
デヴィッド・リンチが78歳で亡くなった。
映画監督であるが、ずば抜けた才能を持つアーティストでもあった。
王道とは常に逆を走り続けた。

中学の時に映画館で観た「エレファント・マン」のインパクトと言ったら。
他とは違う強烈なもの、知らない世界を映画で教えてくれた。
あの時に出会えて良かった。

異質な映画、難解な映画、だけど怖かったり気持ち悪かったり。
カルトの帝王と呼ばれているが、徹底して自分の撮りたいものだけを撮り続けた稀有な人だ。
更に凄いのは、「マルホランド・ドライブ」や「ブルーベルベット」、「ワイルド・アット・ハート」等、映画祭での評価も高いことである。

他者と違う映画を撮るだけでも大変なのに、それで絶賛され、新たな熱狂を生む。。
ファンが後を絶たないのである。
毎回驚かされたが、いわゆる普通のロードムービー「ストレイト・ストーリー」を撮って我々を驚かせたこともある。

こういう映画も撮れるんだよ、リンチの底力を見た。
しかも味わいのある感動作で、我々を泣かせたのだ。
その後、またいつものリンチ映画に舞い戻る辺りもリンチらしい。
観衆に迎合することなく、我が道に拘った。
アーティストであり続ける辛さ、キツさもあっただろう。
刺激的なだけでなく、我々の心を揺さぶるのは、そんなデヴィッド・リンチの姿勢にもよるのだ。