カトリーヌ・ドヌーヴ老いて尚艶やかに | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


世界的スター、映画スターという方達が、今も存在する。
映画がもっと盛んな頃に活躍し、現在も現役でというと、極端に数は少なくなる。
カトリーヌ・ドヌーヴは、そんな数少ない一人である。


「ベルナデット最強のファーストレディ」の観客は、高齢者も多い。
「シェルブールの雨傘」や「昼顔」をリアルタイムで観てきた、ドヌーヴと同世代の方達。
前回に続いて年齢の話で恐縮だが、彼女、現在81歳である。


凄いのは、美しかった60年前同様に、堂々と主役を張っていることだ。
演じているのは、シラク大統領夫人のベルナデット。
大統領の妻なのに爪弾きにされてしまった彼女の、新たな生き方を見つめたコメディ映画である。


カトリーヌ・ドヌーヴは年齢と共に、果敢に作品を選んでいった。
フランソワ・トリュフォーの「終電車」やフランソワ・オゾンの「8人の女たち」、最近では是枝裕和監督の「真実」、様々な監督とのコラボレートが彼女を女優として豊かにした。
新たな才能を自分で見つけていったのだ。


今回も、新人女性監督のレア・ドムナックである。
これまでの作品でも証明されているが、彼女はコメディ映画が得意。
現在も十分美しいが、三枚目、つまり崩すのもやたら上手いのだ。


居場所のなくなったベルナデットが、華麗に羽ばたくまでをユーモアたっぷりに演じている。
何せアラン・ドロンとジャン・ポール・ベルモンド、二大スターの相手役を務めた大女優である。
なのに、近年の出演作の多さにも驚かされる。


年齢なんて気にしなくていい。
前向きに生きれば、輝き続けられる。
カトリーヌ・ドヌーヴがスクリーンから、そう言っているようだ。