コッポラがいたアメリカ | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


「午前十時の映画祭」で上映を長らく望んでいた映画。
「カンバセーション~盗聴(1974)」
フランシス・フォード・コッポラの特集上映で実現した。


当時コッポラ全盛期、前作「ゴッドファーザー」で大成功し、続く「カンバセーション~盗聴」はカンヌ国際映画祭の最高賞受賞。
その次には、「ゴッドファーザーPARTⅡ」でまたまた絶賛される。
スティーヴン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカスと共に一時代を築いた。


それでもこの映画、もっと評価されていいのではないかと思っていた。
主人公はプロの盗聴屋。
依頼された仕事で、殺人事件に巻き込まれた男女の声を聞く。


サスペンス映画だが、この映画の凄いところは、主人公が逆に盗聴に追い込まれていく点である。
人をさんざん盗聴して金儲けを繰り返していた男の焦燥と怒り。
自分が盗聴されるのは嫌なようで、行動はエスカレートしていく。


アメリカンニューシネマの波に乗ってスターになったジーン・ハックマンが主演。
「フレンチ・コネクション」、「ポセイドン・アドベンチャー」、「スケアクロウ」と乗りに乗っている時の作品。
ジョン・カザールやロバート・デュバル、当時の上手い俳優が脇を固めている。


印象に残るのは、 依頼人の秘書役でまだブレイク前のハリソン・フォード。
この後彼は、「スター・ウォーズ」でスターの仲間入りをする。
ジーン・ハックマンとのひりひりした駆け引きは、今観ても色褪せない。


それまで終始淡々と演じていたのだが、後半に爆発していくジーン・ハックマンが怖い。
それを静かに見つめるコッポラの冷徹な演出もまた怖い。
改めて、これこそサスペンス映画の傑作である。