★今日のベビメタ
本日12月4日は、2018年、Judas Priest Fire Power Tour @シンガポールZEPP@BIGBOXが行われる日DEATH。
YUIMETALの欠場~脱退へと続くDarksideの苦難の道を歩む2018年のBABYMETALが最後に出演したフェスは、今年6月9日、Download 2018 UKだった。ぼくはRichardおよび彼のお兄さんと参戦し、朝から最前列に張り付いた。
ガンズアンドローゼスがメインステージのトリの土曜日、セカンドステージ午後2番手、トリから3番手という位置が、過小評価だったかどうかはわからないが、BABYMETAL登場時に集まった観客数は3万人を超えており、とんでもない圧縮、クラウドサーフの波だった。セカンドステージの集客記録でも最多だったことはDownload公式のレビューにはっきりと記述された。
このブログの6月10日-11日のライブレポートでも書いたが、若い観客が増えており、ぼくが最前列で知り合ったフランス人男性2名、ハンガリー人2名も、今回が初参戦だといっていた。
音の厚み・重み、演奏力と歌唱力、コスチュームや演出も含めたパフォーマンスの完成度、観客の熱狂度、アーティストとしての美しさとオーラ、そのすべてが、3日間ぼくが見たDownload出演バンドの中で随一だった。
フェス一のテクニシャンMeshuggah、メインステージのヘッドライナー、アヴェンジド・セブンフォールド、ガンズローゼス、オジーオズボーンでさえ、BABYMETALの凝縮度を考えると、間延びして見えた。
というか、これらのバンドが醸し出すオーラは、バンドの歴史に依拠していたのに対して、BABYMETALは、まだまだ若く、観客と「勝負」していた。YUIMETAL欠場という事態を、完璧な4人のフォーメーションで見事にカバーしていたし、神バンドはその意気に感応してすさまじい演奏を繰り広げた。
新しい何かを生み出そうとする気概は、瞬時に観客に伝わり、そのエネルギーの大きさが数万人を支配していた。最前列でもみくちゃになりながら、ぼくは何度も天を仰いで泣いたし、BABYMETALが前進し続けることを確信した。
セットリストは、1.「In the Name of」、2.「メギツネ」、3.「ギミチョコ!!」4.「TATOO(SU-ソロ)」、5.「Distortion」、6.「KARATE」、7.「Road of Resistance」の7曲。
メンバー:SU-METAL、MOAMETAL
ダンスの女神:MINAKO神、MINAMI神
神バンド:ギター大村神/ISAO神、ベースBOH神、ドラムス青山神。
欧州ツアーから、藤岡神の位置に形見のESPのSNAPPER7弦藤岡モデルを持った大村神が入っていた。川崎CLUB CITTA’のやつだ。欧米人にはわからないだろうが、その男気がうれしかった。
Djentなギターリフから1曲目「In the Name of」が始まった瞬間のSU-、MOAのなんと美しく、神々しかったことか。BABYMETALが欧米人を虜にしたのは、メンバーがKawaiかった要素も大きいが、それは現在でも同じ。SU-の欧米人モデル並みのプロポーションと肌の透明感は、ヘッドギアがあろうが、メイクをしていようが、Download 2018といわず、すべてのメタルクイーンの中で、ダントツに美しいし、MOAの弾けるような笑顔とダイナミックなダンスは、誰もまねできない。
2曲目の「メギツネ」では、数万人の観客が、地滑りのように「ソレ!ソレ!ソレ!ソレソレソレソレ!」と踊り狂った。SU-が間奏部で「Hey! Download! How your feeling today? Are you ready to jump? I can’t hear you! Are you ready? 1,2,1,2,3 Jump!」と叫んだ瞬間、ぼくは、胸がぎゅーっと締めつけられて泣いてしまった。
3曲目の「ギミチョコ!!」。暴力的な音圧と、3人がダイナミックに踊る迫力に、観客はヒートアップする。早くもモッシュ&サークルピットとクラウドサーフが始まる。
4人のダンスのシンクロ率は完璧。どれだけ気持ちを込めて練習とライブをこなしてきたかがわかる。ギターソロ。藤岡モデルを持ち、藤岡神のポジションでソロを取る大村神はベロを出し、髪を振り乱して演奏していた。後半のワーミーは、藤岡神よりよく跳ねていた。
4曲目「TATOO」は大受けだったし、5曲目の「Distortion」では、「♪Wow Wow Wow Wow…」というコーラスが聴こえた瞬間、観客席から大歓声があがり、大合唱が始まった。グロウルとの闘いを経て、白昼の闇を切り裂くようなSU-の歌。客席はまたもモッシュとサーフの嵐に突入する。
