★今日のベビメタ
本日4月22日は、過去BABYMETAL関連では大きなイベントのなかった日DEATH。
ベビメタちゃんたちは、今日はDay Off。
そこで今日は、まだアップしていなかった東京ドーム「Black Night」のインプレションを。
「キッツネッだおー」
KOBAMETALのふざけたMCが、遠く離れたアメリカで戦う三人から、7か月前の雨の東京ドームへとぼくの記憶をタイムトリップさせる。
「BABYMETAL DEATH」はやはり最強のオープニングだ。
前日と同じく、中央塔のてっぺんに白い装束の三人が出たと思ったら、花道の先端から十字架にかけられて三人が登場する。わかっていてもその「神出鬼没」感に、見る者は戦慄と昂奮のるつぼに叩きこまれる。
タワレコ新宿店で東京ドームの衣装展が行われたが、「黒い夜」なのに、衣装は前日より赤パーツが多く、特にSU-の肩のフサフサと長く伸びた赤いスカートのしっぽは、メギツネの女王という風格を感じる。
曲中、YUIの表情がアップになる。MOAの「ニヤリ」も最強だが、YUIの場合、いつもは「ニッコリ」という感じなのに、ここでは「ニヤリ」という感じで妖艶ささえ感じる。
2曲目は「あわだまフィーバー」。ウェンブリーと同じ入り方だ。ここでのSU-の煽りも凄い。「Oh、Yeah!」のところで「歌って!」「もっとー」と前日は英語だったのに日本語で煽るから、観客はおのずからトップギアに入る。
3曲目の「ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト」は、アミューズ渾身のレーザーショー。これだけの大会場で縦横無尽に繰り広げられると壮観の一言。合いの手の難曲と呼ばれていたが、5万5千人が見事に入れている。事前学習をしてきたのだろう。それだけみんな気合が入っていたのだ。
4曲目は「メタ太郎」。コミカルなフォークメタルで、SU-は「子どもにも歌えるから好き」と言っていたが、ここでは初めて「Woo Woo Woo Woo…」のところでSU-が「Sing it!」と叫び、5万5千人のシンガロングになった。ぼくは三階席にいたが、バンドがストップして、大合唱となったとき、キーがわからなくて混乱した。
「Sis. Anger」の前に、神と獣がどうしたこうしたとかいう「紙芝居」が入る。それはどうでもいいのだが、遠くからではわからなかったYUI、MOAのダンス、表情が素晴らしい。細かい動きまで、二人が「表現」しようとしていることがよくわかる。
ドラマチックな交響曲に続く「Mischief of Metal Gods」。Leda神と大村神だとやっぱりソロは、アウトなフレージングでもどこかブルーノートが含まれた激しいロックフィーリングに聴こえる。BOH神のスラップ、ライトハンドの奏法が冴えわたる。やっぱり「CMIYC」とはテンポが違い、余裕を持ったインプロビゼーションが可能な曲なので、2017年度もやればいいと思う。あと、次のアルバムではぜひ神バンドのインストゥルメンタル曲を入れてほしいなあ。
会場は動から静へ、そしてまた動へ。映画のワンシーンのようなつなぎのオケから、ピアノのイントロ。「紅月-アカツキ-」である。ターンテーブルのように回る中央舞台で歌うので、ウェンブリーのような疾走感はないが、アップになる表情や身振りで、SU-がこの曲にどれだけの感情を込めているかがよくわかる。
続いて和楽器&「セイヤ」の掛け声から、久々の「おねだり大作戦」。やっぱりこのファンク感、小悪魔感はこの二人にしか出せない。体が大きくなっても時々見たいよなあ。
前日と同様、SU-ソロ→BBM→SU-ソロという順番で、次の曲は、5万5千人が泣いた「No Rain No Rainbow」。逆光でSU-を追っていくカメラワークがいいね!「紅月-アカツキ-」では見せなかったLeda、大村の背中合わせソロ。泣かせる要素満載。
この間にSU-は塔の上に立っている。これだけ遠くまで届く表情と透き通る歌声をもった歌手が、アイドルをやっているのだ。いや、これぞ本物のアイドル、スターである。
そして暗転後は「ド・キ・ド・キ☆モーニング」というギャップ。
ぼくはですねえ、この曲がかかると、どうしても目から汗が出そうになるのですよ。
これがBABYMETALの原点。すべてはこの曲から始まったのである。
「アイドルとメタルの融合」そのものであるこの曲を、BABYMETALの三人は、6年間、大切に、大切に歌ってきた。その結果、この東京ドームの中央塔のてっぺんに立った。その喜びと誇りが、YUI、MOAの表情から伝わってくる。
