
ファン・ジョンミンも観たい韓国映画に、いつも存在する俳優。
ソン・ガンホ、チェ・ミンシク、キム・ユンソク、イ・ビョンホン、その辺かな、目当ては。
ファン・ジョンミンは「国際市場で逢いましょう」とか「工作 黒金星と呼ばれた男」とか、ハズレのない俳優だね。
「人質 韓国トップスター誘拐事件」では、ファン・ジョンミン自身を演じ、誘拐されたファン・ジョンミンを演じている。
元はアンディ・ラウが自身を演じた中国映画、「誘拐捜査」だと言う。
こっちは未見なので、俄然興味が湧いたな。
今回のファン・ジョンミンを見て強く感じたのは、懐の深さだね。
誘拐犯が現れた時に、自分のことをけなしてくるんだけど、そこでもっと酷いことを言ってくれと頼んだと言う。
これって普通、有名な俳優ならきついでしょ?
結果、言われたのは、
「赤ら顔」とか、
「ブサイクなのに金持ちのスター」と言われる始末。
これを彼がそうさせたんだとしたら、器大きいよね。
しかも、そのシーンの緊張感が凄いんだ、怖いの、それはもうその台詞が活きてるよね。
全体的に映画はハリウッド的だ。
これが長編初監督作であるピル・カムソンは、アメリカ映画も強く意識してそう。
展開もどこかで見たような展開が、いくつも散りばめられている。
カーチェイスは完全に1970年代の映画でしょう。
CGではなく実際のカーチェイスにこだわった激しいアクションは、正に「ブリット」や「フレンチ・コネクション」を思い出させるリアルさだ。
本物のカーアクションを観てきた世代は、きっと唸るでしょう。
あと、もう一つ監督の手腕が光るのが、キャスティング。
あんまり有名な俳優を使ってないんだね。
誘拐犯リーダーのキム・ジェポムはお見送り芸人にも見えるけど、ミュージカル俳優で、ほとんど映画は出てない。
No.2のリュ・ギョンスもどこか菅田将暉さんに見えなくもないけど、これまたオーディションで選ばれた俳優だ。
皆それぞれ癖のある悪を演じてて、怖ーいのだよ。
ファン・ジョンミン以外は、オーディションじゃないかな、その良さが出てる。
94分という短い時間にまとめられ、サスペンスとアクションで彩られた映画。
クライマックスの雑な展開に「ん?」と思わなくもないけど、まあ、好きなんでしょう、アメリカ映画が。
そこも含めてニヤリとさせられる。