9時から5時まで戦争を | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


独特の世界観で観る者を見事に引きずり込む「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」。
演劇的でオリジナリティーに溢れ、癖になる。


川の向こうにある町と朝9時から夕方5時まで戦争をしている町。
川の向こうは怖いところ。
漠然と顔の見えない相手を恐れ、攻撃する町。


ユルい笑いと淡々としたリズムで新しい才能を開花させたのは、池田暁監督。
オフビートなタッチで戦争映画を作ってしまったのが、まず凄い。
そういえばアメリカン・ニューシネマの時代に、「マッシュ」なんて戦争を風刺した不思議な映画があったっけ。


この空気と間に、自分は完全にハマったが、当たり前の映画を当たり前に観ようとする方は置いてきぼりを喰らうかも。
彼の抜きん出ているところは、それでも戦争は恐ろしいと思わせてくれる点。
このノリできちんとそれを伝えられる才能が凄い。


アキ・カウリスマキやロイ・アンダーソンとの共通点も指摘されている。
昔観たアングラの芝居にもこんな作品があったような。
長編4作目だとか。
過去作も観てみたい。
もちろん次の作品も追い掛けていきたい。