
1985年のフランス映画「冬の旅」。
当時、ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞。
しかし、日本での評価は低かった。
時代は移り、今回、再評価の声も高まり、日本で上映された。
住む所もなく、旅を続けて、行き倒れて凍死した若い女性。
彼女の最後の数週間を追う。監督は、女性映画監督の開拓者アニエス・ヴァルダ。
代表作に、「幸福」や「ジャック・ドゥミの少年期」。
「幸福」は、不倫を扱った怖ーい怖ーい、そこら辺のホラー映画以上に怖い映画である。
「シェルブールの雨傘」のジャック・ドゥミ監督と結婚し、その死後には「ジャック・ドゥミの少年期」を撮り、我々の涙を誘った。
ヌーヴェルバーグを生き、信念を貫いた強い監督であった。
それはこの「冬の旅」にも表れている。
主演は当時17歳のサンドリーヌ・ポネール。
この作品で最年少のセザール賞主演女優賞を受賞。
先日公開された「あのこと」でも、健在であった。
彼女が何故この道を選んだのかは語られない。
何処へ行くのかも語られない。
彼女はただ、ヒッチハイクを繰り返し、旅を続けるのだ。
ヴァルダ監督は、実際に旅をする女性を自身の車に乗せており、その女性が映画のモデルだ。
人とは違う生き方だが、彼女はそれを選んだ。
危険も伴い、他人の目もあるだろう。
不自由な時代の今、共感する声も多いはずだ。