オードリー・ヘプバーン | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


マリリン・モンローのドキュメンタリー「マリリン・モンロー 瞳の中の秘密」が2013年に日本で公開され、イングリッド・バーグマンのドキュメンタリー「イングリッド・バーグマン 愛に生きた女優」がそれに続き、今度はオードリー・ヘプバーンである。
タイトル はそのまま「オードリー・ヘプバーン」。


マリリン・モンローは愛に飢え、イングリッド・バーグマンは愛を貫き、オードリー・ヘプバーンは愛にはぐれた女性。
「ローマの休日」でいきなり24歳にしてアカデミー賞主演女優賞を受賞し、大スターとなったオードリーだが、決して順風満帆な人生ではなかった。


ナチス占領下オランダでの幼少期、栄養失調、自分を捨てた父親に対する葛藤、バレエダンサーになる夢と挫折。
普通の生活、家族との暮らしを望んだが、2度の結婚の失敗。


現在ハリウッドで活躍するシャーリーズ・セロンも、バレエダンサーに挫折し、生い立ちも不幸であった。
それがスターの宿命なのだろうか?
オードリー自身の言葉で、戦争中の飢えや愛されなかった父親との思い出が語られる。


彼女は晩年女優としての露出は少なかったが、ユニセフ国際親善大使として表舞台に立つ。
否定的に見る人もいたが、彼女は現地へと足を向け、カメラの前に立ち、自分の言葉で悲惨な戦争を語った。
それはもちろん、自分が幼少期に経験した過去と重なったせいもあるだろう。


飢餓に苦しむ子供達を見て、このままではいけないと立ち上がったのだ。
彼女が今も愛されているのは、美貌や映画作品によるところも大きいだろうが、その生き様もあるはずだ。
映画館には多くの人、特に女性で溢れていた。


以前、盲目の青年役を自分が演じた時、最も影響を受けた演技は、「暗くなるまで待って」のオードリー・ヘプバーンであった。
あの傑作サスペンス映画の中で、彼女は事件に 巻き込まれ、追い込まれ、見えないハンデを背負いながら頭脳と勇気を持って立ち上がっていく。
演技者としても、もっと評価されて良かったのでは?と思う。
それは映画の中で、共演したリチャード・ドレイファスや映画監督のピーター・ボグダノヴィッチも語っている。

映画「オードリー・ヘプバーン」を観たら、誰もが彼女を愛さずにはいられない。