ヘヴィメタルへの道(12) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ

本日5月5日は、2016年、米・ボストン公演@House of Bluesが行われた日DEATH。

 

中三日も空けてしまいました。

車の掃除をしていたとき、また腰が痛くなって這いつくばる生活でした。これはちょっと医者に診てもらった方がいいかもしれませんね。

BABYMETALは、8月4日(日)台湾・台北南港展覧館(Taipei Nangang Exbition Center)で行われる超犀利趴10 (スーパースリッパ10)というフェスに出演することが発表されました。

1997年結成、1999年メジャーデビューのMayday(五月天)という台湾の国民的バンドの主催で、昨年は先輩のPerfumeが出演しましたので、そのご縁でしょう。

これで、6月28日-29日@横アリ、7月2日英・ロンドン公演@O2Academy Brixton、7月7月6日-7日ポートメッセなごや、8月4日台湾・台北Super Slippa、8月16日Summer Sonic大阪、8月17日Summer Sonic幕張という夏までのスケジュールが決まってきました。10月には米西海岸での単独公演+フェス出演、3rdアルバムリリースも決まっており、今年も、2018年の悲しみを経て大きく成長したBABYMETALが各所で話題になることでしょう。

横アリとポートメッセなごやは幸運にも4日間全部とれ、サマソニ幕張のチケットも、Japanの際、現地でVIPを購入しました。ロンドンは無理ですが、台湾とロスは仕事の都合をつけて、なんとか行きたいと思っています。あとは腰次第。首ではなく、腰のコルセットをつけねばならんかもです。トホホ。

 

ヘヴィメタルへの道のつづき。このまま、毎年やっているといつまで経っても21世紀にたどりつかない。

1)ブラスもストリングスも入らず、

2)裏拍のリズムで、

3)ディストーションのかかったツインギター、ベース、ドラムス編成

という「メタル三条件」を満たすアニメ・特撮ドラマ主題歌だけをひたすら探していくとしよう。

 

<1985年>

アニメ9作・特撮1作中、「メタル三条件」に合致する主題歌なし。

ただし、『電撃戦隊チェンジマン』歌は影山ヒロノブで裏拍だが、ブラスが入っている。

<1986年>

アニメ14作・特撮1作中、「メタル三条件」に合致する主題歌なし。

有名な作品として、『ドラゴンボール』(元祖)「♪つかもうぜ!ドラゴンボール」の方があり、歌は高橋洋樹だが、リズムは表拍。『機動戦士ガンダムZZ』はバラード。『めぞん一刻』は斉藤由貴のシティポップ。

『聖闘士星矢』は、ギターのリフから始まり、裏拍のメタルっぽいが、正確には16ビートの3、7、11、15拍目のアクセントであり、真正メタルなら倍のBPMの2小節分(2、4、6、8、10、12、14、16拍目)になるはずである。

特撮ドラマ『超新星フラッシュマン』は、8ビートの裏拍だが、ブラス、ストリングスが入っている。

<1987年>

アニメ8作・特撮2作中、「メタル三条件」に合致する主題歌が1曲あった。

『マシンロボ ぶっちぎりバトルハッカーズ』がそれで、ギターのリフははっきりしないし、ドラムは打ち込み風だが、8ビートでAメロは3拍目、7拍目、サビは2、4、6、8拍に入る裏拍リズムになっている。

『北斗の拳2』の「Tough Boy」は、作詞作曲TOM、編曲うじきつよし。ギターリフ主体の進行で、音像はメタルっぽいが、正確には16ビートの3、7、11、15拍目のアクセント。曲調、歌唱も明るすぎる。

『エスパー魔美』は、メロディ、歌、音像はポップそのものだが、リズムは8ビートの裏拍だった。あとは全部16ビートの80年代風かシティポップ。

<1988年>

アニメ11作、特撮1作中、文句なくメタルなのは、『超音戦士ボーグマン』。

ギターのリフのイントロ、リズムは完全裏拍8ビート。演奏・歌はアースシェイカー。もちろん、三条件すべてを満たすメタル認定である。パンパカパーン!

https://www.youtube.com/watch?v=9Qc9xTs_rxM

1980年代半ばあたりから、本当は16ビートの表拍(ドクツクドクツクドクツクドクツク)なのに、8ビートで考えると全拍にアクセントが入り、その中でも3拍、7拍に特にアクセントが入る「偽8ビート裏拍」(Copyright © Jaytc、♪ドクツク“ツ”クツク ドクツク“ツ”クツク)が増えてくる。

