
ジェシー・バックリーが主演女優賞を受賞した映画「ハムネット」。
観ていて、思い出したことがある。
今は亡き、同期のことだ。

芝居の研究所2年目、自分達はシェイクスピアのオムニバス芝居をやることになった。
自分はリチャード三世、彼はハムレットを選んだ。
「ハムネット」のクライマックスは、「ハムレット」の舞台シーンである。

「尼寺へ行け!」
真っ赤な顔で叫ぶ関貴昭の姿を思い出した。
明暗を分けて、彼は劇団に選ばれ、自分は途方に暮れた。
市川染五郎さん主演の「ハムレット」に彼が出演したのは、そのすぐ後だ。

お互いに難しい人間で、特に彼もややこしいので、度々衝突した。
喧嘩して何年間も会わず、偶然再会したのは、高田馬場駅のホームだった。
妻を紹介した。

それからは年末は必ず飲み、過去が嘘のように雪解けとなった。
会うと、また役者をやったらいいのに、と辞めた自分に気遣った。
親友を亡くして2年になる。