。
フィニッシュ曲「Road of Resistance」。三人がBABYMETAL旗を担いで登場すると、客席から大歓声が沸く。SU-が客席を分けるしぐさをするとピット中央に巨大なWODが形成される。「1234!」とMOAがカウントし、曲が始まった瞬間、WODに観客がなだれ込み、すさまじいモッシュが繰り広げられた。
シンガロングパートでは「♪ウォーウォーウォー…」の大合唱。
そして「♪命が続く限り、決して背を向けたりはしない…」のパートになっても、客席から歓声が止まない。「♪ぼくらの未来on the way」のあとのSU-の叫び「ろんどーん!」を聴いた瞬間、ヤバイ、涙があふれる。
「♪ぼくらーのーレジスターンス!」でMOAとMOMOKOが拳を突き上げる。会場からはやんやの喝さいと大歓声。
ロンドン大勝利!
“メタルの本場”イギリスでは、『METAL GALAXY』の多様性がポップ寄りと思われて、イマイチ盛り上がらないのではないか、武漢肺炎の影響があるかもしれないなどというぼくの懸念は杞憂に過ぎなかった。

オデオン座は間違いなくSOLD OUTした。BABYMETALはまたひとつ伝説を創った。

UKラウンド終了。
次は中2日置いて、2月26日(日本時間2月27日)、再び北欧へ飛び、もう一つのメタル大国であるフィンランド、ヘルシンキ公演を行う。さらにロシアへ。METAL GALAXY WORLD TOUR汎ヨーロッパツアー第一ラウンドは、いよいよ最終局面を迎える。