The Oneとは | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
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BABYMETALの公式ファンサイトのことをThe Oneという。

2015年1月、3,500円を払ってIDナンバー付のグッズ(2016年はフード付タオル)を買い、登録する公式ファンサイトの名前は、それまでのBABYMETAL APOCALYPSEに代わって、新たにThe Oneになった。

それは、2014年11月のUK追加公演、02アカデミーブリクストンの“紙芝居”に初出したものである。話題のBABYMETALを見るためにあつまったイギリス人観客は、それほど重厚な「物語」など欲していなかった。しかし、KOBAMETAL作の英語版“紙芝居”は、地球誕生とともに、SF的な「メタル生命」が誕生したのだが、現代の人類はコンピュータが支配するバーチャルワールドに慣れ、生命力を失った。そこでBABYMETALは人類に再び生命力を吹き込み、ファンは一体化してThe Oneとなるのだ、というギミック・ストーリーを告げるものだった。

そのため、続いて披露された当時新曲の「Road of Resistance」のことを、イギリス人たちは数か月間「The One」だと思い込んでいた。だって曲名を言わないのだから。

誰も言わないので言っておくが、これは、BABYMETAL史上、結構恥ずかしい“黒歴史”ではないのかな。

要するに、KOBAMETALが小学6年生で聖飢魔Ⅱと出会ったときから抱いていた「世界のメタルファンはみな兄弟。メタルによって命を吹き込まれたThe Oneだ」という一方的な思い込み・思い入れは、後から考えれば当たり前だが、イギリス人にはぜんっぜん理解されなかったのである。

にもかかわらず、2015年から、公式ファンサイトはThe Oneという名前になり、2015年1月の新春キツネ祭りの映像が公式MVとして公開されて初めて、あの曲は「Road of Resistance」というのだということが、全世界に明らかとなった。

本当の「The One」という曲が披露されたのは、それから約1年後の2015年12月の横浜アリーナ初日であった。

話は飛ぶが、2016年11月11日、「スターウォーズ~ローグワン」のロードショウ前の映像一部公開が行われた。敵役ダースベイダーの本拠地デススターの設計図を盗み出す決死隊の話。つまり、1977年の第一話(スターウォーズエピソード4/新たなる希望)のスピンオフ=裏ストーリーというわけだが、そのグループの名前が、ローグ・ワンである。公開された映像では、主人公の女戦士ジンが加わったグループで、メンバーが迷いながら「We gonna be…Rogue One」だったか、和訳すれば、「おれたちみんな…ローグの一味だろ」というセリフを吐く。「One」には、このように仲間とか一味という意味が確かにある。

さらに話は飛ぶが、グラミー賞最優秀メタルパフォーマンス賞に輝くMetallicaのアルバム「Metal Justice」に収録された「One」は、ベトナム戦争で手足を失った兵士のことであった。「BABYMETAL DEATH」は、明らかにこの「One」の“オマージュ”であるが、この文脈では、「あるひとりの兵士」「誰でもありうる人間」の意味である。

話はどんどん飛躍するが、欅坂46の癒し系キャラ米谷奈々未は、小学校6年生のとき、担任によってクラスのことを「One」と呼ぶように指導され、その気になって「Oneは終わらない」「6年2組のみんなと築いてきた大切なOneは、中学校へ行っても、一生終わらない」と卒業文集に書いた。(「欅って書けない」#25)

ぼくは寡聞にして知らなかったが、特定地域の小学校では、クラスや仲間のことを「One」と呼ばせ、一体感を醸し出すという学級経営メソッドがあるのかもしれない。米谷奈々未は大阪出身。もしかしたらKOBAMETALもその地域出身なのか?

学校英語での「One」は、数詞の他、「~のようなもの」という代名詞として教えられるが、俗語としての「One」、「The One」には、このように文脈によって、さまざまな意味がある。

KOBAMETALも、そのような色々な意味を込めて、ファンをThe Oneと呼びたかったのであろう。当初ほとんどその真意は理解されなかったが。

だがしかし。

11月7日に放映されたテレビ東京の「Youは何しに日本へ」で、初来日したリーさんとベッキーさんの番組を見て、あの02ブリクストンにいたイギリス人の中にも、The Oneを理解できる人物がいたのだ、ということを改めて知った。

メタル専門誌「Burrn!」12月号(平成28年11月5日発行、シンコーミュージック)には、Dragonforceのベーシストで、ソロ活動のデスメタルバンドSINSAENUMではギタリストを務めるフレデリク(フレッド)・ルクレールのインタビューが掲載されている。(P.88~91)

この中で、彼はDragonforceがレコーディングに参加した「Road of Resistance」でも、ダウンロード2015と、ゴールデンゴッズ2015の表彰式で共演した「ギミチョコ‼」でもなく、「僕は“The One”の英語ヴァージョンが好きだな。素敵な曲だよ。」と言っている。

「Burrn!」は、広告を掲載しないBABYMETALについては、積極的に記事を掲載しない方針を貫いているが、この号では、フレッドのインタビューの8割がBABYMETALのことだったし、日本のガールズメタルバンドMary’s Bloodの3rdアルバムのインタビューでも、ゆよゆっぺの楽曲に関して、記者がBABYMETALの話をふっている。Mary’s BloodのSAKI(g)は2代目アニメタルにも参加している腕利きのギタリストだ。ちなみにMary’s Bloodのメンバー全員BABYMETALのファンだそうだ。

で、とりとめもなくなっちゃったけど、こういうことだ。

2014年11月の段階で、KOBAMETALが紙芝居で説明しようとした「The One」という虚構は、2015年に本当の「The One」という曲でようやく、ベビメタファン、へヴィメタファンは、みんな仲間なのだ、という単純な意味だったのだということが理解された。そしてその感覚は23年さんに代表されるように、世界中に広がった。2016年ウェンブリーの万国旗の映像、東京ドームの11万人の映像は、今や世界各国のメイトたちが、「いざ鎌倉」となれば駆けつけるほどの規模に広がったことを示している。

本日から1週間、11時、13時、15時、17時、19時ジャストから、西武新宿駅前の交差点で、ウェンブリーの映像が32分間公開される。Blu-ray、DVDの発売キャンペーンだが、街頭LVである。ぼくは営業途中に立ち寄る。もしお会いできたら、限定15名様に手作りThe Oneマグネットを贈呈します。目印は、黒赤のDiabloバッグです。