そして、それはキツネ様のお告げのおかげ。「メギツネ」が始まる。よくぞこんな曲を作ったものだと今さらながらに思う。「アイドルとメタルの融合」だけでも凄いのに、そこに和風テイストのメタルリフ、お祭りファンクを組み合わせ、歌詞はド演歌。それが海外進出の秘密兵器になった。今、アメリカを転戦中のさなかにも、この曲は観客を熱狂させる破壊力をいかんなく発揮している。
東京ドームでも、5万5千人が踊り狂う。そこで煽りが来る。
YUI「みんなーもっと出せるよね」MOA「全っ然っ聞こえないよー」
観客は「ウォー」と叫ぶしかない。
もいもい「ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!」
観客「ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!」
もいもい「ソレ!ソレ!ソレ!ソレ!」
観客「ソレ!ソレ!ソレ!ソレ!」
SU-「ソレ!ワン、あツー、あ1、2、3ジャンプ!」ジャンプ厳禁の東京ドームで、ついにやっちゃった。さすがクイーン。ここから一気呵成、大盛り上がり大会の佳境に入る。
ドーム中に不吉な、しかし「覚醒」の瞬間を導くパイプオルガンが鳴り響く。
「ヘドバンギャー!!!」である。
2012年、初めて単独名義でインディーズデビューとなったこの曲で、BABYMETALのメタル魂は覚醒した。というか、三人がこの曲にかけた情熱によって、ぼくらメイトが覚醒させられたのだ。
「♪伝説の黒髪を華麗に乱し…」SU-の表情は気迫に満ちている。
「ヘドバン、ヘドバン」とYUI、MOAが腰に手を当ててステージ前面にせり出してくる。「♪いーちごのよーるを」の折り畳みジャンプが高い!
そして、来ました、ヘドバン地獄。
YUI「もっともっとー」MOA「ちゃんと頭振れー」SU-「お前らの本気そんなもんか」いやはや、4年間の集大成だけに、古参ほど必死になる。「重音部」タオルをもったオサーンが、最前列で土下座ヘドバンしている姿が映る。それでも三人は許してくれない。永遠に続くかと思われるヘドバン地獄。これ、ギネス申請すれば最多人数ヘドバン記録になるよね。
ギターソロから、人形ぶりで崩れ落ちるフィニッシュまで恐ろしいほどの完成度だった。
ファイナルソングは「イジメ、ダメ、ゼッタイ」。
ドームにSU-の澄み切ったハミングが響く。
デビューして次にできたのがこの曲だった。幼いながらも、いじめをなくそうというメッセージを込めたパワーメタル。だが、学院祭でも、アイドル横丁祭りでも、TIFでも、AFAシンガポールでもこの曲だけは映像化されなかった。大切に温めてきたメジャーデビュー曲。
2013年1月、この曲のデビューキャンペーンで初出演した日本テレビの番組で、BABYMETALは「世界征服」の書初めを披露した。
2014年2月、初出演したMステで、AKB48のメンバーは笑いながらXジャンプをやってくれた。同年3月、日本武道館「赤い夜」で、YUIがステージから転落し、這い上がってクラウチングスタートのポジションをとったとき、SU-とMOAがアイコンタクトして、三人が固い絆で結ばれていることを1万人のモッシュッシュメイトが目撃した。
そして2014年7月、6万人のイギリス人メタルヘッドが待ち受けるソニスフィアで、三人は伝説を作った。
その曲が、2016年ワールドツアーファイナル、東京ドーム2日間のフィナーレだった。
ハミングが終わり、イントロが始まり、SU-が「あー」と絶叫すると、YUIとMOAが、棺桶を模した30メートルの花道を疾走した。
そして、駆け上がるツインギター。響き渡るブラストビート。うねるベース。
神バンドの演奏に背中を押され、気迫に満ちた表情で歌い上げるSU-。キレキレの偽闘で心を込めるYUIとMOA。そう、これがBABYMETALである。
「イジメ、ダ~メ、ダ~メ~」と歌声がドーム全体に響き渡ると、ツインギターのダブルストップから、一瞬のタメのあと、「ジャーン」とエンドコードEが延々と鳴り響く。
その中を三人は駆け回り「We are?」と観客に問いかける。5万5千人の観客は一人残らず「BABYMETAL!」と絶叫する。
最後の花道で、SU-が滑ったところは映されないが、三人が肩を組み、YUIがマイクで「We are?」と叫び、MOAにも渡すのかと思うとSU-がスカし、MOAがヘッドセットで「We are?」と叫ぶシーンが映し出される。その喜びに満ちた三人の姿に、ぼくの涙腺は崩壊する。
そして、中央塔のてっぺんでの巨大銅鑼を鳴らして、東京ドーム2日間が終了。
この時点ではまさか、あれほどのベビメタロスがぼくらを襲うとは思いもよらなかった。
この「東京ドーム」BDは、4月20日付オリコンチャートで4作連続の第1位。1位を獲得した数で歴代3位となったことが昨日発表された。めでたい。
さあ、明日からはレッチリUSツアー後半戦。フロリダ侵攻の前に、Rock City攻略戦だ。