
なぁ、あの頃のオレ。
現場でやらかしてもうて、
右手薬指終了。
包帯グルグル巻き。
見た目、
ほぼミイラ。
しかもコイツ、
動かさんでも痛い。
「ズキズキズキズキ」
自己主張だけは一人前。
夜なんか最悪や。
寝ようとした瞬間👇
「ドクン……ズキッ」
「ドクン……ズキッ」
心臓の鼓動と
合わせてきよる。
なぁオレ。
痛み、
リズム刻むな。
しかも昼より、
夜の方が痛い。
なんなんアレ。
夜型なんか。
主張激しすぎる。
ほんでお前、
眠いのに寝られへん。
寝返りで👇
「ッッッッ!!!」
一人で悶絶。
なぁオレ。
イタリアどころか、
まず安眠目指してる。
◆ ケガがくれた“時間”
でもな。
このケガ、
悪いことばっかちゃうかった。
働かれへん。
現場も行かれへん。
つまり👇
時間だけは、
アホほどある。
なぁオレ。
人生、
急に“暇”ぶっこんでくる。
ほんで暇になると、
考える。
「あのままイタリア行ってたら」
「今ごろどうなってたやろ」
でも同時に、
現実も見えてくる。
「……言葉、
全然できへんやん」
今さら。
気づくの、
だいぶ遅い。
なぁオレ。
勢いで海外行こうとしてたくせに、
“会話”の存在後回しすぎる。
◆ 独学、スタート
ほんでお前、 イタリア語の参考書開く。
最初のページ👇
「Buongiorno (ボンジョルノ)」
おぉ!!
これは知ってる!!
どっかで聞いたことある!!
この時のオレ、 完全に調子乗ってた。
「余裕やん」 「もう半分イタリア人やん」
なぁオレ。
どこがやねん。
覚えた単語、 まだ1個やぞ。
しかもその1個、 テレビでも聞けるやつや。
「イタリア語、 意外とイケるんちゃう?」
……なお。
この自信、 数ページ後に消滅する。
◆ “gli”とかいうラスボス
次のページ。
“gli”
……誰やねん。
アルファベットの並び、 完全にルール違反。
gとlとi、 三人で何してんねん。
会議でも開いとったんか?
なぁオレ。
まずお前、 英語も怪しいねん。
その状態で イタリア語の裏ボス出てきたら そら詰む。
しかも読み方👇
「リ」と「ギ」の間。
知らん。
その間、 知らん。
なぁオレ。
まず日本語も怪しい日あるのに、 何で外国語2個目行こうとしてんねん。
◆ 男か女か、多すぎ問題
しかもイタリア語、
聞き取りは意外とできる。
「ボンジョルノ」
「グラッツィエ」
発音は、
思ってたより耳に入る。
なぁオレ。
ちょっと調子乗り始めてる。
でもな。
次に現れた壁。
男性名詞。
女性名詞。
……は?
単語に、
性別ある。
どういうこと?
参考書には👇
「語尾がoなら男性名詞」
「aなら女性名詞」
とか書いてある。
いや待て。
単語に男も女もあるん?
日本語、
そんなシステムない。
ほんでお前、 途中から混乱し始める。
「これは男?」
「これは女?」
「え、机って男なん?」
「ピザはどっちや?」
なぁオレ。
お前まず、 自分の人生の進路も分かってへんのに。
机の性別気にしてる場合ちゃう。
しかも名詞の頭につく
冠詞っちゅうのが変わる。
il。
la。
uno。
una。
多い。
ルール、 多い。
ほんでお前、 途中から👇
「イタリア人、 なんでこんな複雑にしたん?」
ってキレ始める。
知らんがな。
でもな。
意味分からんなりに、
ちょっとずつ繋がり始める。
発音して、
書いて、
間違えて。
その繰り返し。
なぁオレ。
勢いだけやったお前、
初めて“勉強”してる。
◆ 最初に覚えた単語、まさかのコレ
教材にはちゃんと👇
「Ciao(チャオ)」
「Arrivederci
(アリヴェデルチ)」
とか載ってる。
せやのに。
オレの脳に
一瞬で定着した単語がある。
それが👇
ピッツァ。
理由はシンプル。
指ケガして、
テンション最悪の時。
オカンが👇
「なんか食べたいもんある?」
って聞いてくれた。
オレ、
小さい声で👇
「……ピザ」
ほんだら、
ほんまに買ってきてくれた。
その瞬間。
指の痛みより、
ピザの匂いが勝った。
脳、
完全に学習。
ピッツァ=癒やし
ピッツァ=正義
なぁオレ。
覚え方、
だいぶ食欲頼りや。
◆ 近所迷惑な語学学習
ほんで参考書には👇
「発音は声に出して覚えましょう」
って書いてある。
真面目なお前、
ちゃんと実践する。
部屋で一人👇
「チャオ!!」
「ボンジョルノォォ!!」
「アリヴェデルチィィ!!」
叫ぶ。
包帯巻いた右手で、
参考書押さえながら、
発音だけ一丁前。
なぁオレ。
まわりから見たら、
だいぶ怖い。
右手ミイラで、
急にイタリア語叫ぶガキ。
ジャンル不明すぎる。
◆ それでも、前には進んでた
でもな。
この頃のお前、
下手くそでも、
意味分からんくても、
ちゃんと前進んでた。
前みたいに👇
「勢いで行く!!」
だけちゃう。
ちゃんと、
積み上げ始めてた。
ゆっくり。
めちゃくちゃ。
遠回り。
でも止まってはなかった。
なぁオレ。
ほんまのスタート、
たぶんあの包帯巻いてた頃や。
【一言まとめ】
勢いだけの夢は止まった。でも準備は、ここから始まった。
【次回】
初級クラス来たはずやのに、置いていかれたオレ