ダリオ・アルジェント動物3部作 | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


ダリオ・アルジェントの監督2作目は、「わたしは目撃者」。
これも今回の「ダリオ・アルジェント動物3部作」の上映に合わせて、出掛けた。
デビュー作の「歓びの毒牙」程ではないが、こちらも既にアルジェントらしい演出は確立している。


繰り返すが、アルジェントの魅力はアルフレッド・ヒッチコックの影響を受けたサスペンス演出と、しつこい程の恐怖演出、サービス精神。
その頂点が、「サスペリアPART2」と「サスペリア」だろう。
当時は日本でもホラー映画ブームが起こり、かなり話題になった。


「わたしは目撃者」は、盲目の元新聞記者と現新聞記者の二人が殺人事件を追う、バディムービーであり、サスペンス映画。
怖さはまださほどではないし、完成度も今一つだが、舐めるようなカメラワークとショック演出はキラリと光る。
ヒロインは当時フランスのアイドル女優カトリーヌ・スパーク。


盲目の主人公は、「欲望という名の電車」でマーロン・ブランドと共演し、オスカーを獲得したカール・マルデン。
ベテラン俳優が何に惹かれたのかは分からないが、新聞記者と共に事件を解決に導く美味しい役だ。
だが、犯人との攻防や展開があまりにチープで、せっかくの見せ場が勿体ない。


盲目の役で思い出すのは、「セント・オブ・ウーマン~夢の香り」のアル・パチーノや「見えない恐怖」のミア・ファロー。
自分が昔、舞台で盲目の役を演じた時は、「暗くなるまで待って」のオードリー・ヘップバーンを参考にした。
「暗くなるまで待って」は巻き込まれ方の傑作サスペンスで、盲目の役をこれ程活かした映画もそうはないだろう。


ダリオ・アルジェントは、この後さらに恐怖の世界へとのめり込んでいく。
残酷さが増し、人間の深い闇に切り込んでいく。
ヒッチコックの影響下ではなく、独自の路線を追求していくのである。


ダリオ・アルジェントの他のオススメは、「スリープレス」、「フェノミナ」、「シャドー」、「トラウマ~鮮血の叫び」辺りだろうか?
アルジェントにハマった人はアルジェントらしさに酔うだろうが、そうでない人には何を観てもさっぱりかもしれない。
こうして時折アルジェント作品が映画館で上映されるのは、ファンには堪らないのである。