
「決断するとき」でベルリン国際映画祭助演俳優賞に輝いたエミリー・ワトソン。
その演技を見たいと思った。
若い頃から、その大きな目で多くを語ってきたエミリー・ワトソン。
「レッド・ドラゴン」の盲目の女性や「パンチドランク・ラブ」の主人公の恋の相手も、鮮烈な印象を残した。
当時、エミリー・ワトソンが出演していたら、映画が間違いなく面白くなった。

「オッペンハイマー」でオスカーを獲得したキリアン・マーフィーは、原作「ほんのささやかなこと」を読んで映画化を熱望した。
初めてプロデュースも兼ね、マット・デイモンやベン・アフレックの協力も得て、「決断するとき」を完成させた。
アイルランドの女性収容施設マグダレン洗濯所の悪夢の物語である。
過酷な労働に虐待、入所者は逃れられない。
そこでの行いを正当化する、静かなるカリスマ。
苦悩し、どうすべきかと揺れ動く主人公。
キリアン・マーフィーは、昔から映画の中で沈黙し、歩き続けた。

「28日後…」では人が消えた街を漂い、「オッペンハイマー」でも原爆を開発したことで自問自答し、世界中が彼に注目した。
今回はアイルランドの歴史に切り込んだ。
オスカーの後に「レンタル・ファミリー」を選んだブレンダン・フレイザーもそうだが、そこに俳優の心を感じる。
地味だが、社会に訴える物語。今こそやるべきだと、キリアン・マーフィーの背中を押した作品。
頂点を極めても尚、挑戦し続ける姿勢は俳優の鑑だ。




