フェスの足跡(9) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ

本日121日は、2013年、日本武道館で行われたAct Against AIDS 2013フェスに出演し、「メギツネ」を披露した日DEATH

 

いよいよ師走。来週4日(火)はJudas Priest Fire Power Tour @シンガポールのサポートアクト。Chosen Seven体制の海外フェス仕様が明らかとなる。ちなみにウィキペディアのBABYMETALの「バックダンサー」の項から名前の表が消え、「日本国内のライブでは、SISTERBONE(シスターボーン)と呼ばれる骸骨のコスチュームを着た複数の女性バックダンサーがライブに加わることがあった。20185月からの海外ツアーでは、YUIMETALがライブから離脱するのに伴い2人の女性バックダンサーが新たに加わった。YUIMETALの脱退発表後に行われた同年10月の日本国内のライブではさらに3人が新たに加わり、計5人のバックダンサーによるライブパフォーマンスが披露された。」という文章に書き替えられた。Chosen Sevenあるいは新体制のメンバーに関する公式の見解が待たれる。

 

フェスの足跡の続き。

2016年は42日のウェンブリー公演で幕を開けた。

BABYMETALは、ビルボード20039位にランクインした2ndアルバム「Metal Resistance」を引っ提げ、5月のアメリカ東海岸ツアーを終えて、6月2日、スイス・プラッテルンZ7の単独公演を皮切りに、ヨーロッパツアーへと駒を進めた。

このツアーの最初のフェスは、6月3日、前年立ったROCK IN VIENNAのステージだった。

この年もDEAG主催でROCKAVARIA ROCK IM REVIERが行われたが、それらにBABYMETALは出演せず、ウィーンのROCK IN VIENNAだけに出演した。

2016年のヘッドライナーは、RammsteinIggy PopIron Maidenで、他にSlayerAnthraxNightwishなども出演した。BABYMETALRammsteinがトリを務める金曜日、Slayerの下、Apocalypticaと並んだ3行目、Anthraxの上という位置でポスターに掲載された。

セットリストは1.「BABYMETAL DEATH」、2.「KARATE」、3.「Catch me if you can」、4.「META!メタ太郎」、5.「イジメ、ダメ、ゼッタイ」、6.「ヘドバンギャー!!」、7.「メギツネ」、8.「ギミチョコ!!」、9.「Road of Resistance」の9曲。

神バンドは、ギター:藤岡神、大村神、ベース:BOH神、ドラムス:青山神。

2016年のシングル配信曲である「KARATE」は、アメリカツアーからSU-がハミングし、「Everybody Jump!」と煽る曲になっていた。また「メタ太郎」は、途中で敬礼式の振り付けになるので、「ドイツ語圏ではナチスを思わせ、ライブが中止になるからやめた方がよい」という意見があったが、特に問題はなかった。

むしろ、前年BABYMETALの出演した午後早い時間には会場の後ろの方が空いており、観客が行き交っていたのに、この年は満員で、後ろの方までキツネサインを掲げていた。

<ROCK IN VIENNA2015>

<ROCK IN VIENNA2016>

2014年に始まった欧米進出は、着実に実を結んでいたのである。

ROCK IN VIENNAから1日置いた201665日、BABYMETALは初となるオランダのフェス、FORTAROCKに臨んだ。

FORTAROCK2009年からオランダ・ナイメーヘンのGoffertparkで毎年行われているHRHM専門のフェス。2018年の来場者が20,000人と小規模なフェスである。

2016年はNightwish(土曜日)とVolbeat(日曜日)がヘッドライナーで、BABYMETALは日曜日に出演した。

Volbeatは、黒い革ジャンを着てロカビリーをメタル化したスタイルで、北欧、オランダ、ドイツでは絶大な人気を誇る。ぼくは今年のDownloadで観たが、シンプルでちょっと気障ったらしくノリのいい印象。

BABYMETALが与えられたのはテント屋根のあるセカンドステージLarge Rockhand Stage

時間はメインステージのMegadeathと一部重なる1820スタートだが、BABYMETALのあとは、メインステージのDisturbed、トリのVolbeatに間に合う。

ファンカムを見ると、半屋内のような会場は観客でぎゅうぎゅう詰めである。

セットリストは、1.「BABYMETAL DEATH」、2.「ギミチョコ!!」、3.「Catch me if you can」、4.「META!メタ太郎」、5.「イジメ、ダメ、ゼッタイ」、6.「メギツネ」、7.「KARATE」、8.「Road of Resistance」の8曲。

順番は違うが、曲目はROCK IN VIENNAと同じである。神バンドも同じ。

なぜ曲順を変えたのか。

この年、BABYMETALは煽り=観客とのコミュニケーションをテーマとしていた。

2014-2015年は、「ギミチョコ!!」の間奏部でギターの音がクリーンになって、SU-が「Hey!〇〇(都市名、ライブ名)!Scream!」と叫び、MOAYUIが「Ican’t hear you!」「Louder, Louder!」と客席を煽り、続いてSU-が「Now ,we are ready to sing together. ♪チェケラチョコレートチョコレートチョチョチョ、Sing!」というC&Rをやっていた。

それが2016年のデトロイト、シカゴ公演では、MOASnickersYUIが3Musketeers(三銃士)のチョコバー(いずれもMars社製品)の枕大プラカードを持って現れ、SU-が観客に「Push back!」「Sit Down!」と言って座らせ「OneTwoThree!」でジャンプさせるという、日本の戦後焼け跡の進駐軍の振る舞いを思わせる煽りになった。

