
なぁ、あの頃のオレ。
あの頃のお前、
平日は普通に土木。
汗。
泥。
親方。
「来い」
「ちゃう」
「遅い」
の無限ループ。
でも週に1回だけ、
空気違った。
イタリア語教室の日や。
作業着脱いで、
電車乗って、
ボンジョルノ言う世界へ行く。
なぁオレ。
人生、
振り幅エグい。
少し前まで👇
「そこ掘れ」
「土運べ」
やったのに、
今👇
「グラッツィエ」
「アリヴェデルチ」
言うてる。
ジャンル変わりすぎや。
◆ 相変わらず、イタリア語は難しい
なぁ、あの頃のオレ。
イタリア語教室な。
相変わらず、
しんどかった。
教室向かう電車の中なんか、
毎回頭ん中👇
「今日こそ心折れるかもしれん……」
「いや、たぶん折れる」
「もう折れてる可能性ある」
ずっとこれ。
なぁオレ。
メンタル、
雨の日の段ボールぐらい頼りない。
でもな。
不思議と行く。
行ったところで、
先生の話半分も分からん。
発音も怪しい。
それでもまた来週行く。
なぁオレ。
逃げ癖あるくせに、
たまに変なとこでしつこい。
◆ ほんで昼は、相変わらず現場
でも現実は、
普通に土木。
その日も、 親方と現場。
なぁオレ。
この頃のお前、
ちょっと勘違いし始めてる。
現場に慣れてきた。
道具の名前も少し覚えた。
親方にも前ほど怒られへん。
つまり👇
完全に調子乗ってる。
まだ半人前やのに、
気持ちだけベテランや。
ショベルカー運転しながら、
親方👇
「この辺掘ったらええんか?」
って聞いてくる。
オレ👇
「たぶんその辺っす!」
なぁオレ。
分かってへんやつほど、 返事だけ早い。
親方👇
「ここ大丈夫か?」
オレ👇
「大丈夫っす!」
なぁオレ。
大丈夫ちゃう。
お前が一番危ない。
◆ 事件、静かに始まる
ショベルカー👇
ガコン。
ガコン。
ほんで次の瞬間。
バキッ。
……シーン。
オレ👇
「えっ?」
親方👇
「ん?」
次の瞬間。
地面から👇
ブシャァァァァ!!!
なぁオレ。
3秒前まで、
現場できる男みたいな顔してた。
全部飛んでった。
オレ👇
「えっ?」
「えっ?」
「えっ?」
なぁオレ。
語彙、
完全終了。
親方👇
「うわ、水道管やんけ!」
なぁオレ。
さっきまでベテラン気取りやったん、
全部なかったことになった。
◆ とりあえず止めにいくオレ
ほんでお前、
反射的に両手で止めにいく。
なぁオレ。
まず謝れ。
なんで戦おうとしてんねん。
いや、
止まるわけない。
でも必死。
顔ビシャビシャ。
服ビシャビシャ。
靴の中、
終了。
なぁオレ。
その姿、
水道管壊した犯人というより、
雨の日に迷子なった犬や。
ほんで親方👇
「止まるかそれぇ!!」
なぁオレ。
そら止まらん。
お前の信用と一緒で、
もう噴き出してる。
◆ 親方、普通に止める
ほんで親方、
工具箱からなんか取り出す。
オレ、
まだ必死に押さえてる。
親方👇
「どけどけ」
ほんで割れた塩ビパイプに、
工具つけてギュッと締める。
すると👇
ブシャァァ…… ↓ チョロチョロ……
止まった。
なぁオレ。
止め方、
めちゃプロや。
オレ、
全身ビショビショなってたん、
何やってん。
しかも親方👇
「こうやって止めんねん」
って普通に言うてる。
なぁオレ。
現場の知識、
全部あと出しや。
◆ おっさん、めっちゃ笑ってる
ほんで後ろ見たら、
60代のおっさん。
「アハハハハ!!」
腹抱えて笑ってる。
親方より先に、
おっさんが楽しんでる。
なぁオレ。
被害者、
オレやぞ。
「オレくん、 ビチャビチャやんけぇ!!」
しかも笑いながら👇
「風呂入ったあとみたいやな〜」
なぁオレ。
確かにそうや。
でも今欲しいんは、
タオルや。
◆ それでも、ちょっと楽しかった
でもな。
不思議やけど、
あの頃ちょっと楽しかった。
失敗して。
怒られて。
ビショ濡れなって。
ほんで週1、
イタリア語行って。
人生めちゃくちゃ。
でも退屈ではなかった。
なぁオレ。
あの頃のお前、
ちゃんと前進んでたな。
方向フラフラやったけど。
◆ 結論
なぁ、あの頃のオレ。
イタリア語覚える前に、
まず日本の水道管勉強しろ。
ほんで“たぶん”で インフラ触るな。
でもな。
現場で失敗して。
教室で分からへん顔して。
それでもまた来週行って。
その繰り返しで、
お前ちょっとずつ
前向けるようになってた。
なぁオレ。
あの頃のお前、
だいたい失敗してた。
でも止まってはなかった。
【一言まとめ】
“たぶん”で掘った結果、水道管とオレが終了した。
【次回】
話が急にデカなって焦るオレ。