最後の訪問
いまだに報道陣が家の前に陣取っている中、誰にも気付かれないように気配を消して縫うように建物の中へ。
部屋に入ると、中央にあるベッドの上に美穂ちゃんは眠っていた。
訃報を聞いてから初めての対面。
分かってはいたことだけど、やはり泣いてしまった。
「ほんと、何してくれてんだよ」
震えた声でそう言ったが、美穂ちゃんは知らんぷりしている。
今にも起きてきて
「ちょっと、あんたたち何してんの?」
と言いそうなくらい、いつもの寝ている姿と変わらない様だった。
美穂ちゃんが亡くなった日は、人生の中で1番携帯電話が鳴った日になった。
こんな、10人くらいしか見てないひっそりとやっていたブログがあり得ないくらい多くの人の目に触れてしまった。
連日家の前にいる報道陣の数
話題性の大きさ
忍ちゃん含め、その部屋に居た全員が
「本当に凄い人だったんだね」
と改めて共感した。
泣いているし、目の前にいるのに、やっぱり受け入れられずにいる。
脳がバグってるようだ。
この部屋には何回来ただろう?
飲みに行った後にこの部屋でまったり話すこともあった。
鍋パーティーをしたこともあった。
忘年会もした。
夜中に酔っ払いながら「お酒買ってきて」と呼び出されたこともあった。
改めて考えたら、意外と料理が上手だったなぁ。
この部屋に来るのはこれが最後になるだろう。
お別れの挨拶に来たつもりだったけど、最後は
「美穂ちゃん、バイバイ、またね」
と手を振って部屋を出た。