6曲目「KARATE」、7曲目「Road of Resistance」と続くセトリは、歪んだ世界の中で、理不尽に起こる出来事に対して、BABYMETALが戦い続けていることを示していた。「♪Wow Wow Wow Wow…」という数万人のシンガロングは、ドニントンの丘に響き渡った。
BABYMETALは依然、世界で活躍するメタル/ロックバンドの第一線にある。
フェスに来場した欧米の観客は、新たな展開を迎えたBABYMETALの成長を熱狂的に支持し、ファンベースは若い世代を含めて拡大している。それがはっきりわかったのが、Download UK 2018だった。
●シンガポール戦に向けて
YUIMETAL脱退という事態を受け、幕張、SSA、神戸ではBABYMETALがChosen 7という「新体制」をとることが明らかになった。
運営からの情報量が極端に少ないため、ライブ直後の称賛が収まると、ネットではアンチがまたぞろ蠢き始めた。ここではないが、わざわざベビメタのファンブログへ来て悪口を書く奴もいる。だがこんなのは相手をしてほしいだけだから、一切気にする必要はない。
ライブへ行けばBABYMETALの凄さが一発でわかるのだ。行かない者が国内「アイドル」の基準でアレコレ邪推したり批判したりしても、痛くも痒くもない。
なぜBABYMETALが短期間で国内ロックファン、海外メタルファンの魂を奪ったのか。
それは、歌い、踊り、演奏するBABYMETALというアーティストが、あまりにも素晴らしかったからである。
地上波テレビでの「イジメ、ダメ、ゼッタイ」や「KARATE」の披露、特集番組の放映、「ギミチョコ!!」MVなどは、確かに「アイドル」や「ロック」に無関心な者の関心を引くのには大いに役立った。
だが本当にBABYMETALを好きになり、メイトないしTHEONEになった人は、フェスでも単独公演でも、とにかく一度はファンカムやライブを見て「何じゃこりゃ⁉」と驚愕し。魂を鷲づかみにされたからである。
欧米でも、来場者が5-6万人のソニスフィアやレディングだろうが、2日間の来場者が2万人程度のFORTAROCK 2016のセカンドステージだろうが、とにかくフェスでBABYMETALのライブを見た人は、心を奪われてしまった。
YUIMETAL欠場をDarkside物語に包んだ2018年も、Rock on the RangeやRock am RingやDownloadの観客は、去年までとは大きく姿を変えたBABYMETALを熱狂的に支持した。
幕張、SSA、神戸の参戦者も、「最新ライブが最高のBABYMETAL」という称賛を惜しまない。
「設定/ギミック」や「Legend」や「神話」は、あくまでもBABYMETALのフレームワークに過ぎない。ぼくがブログで、現代の社会状況に関連づけて論じることも、所詮コジツケでしかない。そこに本質はない。
BABYMETALの本質とは、彼女たちのライブで、数万人の心が一つになる奇跡の瞬間と、そこから全世界に向かって放たれるポジティブなエネルギーの波である。
ぼくらは、彼女たちと同じ時代にたまたま居合わせることができ、ライブに参加する幸運にも恵まれた。そして、1アーティスト、音楽商品に過ぎないはずの彼女たちの存在そのものに心を動かされた。
運営は、年会費を払って登録した者だけをTHE ONEと呼びたいのだろうが、自称だってかまわない。BABYMETALに心動かされ、ともに生きようと決意した者は、THE ONEだとぼくは思う。
必ずしも現場に立ち会えなくても、遠く離れた異国の地で、彼女たちが放つエネルギーを感じることで、ぼくらはツマラナイ日常生活の中で、よりよく生きようと思う。
アーティストと消費者という関係を超えた、存在同士のつながりを感じることこそ、ぼくがBABYMETALという稀代のアーティストのファンである理由である。
今夜はシンガポールでのJudas Priestオープニングアクト。
ぎりぎりになったが、シンガポールライブの位置づけを確認しておきたい。
シンガポールは、2013年12月28日、BABYMETALが初めて海外単独公演Live in Singaporeを行った地である。
だが、結論的に言えば、2013年当時、シンガポールでBABYMETALが「大人気」になることはなかった。
2012年11月のAFAシンガポールに呼ばれたのは、あくまでジャパニーズ・サブカルチャーのひとつ「アイドル」としてであり、その証拠に、3,000人の観客の多くがサイリウムを振っていた。もし、MOAがNoといえば、重音部BABYMETALはSU-のさくら学院卒業とともに解散するはずだったから、これは「修学旅行」のようなものだった。
