
ダリオ・アルジェントの監督2作目は、「わたしは目撃者」。
これも今回の「ダリオ・アルジェント動物3部作」の上映に合わせて、出掛けた。
デビュー作の「歓びの毒牙」程ではないが、こちらも既にアルジェントらしい演出は確立している。
その頂点が、「サスペリアPART2」と「サスペリア」だろう。
当時は日本でもホラー映画ブームが起こり、かなり話題になった。
怖さはまださほどではないし、完成度も今一つだが、舐めるようなカメラワークとショック演出はキラリと光る。
ヒロインは当時フランスのアイドル女優カトリーヌ・スパーク。
ベテラン俳優が何に惹かれたのかは分からないが、新聞記者と共に事件を解決に導く美味しい役だ。
だが、犯人との攻防や展開があまりにチープで、せっかくの見せ場が勿体ない。
自分が昔、舞台で盲目の役を演じた時は、「暗くなるまで待って」のオードリー・ヘップバーンを参考にした。
「暗くなるまで待って」は巻き込まれ方の傑作サスペンスで、盲目の役をこれ程活かした映画もそうはないだろう。
残酷さが増し、人間の深い闇に切り込んでいく。
ヒッチコックの影響下ではなく、独自の路線を追求していくのである。
アルジェントにハマった人はアルジェントらしさに酔うだろうが、そうでない人には何を観てもさっぱりかもしれない。
こうして時折アルジェント作品が映画館で上映されるのは、ファンには堪らないのである。