「レザボア・ドッグス」が日本で劇場公開されてから、30年。
クエンティン・タランティーノ監督の衝撃的なデビュー作だ。
デジタルリマスター版で甦った。
タランティーノは28歳だった。
何が衝撃だったって、彼が映画を学んだ監督ではなく、映画オタクだったこと。
しかも、そんじょそこら辺のオタクとは比較にならない、超ド級のオタクである。
オタク監督が低予算で映画を撮った。
時系列の往き来する構成、残虐なバイオレンス、スタイリッシュな映像と音楽、先の読めない脚本の妙、センス。
これまでの映画の影響下にあるものの、新しい映画だった。
驚くことに、30年経った今観ても全く色褪せない。
自分は好きかと問われると、正直、そこまででもない。
若い頃に観て、残虐で息を呑む展開に辟易した一人だ。
バイオレンスが嫌いというわけでもないのだが。
それでも、後の多くの映画監督や関係者に与えた影響の大きさを考えると、映画の歴史上、無視出来ない作品である。
当時、売れない俳優だった自分が、タランティーノの影響を受けたバイオレンスを撮りたい監督と、何度も遭遇した。
実際、一発当てようとする監督と組み、自主製作で過激なアクションに自分も出演したりした。
俳優も然り、タランティーノ映画のスタイリッシュな演技に影響を受けた若者が、ゴマンといた。
監督第2作「パルプ・フィクション」の成功で、それはより顕著になった。
10作で引退すると言うが、次作で本当に引退するのだろうか?
映画のことになると少年のようになり、周りを巻き込んで撮った映画で、一躍時の人となった。
世界の観客が影響を受け、自分も撮れるのではないかと錯覚した。
みんなが映画に熱狂する。
映画ファンとして、これほど嬉しいことはない。