★今日のベビメタ
本日1月31日は、過去BABYMETAL関連で大きなイベントのなかった日DEATH。
あっという間に1月が終わってしまった。
3月のDownload Japan、8月のサマソニへの出演も告知されず、2019年のライブ予定はおろか、THE ONE更新のお知らせもない。毎年のこととはいえ、放置プレー状態が続き、ベビメタロスの痛みが肌身にしみる今日この頃。
さすがのぼくもネタ切れ気味であるが、頭とベビメタ愛をふりしぼって書き続ける。
1月16日付で、「Kerrang!」オンライン版に、Paul Traversという方が「The 10 Moments That Made BABYMETAL Global Superstars」(BABYMETALを地球規模のスーパースターに押し上げた10のできごと)という記事を書いてくれた。
https://www.kerrang.com/features/the-10-moments-that-made-babymetal-global-superstars
それを意訳してご紹介したうえで、のちほど、ぼくなりの「BABYMETALが開けた世界の扉」を書いてみたい。
まずは、Trvers氏の「the 10 Moments」から。
1. スーメタルがコルセットにとり憑かれたこと
原文でコルセットは「A Haunted Neck Brace」となっていて、直訳すれば「お化けネックブレース」である。
BABYMETALのデビュー曲でも代表曲でもない「ヘドバンギャー!!!」は、欧米人にとって、それほど人気のある曲ではないが、Traversさんは、スーメタルはコルセットに取り憑かれて、ウインドミルのようなHead Banger(ヘドバンする者)にトランスフォームしたのだと書いている。そして、「リング」の貞子を思わせるJ-ホラーの不気味な人物が映っているのが素晴らしいという。これはSU-の部屋に何枚もある神バンドの写真のことを言っているのだろう。Travers氏は、不気味なJホラーの力が、BABYMETAL誕生の原動力になったと考えているらしい。
2. UKフェスティバルを制圧したこと
原文は「Slaying The UK Festivals」で、「イギリスのフェスを殺したこと」。
ソニスフィア2014に初登場したBABYMETALは、懐疑的だった大観衆をノックアウトしてしまった。以降、2015年のReading&Leeds、Download3回(2015年DragonForceのステージへのサプライズ登場、2016年UK&パリ、2018年)と大規模メタルフェスに登場し、観客を沸かせてきた。Travers氏の見解は、衆目の一致するところだろう。
3. セレブファンを得たこと
これもそのとおりだろう。Travers氏は2014年ソニスフィアで、他の出演バンドがみんなBABYMETALと写真を撮りたがったと証言する。挙げられているのは、Slayer、DeftonesのフロントマンChino Moreno、 その写真を撮ったのはAnthraxのJoey Belladonnaで、いつも不機嫌そうなカーカスのJeff Walkerも同じだったという。
このほか、Judas Priest、Marilyn Manson、All Time Low、Ariana Grande、ツアーに帯同したレディガガも写真を撮った。
記事はここまでだが、ぼくらはその他にも、レッチリ、ガンズ、KORNなど、数多くの大物バンドとの「ずっ友」写真がBABYMETALやご本人のSNSに掲載されていることを知っている。
Travers氏は、これによって、BABYMETALはジャンルの垣根を超えたと書いている。
確かに、Kawaii日本人少女なのに、エクストリームなメタルをパフォーマンスするBABYMETALはベテランであればあるほど「面白い存在」である。
BABYMETALは、日本の「アイドル界」を抜け出して、「メタル業界のアイドル」になったのである。
ただし、大物ゲストとの「ずっ友」写真が始まったのは、ソニスフィアからではなく、前年のサマソニ2013舞洲でのメタリカからだったと思う。
4. 初めてWembleyでライブをしたこと
Travers氏は、初めてWembleyでライブをしたとき、SU-METALが17歳、YUI&MOAが16歳だったことに注目し、イギリスでデビューしてから2年未満で、しかもティーンエイジャーだったのは異例であると強調する。そして、ショーは、寺院のような雰囲気とパイロ技術による無数の炎が吹き上がる、想像を絶するものだったと述べる。
確かに、日本武道館の最年少記録を書き換え、ミドルティーンのうちに幕張メッセ、SSA、横浜アリーナ、東京ドームの単独ライブを成功させたのは、日本でもBABYMETALしかいない。Wembley Arenaはロンドンで3番目に大きいコンサート会場であり、欧米デビューから2年、世界に打って出る2ndアルバム「Metal Resistance」のリリースライブを行えたことは本当に大きな意味があるとぼくも思う。
5. レッチリの前座を務めたこと
Travers氏は、2016年のフジロックで知り合い、気に入ってくれたレッチリの前座を務めたことも、BABYMETALにとって重要な節目になったと述べる。レッチリは、スタジアムでライブができる「Rock Giants」(ロックの巨人)だからだ。
2016年12月のUKツアーと2017年4月のUSツアーの2度にわたって、レッチリはBABYMETALをスタジアム級のライブ会場に連れ出してくれた。確かにTravers氏の言うとおり、レッチリのツアーは、イギリスではO2アリーナやマンチェスターアリーナ、USツアーではNBA用スタジアムで行われた。いずれも2万人級の会場で、それまで国内はともかく、Wembley Arenaを除く海外ツアーの単独ライブ会場とは規模が違い、いい経験になった。
2016年9月に5万5000人の東京ドームを2日間埋めたのだから、それ以降の海外単独ライブ会場はもう少し大きくてもいいと思える。だが、2018年に再開された海外単独ライブの会場は800-2000人クラスだった。それ以上の会場を巡回して回れるほどにはなっていないと判断されたのは事実である。
なぜ、レッチリ、メタリカ、ガンズが、現在でも各都市2万人を集められる「Rock Giants」になったのか、なぜBABYMETALはそうではないのか。何が足りないのか。
その「答え」を知ることが「前座修行」の目的だったはずだが、藤岡神の逝去、YUIMETALの脱退により、「世界征服」への歩みはいったん止まり、いまだに宙ぶらりんのままになっている。
(つづく)