
安楽死をテーマにした映画は、近年も公開が続く。
フランソワ・オゾンの「すべてうまくいきますように」や、「ブラックバード~家族が家族であるうちに」、題材が題材なだけに、監督の真価が問われる。
手塚治虫さんのブラックジャックも、安楽死を遂げさせるドクター・キリコがライバルだったっけ。
同じ映画監督として、思うところはあるだろう。
スペインの巨匠ペドロ・アルモドバルも、ついにこの重いテーマに挑戦した。
「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」
安楽死を望む女性と、親友の最期の数日間の物語。
ヘンリー8世の憎悪渦巻くバトルを描いた「ファイアーブランド」も役者の演技が見物だったが、こちらも負けてない。
死にゆくティルダ・スウィントンと支えるジュリアン・ムーア。
多くを語らずとも、纏う空気で二人の関係性が伝わる。
重苦しいだけでなく、敢えてアルモドバルらしいずらしも用意し、ブラックな笑いを誘うのも特徴だ。
死にそうで死なない可笑しさや、間と呼吸、外し方が絶妙に上手い。
二人の女優の駆け引きも楽しめる。