好きすぎてツライ(13) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-


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THE ONE NEVER FORGET MIKIO FUJIOKA

★今日のベビメタ

本日4月21日は、2016年、APOCRYPHA-Only Fox God Knows@新木場Studio Coastが行われ、夜にはきゃりーぱみゅぱみゅ、スピッツ、欅坂46らとともに「ミュージックステーション」(TV朝日)に出演し、「KARATE」を披露した日DEATH。

 

「紅月-アカツキ-」編

●2017年12月2日Legend-S-洗礼の儀@広島グリーンアリーナ。

「紅月-アカツキ-」のギターソロパートで、SU-METALは赤いチュチュを着たアバターと偽闘を繰り広げた。アバターのコスチュームは2014年~2015年頃のもので、背格好はSU-とほぼ同じ。つまりこれは「過去のSU-METAL自身」を表している。

とはいえ、2014年以降のSU-METALは、欧米メタル界に突如現れた日出づる国からの新星として賞賛を浴び、BABYMETALは2016年『Kerrang!』のBest Live Bandに選ばれ、SU-METALも『LOUDWIRE』の2016年度Rock Goddess of the Yearにノミネートされ、『Kerrang』では「世界でもっとも偉大なロッククイーン50人」の13位にランクインした。

その「世界のSU-METAL」さえも乗り越えて、新しい自分を作り上げることが、20歳になった彼女の目標であるということだ。

過去の自分のとの偽闘は、2013年2月1日のLegend ”Z” @Zepp Tokyoの再現である。

DVD/BD『Legend “I、D、Z”』に収められた映像を見ると、改めてその凄さに驚愕する。

「SU-METALは気づき始めていた。心の中に存在するもう一人の自分の姿を。メタルの神“キツネ様”がもたらしたパワーによって、人の域に留めておいたSU-METALが本来の姿を取り戻していく。人のかけた呪縛を解いて、人を超えた神に近い存在へと変わっていくのであった。時空を超えたSU-METALの命の鼓動が天空を“紅”に染める」という「紙芝居」のナレーションを受けて、青い照明に照らされ、黒いマントを羽織り、舞台中央にすっくと立って「♪幾千もの夜を超えて~」と歌い出したSU-MEATALは、当時15歳になったばかりの中学3年生である。

照明が赤く変わる。骨バンドながらすさまじい爆音のメタルの演奏をバックにしたその歌唱力は、とても中学生とは思えない。

確かに現在に比べれば、声にはまだ幼さが残り、線が細い。歌い方は譜面通りで「タメ」や「シャクリ」がない。表情も手振りもおとなしい。だが、その圧倒的な声量、正確なピッチ、ビブラートなどの小手先のテクニックを一切使わない、豪速球のようなハイトーン、そして陽炎のように立ちのぼるオーラは、見る者すべてを戦慄させ、虜にする。

そして、ツインギターによるソロに入り、マントを脱ぎ棄てたSU-が、舞台後方に上ると、そこにSU-METALそっくりのコスチュームを着て銀のマスクをしたアバターが現れる。

アバターは、ジャンプ、ドロップキック、側転、水月切りなどの技を駆使して、本物のSU-METALと戦う。SU-もハイキック、パンチで応戦し、ついにはアバターを退ける。

要するにメジャーデビュー前の「アイドル」と決別して、メタルアーティストとしてリスタートする葛藤を描いたのが、この偽闘である。

2013年、中元すず香のさくら学院卒業とともに、BABYMETALは「部活」ではなくなり、神バンドを帯同した五月革命を経て、サマソニ、イナズマ、LOUDPARKなどのロックフェスを席捲していく。

そして2014年、史上最年少での日本武道館公演を経て、欧米デビュー。

過去と決別して以降、「アイドル」だった中元すず香は、「世界のSU-METAL」になっていくのだ。

Legend-S-では、その「世界のSU-METAL」とも決別した。成人し「神」となったSU-METALはこれからどこまで大きくなっていくのか。末恐ろしいとはこのことである。

●SU-METALの声そのものの凄さは、鼻腔共鳴が使えるとか、倍音成分が通常人間には聞こえない音域まで均等に出ているとか、美空ひばりと同様、周波数と反比例するピンクノイズが出ているとか、様々な意見がある。科学的分析はこちらが詳しい。

http://blog.livedoor.jp/symmetal/archives/17580845.html

ぼくが書きたいのは、この曲がライブで演奏されるたびに、SU-METALの歌手としての技量がどんどん進化していくことだ。

Legend ”Z”の「紅月-アカツキ-」を、その4か月前、2012年10月6日のLegend “I”で初披露された際の映像と見比べてみると、格段に表現力が上がっていることがわかる。

Legendシリーズの単独ライブは、「メタル少女歌劇団」を夢見て「成長期限定ユニット」の中にBABYMETALを結成させたKOBAMETALの妄想を現実のものとした。

