記憶をたどるたび | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


誰にでも選ばなかった道がある。
今歩いている道が選んだ道なら、誰もが選ばなかった道に対して、様々な思いを寄せる。
この道で本当に良かったのか?


主人公は若年性の認知症。
介護が必要であり、意思疎通も困難。
男は作家だった過去、メキシコで愛した女性、ギリシャへの一人旅の幻想を見る。


オスカー俳優のハビエル・バルデムが、あざとくない演技で現在と過去を往き来する。
「ノーカントリー」ではアカデミー賞助演、「ビューティフル」ではカンヌ国際映画祭男優賞、ヴェネチアも2度制覇してるハビエル。
しかも妻はペネロペ・クルスだ、格好良すぎるよ!
しかし役では醜態を晒し、どこまでも人間臭い。


娘役はエル・ファニング。
いつからだろう、妹が姉の地位を奪い去ったのは。 
ダコタ・ファニングが扉を開けたのに、すっかり今では妹が人気、実力共に上回ってしまった。
この役も複雑な役だ。


娘は揺れている。
父親を置き去りにするかどうかで。
娘にも大切な仕事があり、自分の人生を生きなければならない。
しかも目の前の父親は、かつて自分達を捨てて去った男だ。 


監督は娯楽よりも作家性を重視する女性、サリー・ポッター。
「耳に 残るは君の歌声」や「オルランド」等で評価されている監督だが、今回は弟の介護をした経験を元に映画を製作した。
ドラマ性には欠けるので、少し物足りない気もしたがどうか?