映画を観て不快になれ! | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


「DAU.ナターシャ」を観て、人に何かを語りたい気持ちにはならない。
実験精神に富み、不快で退屈で、俺は何を観てるのかなと途中思った。
それでもベルリン国際映画祭は、この作品に銀熊賞を与えた。


ベルリン国際映画祭は最近攻め過ぎてる。
この作品の前年、金熊賞を受賞したのは「タッチ・ミー・ノット」。
これも娯楽性皆無で、体感時間の長い映画だった。


莫大な費用と15年という長い歳月、オーディション人数は約40万人、スケールの大きい企画だが、主要人物は少ない。
ウエイトレスのナターシャはフランス人科学者リュックと関係を持つ。
彼女はスパイ容疑をかけられ、厳しい尋問を受ける。


ベッドシーンもかなり生々しく、尋問シーンも激しく、間違いなく嫌な気持ちになる。
ワンカメでその描写を延々と映すものだから、逃れようのない不快な場所でそれをずっと見つめ続けなければならない。
自分が観た回にも途中退場者がいた。


映画は娯楽じゃなくてもいい。
芸術性が高いのは歓迎。
客に媚びる必要もない。
しかしここまで来ると、監督対自分との我慢比べみたいだ。
好みではないが、これも映画。
映画の表現は自由だ。
だから映画は素晴らしいのだ。