
なぁ、あの頃のオレ。
イタリアへ来てから、
毎日が、
新鮮やった。
街並み。
建物。
石畳。
教会。
広場。
どこ見ても、
「映画やん。」
そんな景色ばっかり。
……
まぁ、
イタリア来るん、
2回目やけどな。
なぁオレ。
初上陸みたいな顔して、
感動すな。
でも、
前に来た時とは違う。
今度は、
ここで暮らす。
そう思って見ると、
何もかもが、
特別に見えた。
歩いてる人も、
なんか違う。
男の人は、
ダンディ。
女の人は、
オシャレ。
「これが、
イタリアかぁ。」
オレ、
いちいち、
感動。
ほんで、
一番、
ビックリしたんが、
子ども。
……
可愛すぎる。
クリクリの目。
ぷっくりしたほっぺ。
その辺を、
普通に歩いとるだけで、
お人形さんみたい。
……
なぁオレ。
子ども見て、
いちいち、
衝撃受けすぎや。
ほんで、
オレには、
もう一個、
どうしても、
分からんことがあった。
こんな、
可愛らしい子どもが。
大人になったら、
街で見かける、
あの、
渋いダンディな、
おっちゃんになる。
……
何でや。
途中、
何があった。
お人形さんから、
ダンディなおっちゃんまでの、
進化の途中、
一回、
見せてくれ。
……
まぁ、
そんな感じで。
あの頃のオレには、
イタリアの、
何もかもが、
日本とは違って、
特別に見えとった。
街も。
人も。
景色も。
建物も。
全部、
イタリア仕様。
……
そして。
この思い込み。
ついに、
生き物にまで、
広がっていく。
◆ 動物まで違うと思ってたオレ
そんなオレが、
ある日、
ふと思った。
……
「そういや、
イタリアのネコって、
どんなんやろ。」
……
なぁオレ。
何で、
そこ気になった。
サッカーしに、
イタリアまで来て。
そこで気になったん、
ネコか。
でも、
あの頃のオレ。
本気で、
思っとった。
イタリアのネコも、
絶対、
日本とは違う。
だって、
イタリアやで。
街並みも違う。
建物も違う。
人も違う。
子どもまで、
お人形さんみたい。
せやったら、
ネコも、
絶対、
イタリア仕様や。
……
なぁオレ。
どういう理屈やねん。
オレの頭の中では、
イタリアのネコは、
もう、
普通のネコちゃう。
顔は、
シュッ。
目ぇは、
キリッ。
歩き方も、
スタスタ。
屋根の上を歩いたら、
そこはもう、
ランウェイ。
……
ネコ界の、
イタリアモデル。
ほんで、
鳴き声まで。
「ニャー。」
じゃなくて。
……
「チャオ。」
とか、
言うんちゃうか。
……
なぁオレ。
言うか。
ネコにまで、
イタリア語、
しゃべらすな。
でも、
それくらい、
期待してた。
いつか、
街で出会うであろう、
本場の、
イタリアネコ。
……
そして、
ある日。
ついに、
一匹のネコを、
見つけた。
「おっ!」
オレ。
ちょっと、
テンション上がる。
……
ついに、
来た。
イタリア仕様の、
ネコや。
◆ 思ってたんと違う
オレ、
ちょっと、
近づいてみる。
どんな顔、
しとるんや。
やっぱり、
シュッとしてるんか。
目ぇも、
キリッとしてるんか。
……
見る。
……
「あれ?」
もうちょい、
見る。
……
「あれ?」
……
普通や。
日本で見るネコと、
そんなに、
変わらん。
……
なぁオレ。
何を、
ガッカリしとんねん。
ネコは、
何も悪ないぞ。
お前が勝手に、
イタリア背負わせただけや。
でも、
オレ。
まだ、
認めへん。
「いや、
たまたまや。」
……
何が、
たまたまやねん。
「このネコが、
普通なだけや。」
……
なぁオレ。
イタリアのネコにも、
普通枠、
作るな。
そして、
別の日。
また、
ネコを見つけた。
「おっ。」
今度こそ。
……
見る。
……
普通。
また別の日。
ネコ。
……
普通。
……
なぁオレ。
もう、
ええやろ。
何匹、
確認すんねん。
お前、
イタリアまで、
サッカーしに来たんやぞ。
いつから、
イタリア猫類調査員に、
なったんや。
それでも、
街でネコを見るたび、
ついつい、
確認してまう。
……
そして、
ようやく、
オレも気づいた。
「思ってたほど、
変わらんな……。」
……
そらそうや。
イタリアのネコかて、
お前の期待に応えるために、
生きてへんわ。
◆ 結論
なぁ、あの頃のオレ。
お前は、
イタリアへ来たら、
何もかも、
特別やと思っとった。
街も。
建物も。
景色も。
人も。
子どもも。
全部、
日本とは違って見えた。
ほんで、
その勢いのまま。
動物まで、
イタリア仕様やと、
思い込んだ。
……
特に、
ネコ。
顔は、
シュッ。
目ぇは、
キリッ。
歩けば、
ランウェイ。
鳴き声は、
「チャオ。」
……
なぁオレ。
イタリアに、
期待しすぎや。
ネコにまで、
国背負わせるな。
実際に、
見てみたら。
……
普通に、
ネコ。
一匹見ても、
ネコ。
もう一匹見ても、
ネコ。
……
当たり前や。
イタリアのネコかて、
朝起きて、
「今日も、
イタリアらしく、
シュッとしとこ。」
とか、
思ってへん。
お前が、
勝手に、
期待して。
勝手に、
想像して。
勝手に、
確認しに行って。
勝手に、
「普通や……。」
って、
ガッカリしただけや。
……
迷惑なヤツやな。
でも、
それくらい。
あの頃のオレには、
イタリアの全部が、
特別に見えとった。
知らん街。
知らん文化。
知らん人。
見るもん全部が、
日本とは違って、
キラキラして見えた。
その結果。
……
ネコまで、
巻き込んでもうた。
なぁオレ。
海外への憧れが、
強すぎると。
ネコ一匹で、
ここまで、
楽しめるんやな。
……
まぁ、
ネコからしたら。
「知らんがな。」
やろうけどな。
【一言まとめ】
イタリアに期待しすぎて、
ネコにまで期待してもうた。
【次回】
何でやねん!と思ったオレ。