
「TOVE」
ムーミンの生みの親トーベ・ヤンソンの物語だが、ムーミンをイメージして観ると、かなりギャップが大きいかも。
可愛らしいムーミンというキャラクターと我々がアニメで親しんだ世界観、そこからは彼女の人生が決して繋がらない。
隠されていた真実の物語だ。
自分の部屋には、ゴジラやウルトラセブン、デビルマン、ゲゲゲの鬼太郎等、フィギュアが溢れている。
中にはムーミンもあって、スナフキンがお気に入りだ。
今年初めにはムーミンバレーパークにも出掛けている。
その時には、トーベ・ヤンソンにも大いに興味を持った。
この映画にはムーミン誕生秘話があり、トーベ・ヤンソンの知られざる人生を垣間見るチャンスだと思った。
だが、これ程苦悩した人生だとは知らなかった。
トーベは孤独であった。
何より同性愛者であり、1940年代は同性愛が罰せられる対象であった。
その激しい想いは、舞台演出家であるヴィヴィカに捧げられていた。
報われないその想いが、淋しいムーミン谷の原風景となったのだろうか?
アーティスト一家に生まれ、父との確執を抱えながら自由に生きたトーベ。
今のジェンダーレスの時代だからこそ、彼女に共感する人も多いだろう。
そんな彼女からムーミンやスナフキン、モランやにょろにょろが生まれたのだ。
「TOVE」を観た後ムーミンを観たら、今まで観てきたムーミンとは赴きが違うかもしれない。
旅をするスナフキンも、魔物であるモランの存在も、「無駄じゃ無駄じゃ」と言うジャコウネズミだって。
傷つきながら自分らしく生きた彼女だからこそ彼らを創造出来た。
全てはトーベ・ヤンソンから生まれたのだ。