だが翌年2013年、BABYMETALは継続し、国内フェス修行を経て、オリエンタルな「メギツネ」を2ndシングルをリリースし、海外進出の大方針が固まった。だから11月のAFAシンガポールも前年とは位置づけが全く違った。2曲しか披露しなかったのは、12月28日の単独公演をPRするためだった。ところが、年末だったこともあり、BABYMETAL Live in Singaporeはソールドアウトしなかった。
会場のSCAPEは、スタンディング最大800人の小会場だったが、ソールドアウトしなかったため、開場時、ピットには座席が置かれていた。それを見た来場者がクレームをつけて後ろにずらし、モッシュスペースを作ったので、よりガランとしてしまった。
三人はスタジオのような会場で、骨バンドによるカラオケで歌い踊り、終演後、来場者に感謝を込めてサイン入りのポスターを手渡した。今となっては夢のような話で、新宿FOXGODには、そのポスターが飾ってある。
3年前、このブログを始めるにあたって、なぜ、「世界のBABYMETAL」が、Live in Singaporeで人気を集めなかったのか、不思議に思って当時のデータを漁ってみた。
すると、2013年、シンガポールで公演を行ったアーティストで最大の集客力があったのは、台湾のポップス歌手Jay ChouとK-POPグループだったことがわかった。メタリカはサマソニ2013舞洲でBABYMETALとの2ショットを撮ったあと、シンガポールに飛び、8月24日にシンガポールチャンギ国際空港近くのChangi Exhibition Centreで、1993年以来のライブを行っていたが、満員にならず会場を半分に区切って使用したらしい。
今年Judas Priestは、好評な18thアルバム「Fire Power」を引っ提げて、ワールドツアーを行っているが、日本公演ではなく、シンガポール公演を行うにあたって、オープニングアクトにBABYMETALを指名した。
会場はZEPP BIGBOX、収容はわずか2333名である。それでもJudas Priestは、テコ入れが必要だと考えたのである。
もともとシンガポールは、ライブハウスが少なく、出演するバンドも、BGM感覚のフォークロックやオルタナティブどまり。メタルバンドは極めて少数派である。ラジオ局も華人向けの中国・台湾ポップスやイージリスニングが中心で、日本のアーティストの曲や70年代ロックをかける局はあるが、90年代以降のヘヴィメタルをかけることはめったにない。デスメタルバンドがあろうものなら、ハマザキカク氏のブログに載っちゃう「メタルの辺境」なのだ。
だから、BABYMETALのJudas Priestオープニングアクト@シンガポールは、メタルゴッドの「ご褒美」などでは全然ない。
「メタル辺境」のアウェイ戦の援軍として呼ばれたのだ。
考えてみれば、メタルリテラシーのないシンガポーリアンに、「アイドルとメタルの融合」であるBABYMETAL以上の助っ人がいるだろうか。
メタルゴッドに指名されたアウェイ戦。BABYMETALにとっても再挑戦である。
これで燃えないわけがない。
この5年間、数々のアウェイを潜り抜けてきたBABYMETALはBest Live Bandの名に懸けて、とてつもないライブを行うだろう。
メタルを理解できないシンガポーリアンに、メタルの凄み、深み、楽しさを思いっきり味わわせ「征服」する。それこそ、今後、重鎮が世を去り、ますます厳しくなるメタル界にとって、救世主BABYMETALの真価が問われるところではないか。
シンガポール戦大勝利こそ、新たなBABYMETALの幕開け。
今回ぼくは参戦できなかったが、黒べビTを着た遠征組の方々には、ぜひ早朝からZEPP BIGBOXの回りを占拠し、金のことしか頭にないシンガポールのビジネスマンに、メタルのパワーを見せつけちゃってください。なんちて。
最後に、今回のツアースケジュール期間に、MINAMI神の予定が入っていることから、参加するダンサーは、USツアーとは異なること、あるいはYUIの代わりに新メンバーを加えた新三人組になるのではないかと予想されていることについて。
「新体制」「Chosen 7」とは、何度も言うが、1人、3人、4人、5人、7人と、ライブ会場や状況や楽曲に応じて、さまざまなバリエーションでパフォーマンスできる自由度を手に入れたことを意味する。
BABYMETALは、「アイドルとメタルの融合」であると同時に「メタルとダンスの融合」である。YUIの代わりに新メンバーを入れればよいというものではない。それは、古いBABYMETAL像に囚われているだけではないか。YUIの代わりは誰もできない。
風雲急を告げるメタル戦線を突き進むためには、新メンバーを固定することを急ぐのではなく、新BABYMETAL像を作ることこそ喫緊の課題だと思う。
今夜、伝説が再び、始まる。
(この項、終わり)


