エルフの国へ(3) | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日1月1日は、

新年明けましておめでとうございます。
BABYMETALが北欧、東欧、ロシアから南欧スペインまで回る「汎ヨーロッパツアー」、そして結成10周年となる2020年を迎えましたね。
先ほどフジテレビの「爆笑ヒットパレード」を見ていたら、ゲームコーナーで「♪チャッ、チャッ、チャチャチャ、チャチャチャチャッ、よんよん!」というメロディが流れました。これからのベビメタにもワクワクするけど、昔のベビメタも忘れられません。今年もよろしくお願いいたします。

今年の「汎ヨーロッパツアー」で、BABYMETALが最初に訪れるスウェーデンは、「メタル大国」であり、メタル界の一大勢力であるとともに、BABYMETALとゆかりの深いバンドもある。
『METAL GALAXY』収録の「Distortion」で、女声グロウルを客演してくれたアリッサ・ホワイト・グラズを擁し、「イジメ、ダメ、ゼッタイ-Nemesis Ver.-」でリードギターを弾いてくれたクリストファー・アモットがかつて在籍していたARCH ENEMY。


昨年BABYMETALのO2アカデミーブリクストン公演のOAを務めてくれたAMARANTHE。
2018年の「Darknight Carnival」@SSAと神戸ワールド記念ホール公演でOAを務め、「OH!MAJINAI」で客演してくれたヨアキム・ブローデンを擁するヴァイキングメタルの雄SABATON。


2013年、BABYMETALの出演が物議を醸したLOUDPARK 13二日目、予定されていたキングダイアモンドがキャンセルされたため、トリを務めたのが、超速弾きネオクラシカルメタルギタリストのイングヴェイ・マルムスティーンだった。

初日のトリ前は40代以上の日本人ならきっと一度は聴いたことのある「The Final Countdown」の世界的大ヒットで知られるEUROPEで、ちなみに午前中は、今年のSSA、大阪城ホールのOAを務めてくれたBring Me The Horizon(UK出身)が出演していた。


Djentメタルの雄MESHGGARも、Download 2018でBABYMETAL出演翌日の同じ時間帯に、同じZippoステージに立った。
SU-METALが敬愛してやまないMETALLICAの初代ベーシスト、故クリフ・バートンはスウェーデン出身で、バス事故で亡くなったのもツアー中のスウェーデンだった。
なお、ドラマーのラーズ・ウルリッヒはデンマークのコペンハーゲン出身である。
スウェーデンのメタルバンドに共通するぼくのイメージは、「メロディック」であるということである。
これに対して、ノルウェーはブラックメタルの国なのだが、このことは次回書く
テクニカルな面でスウェーデンのメタルバンドに大きな影響を与えたのは、1980年代前半~中盤にネオクラシカル・メタルを創始したイングヴェイ・マルムスティーンだと思う。
ビートルズやストーンズ、ヤードバーズ~レッドツェッペリンまで、ブリティッシュ・ロックは、ペンタトニック、ブルーノートを多用するアメリカのブルースの影響下にあった。
しかし、ディープパープル~レインボーのリッチー・ブラックモア(G)は、ペンタトニックだけでなく、ハーモニックマイナースケールやディミニッシュ・スケール、バッハやスパニッシュのようなヨーロッパの古典音楽のエッセンスをハードロックに導入した。
1983年に、元マイケル・シェンカーグループ&元レインボーのグラハム・ボネット(V)が結成したアルカトラズに19歳で加入したイングヴェイ・マルムスティーンはこれを推し進め、クラシック音楽と同じコード進行をソロギターに応用し、シュレッドギターと呼ばれるような超速弾きでバッハの楽曲を演奏してみせたりした。


こうして、大音量でディストーションの利いたメタルでありながら、抒情的で美しいメロディラインが聴く者を魅了するネオクラシカル・メタルが誕生し、以後、シュレッドギターは、メタルギタリストの必須項目となった。
激しく速いドラムス=ブラストビートに、キーボードによるクラシカルなコードワークとツインギターによる美しいハーモニーが乗っかるのは、ハロウィーンをはじめとするジャーマン・メタル=メロディック・スピードメタルの特徴だが、スウェーデンのバンドの多くが、これにデスメタルのグロウル(デスヴォイス)を重ね、メロディック・デスメタル、通称メロデスへと発展させた。
1990年に結成されたAt The Gatesは、グロウルをメインボーカルとするアグレッシブなデスメタルの曲調にメロディックなツインリードギターを重ねたメロディック・デスメタルの先駆者である。同じく1990年に結成されたIn Flamesは、シンセサイザーによるハーモニーを加え、よりメロディアスな曲調で、欧米市場にメロディック・デスメタルを広めた。
ARCH ENEMYやAMARANTHE、SABATONも、メロスピ、メロデスの延長にあり、悲痛な歌詞を叫ぶだけの表現とは一線を画している。
BABYMETALの楽曲も、メロスピ、メロデスの影響を受けている。
「イジメ、ダメ、ゼッタイNemesis Ver.」は、『BABYMETAL』収録バージョンおよび公式MVと大きく違い、キーボードのコードワークがより強調され、そこにクリストファー・アモットのギターが激しくも美しく重なる。
公式MVでは、YUIとMOAがギターを弾く映像は、通常盤CDのツインギターソロに対応しているが、4分46秒過ぎのMOAのタッピング映像は、音源とリンクしていない。


しかし、「Nemesis Ver.」では、ギターソロはクリストファーが一人で担当しており、MOAのタッピングは、完全にそれに合わせたものである。
https://www.youtube.com/watch?v=H8wB3F98d6Q
さて、公式MVおよび「Nemesis Ver.」に出てくる、あの髭もじゃの男は、一体誰でしょう。
彼はどうやら、あの荒涼たる岩だらけの大地に住み着いているらしい。ギターを叩き壊され、フードを被った僧侶のような男たちに押さえつけられて髪を切られるあの男。


彼こそは、岩の下に住む白キツネの化身、アイスランドの伝説の妖精エルフの一族ではないか。
(つづく)