KARATE」も、ウェンブリーでは、三人が倒れ、助け合って立ち上がっていたシーンが、NY公演から、SU-が「How you feeling tonight?〇〇(会場名)」と問いかけ「♪Hmmmm、Hmmmm…」とアドリブメロディでハミングを入れ、「♪セイヤソイヤ戦うんだ」「♪WooWooWoo」とシンガロングさせたのち、「Everybody Jump!」とジャンプさせる様式に変わった。

そして、FORTAROCKの「CMIYC」では、SU-が「HeyFORTAROCK!」と観客に呼びかけ、「I wanna see a big circlepit」「Show me a big Circlepit!」と煽り、客席にモッシュサークルを作らせようとした。

ROCK INVIENNAでは2曲目「KARATE」と3曲目「CMIYC」が続いたので、その煽りができなかった。順番を入れ替えることにより、「BMD」でべビメタ体操、「ギミチョコ!!」で会場名を叫び、「CMIYC」はBig Circlepit要求、「メタ太郎」は敬礼式振り付け、「IDZ」はXジャンプ、「メギツネ」は再び会場名を叫んで「Let’s Jump up with the FOX GOD. Are You Ready?」からの「1,2,123 Jump!」、「KARATE」はハミング+ジャンプ、最後の「ROR」はシンガロングというメリハリの利いた、切れ目のない観客とのコミュニケーションがとれるようになった。

なお、こののち、「ギミチョコ!!」は進駐軍煽りがなくなり、レッチリツアーでは、フィニッシュ曲となった。また2017年レッチリUSツアーの「KARATE」では、ハミングの代わりにスマホライトを点灯させ、東京ドームを再現するといった試みもあった。

つまり、2016年はよりLive Bandらしく、観客とのコミュニケーションを進化させることが課題だったのであり、ぼくらメイトは、普段プライヴェートな情報を出さないBABYMETALとライブ会場でC&Rでつながれることが無上の喜びだった。

しかし、Darksideの今年2018年は、SU-は「Distortion」で会場名を叫んだり、「メギツネ」でジャンプを促してくれたりするが、それ以外の曲ではコミュニケーションがない。MOAはニコニコ顔ではあるものの、かつてのように「聞こえないよー」「まだまだ足りない」「I can’t hear you!!」と言ってくれることもなくなってしまった。ちょっと寂しい。

そのDarksideの真っただ中の6月、BABYMETALは3年ぶりとなるドイツのロックフェスの舞台に立った。ROCK AM RING61日)とROCK IM PARK6月2日)である。

ROCK AM RINGは、1985年にニュルブルグリンクで始まった由緒あるフェスで、2015-16年は会場運営会社と揉め、Mendig空軍基地で行われたが、集客力はDEAG主催のROCKAVARIAより上だった。特にRed Hot Chili PeppersBlack Sabbath Volbeatがヘッドライナーになった2016年は、前売りだけでソールドアウトになり、史上最高の92,500人が集まった。翌2017年、ドイツテレコムの支援を受けて、ROCK AM RINGは古巣のニュルブルグリンクに戻った。

ROCK IM PARKは、その姉妹フェスで、1993年にRock in Wienとして始まったものである。翌年1994年はミュンヘンで行われ、1997年からニュルンベルクで行われるようになって現在に至っている。

DEAG主催のROCK IM REVIER2016年で、ROCK IN VIENNA2017年で終了したが、ROCAVARIAは今年2018年も行われている。

要するにBABYMETAL2015-16年のDEAG主催フェスから、ROCK AM RINGROCK IM PARKに乗り換えたのである。

今年のヘッドライナーは、Foo FightersThirty Seconds to MarsGorillazMuseで、その他、Asking AlexandriaAvenged SevenfoldBullet for My ValentineEnter ShikariJonathan DavisMarilyn MansonMeshuggahParkway DriveStone Sourといったラインナップ。ほとんどがDownloadと重なる。BABYMETALは、現在もなお、世界を股にかけてツアーを行う第一線のメタルバンドの一角に名を連ねているのである。

セットリストは、RINGPARK共通で、1.「IN THE NAME OF」、2.「メギツネ」、3.「ギミチョコ!!」、4.「TATTOO」、5.「Distortion」、6.「KARATE」、7.「Road of Resistance」の7曲。

神バンドは、ギター:大村神/ISAO神、ベース:BOH神、ドラムス:青山神。

藤岡神の居た下手に大村神が入り、上手はISAO神になっていた。

ROCK AM RINGの模様も、公式動画が公開されている。観客の反応は、20152016年当時とほぼ変わらない。むしろ、2017年にはヨーロッパを回らなかったため、日本から来た「メタルの救世主」への期待感はより高まっていた。藤岡神死去、YUIMETAL欠場の情報は、当然アメリカから伝わっているはずだが、にも関わらずというか、だからこそというか、新曲を3曲も入れ、コスチュームも一変したBABYMETALを「成長」と考えて、歓迎する向きが多かった。ROCK IM PARKではメイクもド派手になっており、日本のファンの間では議論が沸騰したが、欧米人には少なくとも「似合わない」という声はなかった。

要するにティーンエイジャーのKawaii METALの方が欧米人にとっては「衝撃的」なのであり、SU-20歳、MOA19歳を迎えるなら、大人の女性になるのは当然であり、化粧も大人っぽくなるのはまったく自然なことである、という受け止められ方をしていたのだ。

次回DOWNLOADのところで書くが、その時点ではDarksideが終わったら、YUIは復帰するはずだという期待もあったが、BABYMETALを赤いチュチュを着たKawaii少女たちのままでいさせたいという声は、少なくともぼくが出会った欧米人の中にはなかった。

(つづく)