つげ義春VS片山慎三 | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


漫画家つげ義春さんの映画化作品の最高傑作は、「無能の人」だろうか?
それとも「リアリズムの宿」だろうか?
「雨の中の慾情」が現在、上映されている。


つげ義春さんの奥様である藤原マキさんの文庫本を本屋で見つけたのは、20歳頃だ。
「幸せって何?」と問い掛けるその本は、自分の心を抉った。
幸せの在り方が分からず、自分が混沌としていた時期だからだ。


つげ義春さんの漫画と出会うのは、ずっと先。
独特のタッチ、独特の世界観、つげさんにしか描けない漫画。
癖になって虜になる人も多いだろう。


映画化作品は他にも「ゲンセンカン主人」や「ねじ式」。
製作者側がトライしたい気持ちは分かる。
しかも「さがす」の片山慎三監督である、覚悟を持って挑んだであろうことは推測出来る。


もちろんつげ義春作品ではあるが、片山慎三色が色濃く出た作品になった。
現場でかなり変えた箇所も多いようで、脚本からはだいぶ逸脱したよう。
つげ義春作品であるから、物語を追うというものでもない。


オープニングから心は掴まれる。
劇的なエロス。
あとはもういいじゃないか、つげ義春作品の映画化なんだから自由で。


まるで映画への挑戦状。
分かるとか分からないなんて、きっとどうでもいいのだ。
こんなラブストーリーもあっていいが、普通の物語を期待すると後悔するので要注意!