考えても見てほしい。中学3年生の少女が、マントを着て赤い月のカキワリの下で女戦士を演じるなど、普通なら、文化祭で行なわれる中二病芝居になってしまう。

この曲だって、「♪幾千もの夜を超えて生き続ける愛があるから この身体が滅びるまで 命が消えるまで守り続けてゆく」とか、「♪静寂の中で 傷ついた刃差し向かい 孤独も不安も 斬りつける 心まで」というNAKAMETAL・TSUBOMETAL作詞とされる歌詞が何を意味しているのか、よくわからない。

「幾千もの夜を超えて」「守り続けていく」「愛」とは、いったい何への愛なのか。

歌詞から想像される、圧倒的な不利の中での孤軍奮闘という状況や、その敵が「巨大勢力アイドル」だということから考えると、それはおそらく「メタルへの愛」なのであろう。

だとすると、深夜一人で「差し向か」う「傷ついた刃」とは、愛用のエレキギター、それもフライングVシェイプのメタル御用達のモデルではないか。要するにこの歌詞は、Metal Resistanceに立ち上がったKOBAMETALの心象風景ということになる。

KOBAMETALの年齢は不詳だが、さまざまな事実をプロファイリングすると、某難関私大在学中にメタルバンドを組んでいたが、プロにはならず、一部上場企業であるアミューズに入社してメタル/ラウド系のバンドのプロデュースに携わる。しかし手がけたバンドは全然売れず、バラエティ班に異動となり、さくら学院担当となったとき、入社からおよそ10年の歳月が経っていた。

1年は365日だから、「幾千もの夜を超えて」に合致する。深夜、自宅へ帰って、ボロボロのエレキギターを見る。かつて愛用していた武器、つまり「傷ついた刃」だ。アミューズの社員プロデューサーとして、メタル/ラウドロックをやりたかったのに、今や「成長期限定ユニット」を担当している。孤独と不安が心を斬りつける。

まあ、これはぼくの勝手な想像だが、「メタル少女歌劇団」のボーカリストとして才能を見出した中元すず香のソロ曲を作るにあたって、そういうルサンチマンを曲にしてくれとオーダーしたのが「紅月-アカツキ-」なのではないか。

ところが、Legend “I”で、演出通りマントを着たSU-METALが歌うと、この曲は、X-Japanの「紅」のように、悲壮感に満ちたメロディックスピードメタルとなった。

ピッチは正確だが、声はまだ少女の声であり、振り付けはぶっきらぼうな感じだ。

しかし、大音量のカラオケにかき消されないどころか、歌のバックに従えてしまう透き通った声の質、一途さを感じさせるピュアなまなざしは、見る者の心を撃った。

2000年代はメタル氷河期だった。

2006年にDir En Grayの『Withering to death.』がビルボード200の42位に入ったり、2007年にX-Japanが再結成されたりはしていた。

しかし、1980年代にメタルが一世を風靡した頃を知る世代は中高年になっていた。

2014年にNHK「BABYMETAL現象」が放映されるまで、メタルは、日本の音楽市場で「どマイナー」であり、メタルを命がけで愛好しているのは、背広を着たサラリーマンではなく、黒いTシャツを着て、長髪、革ジャン、銀アクセをじゃらじゃらとつけた、アウトローな確信犯のメタルフリークだけだった。

そんな中、2012年10月6日に行われたBABYMETALの単独ライブLegend “I”は、「アイドルとメタルの融合」という、「どマイナー」×「オタク」の“中二病イベント”のはずだった。

それが、カラオケとはいえ、爆音で奏でられるツービートのドラムと、超絶技巧のツインギターをバックにSU-METALが歌う「紅月-アカツキ-」は、絶望や孤独や不安を抱えた者に生きる力を与えるメタルという音楽の凄み、価値を剛速球のように観客に投げつけた。健気に戦うメタルの守護神=BABYMETALのリーダー、SU-METALの悲壮感や神々しいまでのピュアさが、「設定」を超えて、解き放たれた。

「紅月-アカツキ-」はKOBAMETALのルサンチマンを癒すどころか、メタル復興の狼煙となり、世界を変えたのだ。

翌年2013年6月30日に行われたLegend“1999”では、初めて神バンドが生で「紅月-アカツキ-」を演奏した。

セトリが終わり、暗転してアンコールの声が響く中、「紙芝居」のナレーションは、「より高くもっと高く天に届くまで、そして神のもとへ向かうため、人々はさらなる高みを目指し神への祈りを捧げるのであった。漆黒の闇に紅の月が浮かぶころ、神の啓示を受け、ついに自らが神へと生まれ変わることを知り、SU-METALは己の中の葛藤と戦っていた。だが運命の時は刻一刻と迫っている。天へと続く道はすでに開かれたのであった。」という。

前回2月1日からわずか4か月、生バンドをバックにしたSU-METALは、さらに進化していた。声にか細さは残っているが、声量が増し、歌詞による強弱がつき、迫力ある歌い方になっている。冒頭、マントを翻すとポンコツすぅらしく体に巻き付いてしまうが、それが自然に振りほどけるほど体の動きに勢いがある。表情、手振り、そして何よりも虚空をにらみつける目が強い。