前回も書いたように、これと真正の8ビート裏拍の違いは、小節の頭にもアクセントが来る表拍があるかどうかである。

例えば、『闘将!!拉麵男』https://www.youtube.com/watch?v=PQQWZ4WmQ5c

『宇宙伝説ユリシーズ31』https://www.youtube.com/watch?v=pDPcYzS9W-c&t=42s

は、ヘヴィなギターのリフで始まるイントロで、リズムは一見3拍、7拍目が強い8ビートに聴こえるが、『超音戦士ボーグマン』と比べてみると、四分音符すべてに表拍が入っていることがよくわかるはず。

「偽8ビート裏拍」は、ダンスミュージックにもメタルにも聴こえる文字通りのフュージョンとして、80年代には便利に使われた。

例えば、『F エフ』『鉄拳チンミ』『超獣戦隊ライブマン』などは、歌詞や歌唱法、ギターのリフなどがカッコいい「メタル風味」だが、同じリズムで『燃える!お兄さん』『魔神英雄伝ワタル』『鎧伝サムライトルーパー』などのように、メロディや歌詞や歌唱法がアイドルっぽくなり、ギターがフランジャーの効いたクリーンになるとたちまちシティポップになってしまう。

このリズムは打ち込み(DTM)で作られることが多く、いわゆるデジタル臭い音になる。ロボットヒーローアニメで、敵に攻め込まれた主人公が覚醒し、立ち上がるといった緊迫した場面で流れてくれば、それなりにカッコいいことはカッコいいが、生身のメタルの凄みは感じられない。

2012年10月、KOBAMETALは『日経TRENDYネット』のインタビューで、「今までもメタル風味のアイドルソングはあったが、BABYMETALの場合は、まずベースに本格的なメタルサウンドありきのアイドルソングをイメージしている。」と答えている。

この「メタル風味」と「本格的なメタルサウンド」との違いが、この「偽8ビート裏拍」なのではないかとぼくは考えている。

なお、この年、『ひみつのアッコちゃん』の第2作も放映されたが、OPは第1作の編曲、EDは、ロックンロールを教えてくれた「好き好きアッコちゃん」ではなく、「♪Woah-Oh woah Yeah Yeah Yeah Yeah」から始まる8ビートの60年代ポップス風のものになった。

<1989年>

この年は、アニメ22作、特撮2作中、「メタル三条件」に合致する主題歌はなかった。

新日本プロレスのリングで流れる『獣神ライガー』は、ヘヴィなギターのリフがフィーチャーされているが、リズムは「偽8ビート裏拍」である。『戦え!超ロボット生命体 トランスフォーマーV』も同じリズムだが、ブラスが入る。『天空戦記シュラト』これもブラス+ヘヴィなギターで、BPMが遅い「偽8ビート」。

前述したように、同じリズムの『青いブリンク』は南野陽子だし、『機動警察パトレイバー』、『YAWARA! a fasionable Judo Girl!』もシティポップそのものである。

特筆すべきは、この「偽8ビート」に中華風味が混じることだ。

前年の『闘将!拉麺男』もそうだったが、このリズムにはなぜか中華風が似合う。黒っぽいR&Bで、Key=Cならベースライン「♪ドレミソラド」は定番なのだが、これは中華の「♪ドドドドララソソラ」と親和性が高い。ファとシを抜かしてメロディを作ると中華風になってしまうのだ。それを16ビートのリズムに乗せると、中華ディスコになる。

それが、昭和最後の年、ヨーロッパでベルリンの壁が崩れ、昭和最後の年となった1989年、バブル期真っただ中の日本のアニメで量産された。

『らんま1/2』、『GO! レスラー軍団』は、16ビート+中華風だし、『魔法使いサリー(第2作)』も、あのイスラエル風のメロディ、リズムをかなぐり捨て、中華風のリフがついている。この年特撮アイドルシリーズとして始まった「魔法少女ちゅうかなぱいぱい!」もなぜか中華風だった。

ようやくアニメ主題歌を歌う本物のメタルバンドが現れたのだが、「偽8ビート裏拍」=16ビートシティポップor中華風がはびこる1980年代最後の年。

TVアニメ・特撮ヒーロードラマ主題歌の世界にメタル時代は来るのか。

(つづく)