
ダルデンヌ兄弟の映画を初めて観たのは、今から20年以上も前。
「息子のまなざし」の公開時である。
人よりは映画を観ている方だった。

けれども、「息子のまなざし」は自分の知るどの映画とも違った。
被害者遺族と加害者の関係。
大仰な表現があるわけではないのに、重いものが心に残った。
ダルデンヌ兄弟がそれを貫いてカンヌ国際映画祭や多くの映画祭で賞賛されてることが分かった。
その後も一貫して、そのスタイルは変わらない。

正面からカメラを狙わないスタイルも新鮮だった。
主人公の後ろ姿ばかり。
彼が何を見て、何を捉えるのかを観客も共有する。
初の群像劇である。
彼女達は、それぞれ家族や貧困の問題を抱えている。
決して絵空事ではなく、世界中のどこにでもある現実が目の前にある。
ダルデンヌ兄弟はそっと寄り添い、彼女達と向き合う。
シビアな問題が山積みだが、ダルデンヌ兄弟の眼差しは優しい。
微かに見えた希望こそ、 5人の未来を照らしてくれるダルデンヌ兄弟の願いだ。