パイロから何本も炎が立ち上がる。

青い照明の中にLeda、BOH、青山秀樹、大村孝佳による神バンドが浮かび上がる。

高校1年生になったSU-METALは、爆音を奏でるバンドを堂々と従え、圧倒的な存在感と声量で「メタルへの愛」を歌い上げる。

自分で言っているが、ふだんの中元すず香本人から見ても、ステージ上のSU-METALはカッコいい。「キツネ様」「神が降臨しているのでライブ中の記憶がない」というのは「設定」に過ぎないのだが、実際「神がかり」といってもよいほど、ステージ上のSU-METALは「メタルの守護神」そのものになるのだ。

ところが、2013年12月21日Legend“1997”SU-METAL聖誕祭では、全く違ったアプローチに、古参メイトは感涙にむせぶことになる。

「紙芝居」は重厚なパイプオルガンをバックに、「メタルの魂を守るため自らの命と引き換えに戦ったSU-METAL。やがてSU-METALの魂は紅の炎となり天空を赤く染めたのだった。だが遠くの星が消えゆくように命の終焉はこの世の理(ことわり)なのだ。今、紅き月がSU-METALとともに燃えゆく…」という凄絶なナレーション。

続いて、初めてピアノによるイントロが流れる。観客は、いつものカッコいい「紅月-アカツキ-」だと思って歓声をあげるが、始まったのはピアノとストリングスによって奏でられる「紅月-アカツキ-Unfinished Ver.」だった。

SU-METALは、巨大なマリア像の前に座り込み、舞台に手をつきながら、悲壮な表情で歌い始める。「♪いくせ、んもの。よるを、こーえて。いきつーづーけーるーあーいーが。あるーからー。」とぎれとぎれの歌い方。もう命が尽きるかのような苦しみの表情。

「♪ひーとみの、奥に、ひーかーるー。泣きだーし、そうな、つーきがー…」

ピアノとストリングスの静かな伴奏に、座ったまま切々と歌い上げるSU-METAL。

「♪せいじゃ、く。のなかーでー」リズムを変え、手ぶりをくわえながら、傷つき倒れた女戦士の“白鳥の歌”としての「紅月-アカツキ-」を歌い上げていく。その表情の切なさ、座っていても圧倒的な声量と表現力にただただ圧倒される。

おぼつかない足どりで立ち上がるのは一度だけ。「♪過ぎてゆくーときーの中、ひとみーをとーじた、ままー…」「♪このてーに。ながーれる。あかい。いと。きえてーもー、かんじーてーいるー、きずなーをー」このリズムの取り方は天才的だ。見ていると自然に涙があふれてくる。

1年前のLegend “D”や10ヶ月前のLegend ”Z”、6か月前のLegend“1999”とは、次元の違う表現力。

再び座り込んでしまったSU-METAL。

「♪この身体が、ほろーびる。までーーー。いのちーがーーー消えるまで。守り。続けていく…」のところは文字通り絶唱である。これを聴いて感情が揺さぶられない人はいないはずだ。1曲が一幕のドラマになっている。カラオケマシンで100点を取るのが歌手の力量ではない。こういうのを本当の歌唱力というのだ。

DVD/BD『Legend”1999”&”1997”』に記録されたこの歌唱をもって、中元すず香は16歳にして、わが国音楽史上屈指の歌手であることが証明される。

SU-の歌に観客の心はわしづかみにされた。歌い終わった後の拍手がもの凄い。

だがこのあと、あのイントロが流れ、藤岡幹大、BOH、青山秀樹、Ledaの布陣となった神バンドが「BABYMETAL DEATH」を奏で、SU-METALは、黒いフードを被った男たちによって十字架に縄で縛りつけられ、コルセットをつけられて磔にされる。聖誕祭だというのに。

「DEATH!DEATH!」と大観衆が叫び、YUIとMOAがぴょんぴょん飛ぶ中、マリア像=偶像=アイドルの首が崩れ落ち、特効の爆発により、サディスティックにライブは終わる。

そして、スクリーンには「赤い夜~天下一メタル武道会Final巨大コルセット祭り」と「黒い夜~Dooms Day召喚の儀」日本武道館2Daysの文字。観客の大歓声が上がり、最後の最後に1stアルバム「BABYMETAL」のリリースが告知されて終演となる。

今見てもすさまじい大展開である。

このLegend”1997“の6曲目に録画された初披露の「ギミチョコ!!」のMVが欧米で1000万を超える視聴者を集め、日本武道館「黒い夜~召喚の儀」で欧米進出が発表され、数か月後には、あれよあれよという間に「世界のBABYMETAL」「世界のSU-METAL」となっていくのだから。

だが、その称号を受ける資格は十分にあった。

それこそ「紅月-アカツキ-Unfinished Ver.」でSU-METALが見せた卓越した歌手としての力量であり、藤岡神が加入して盤石の体制となった神バンドの存在であった。

(つづく)

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