泣けるヤクザ映画 | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


西川美和監督の新作「すばらしき世界」を観ていると、驚く程「ヤクザと家族 The Family」と類似点があることに気付く。
13年振りに社会復帰したヤクザ(「ヤクザと家族」は14年服役)。
足を洗って普通の生活を送りたいが、社会はそうそう受け入れない。
特に現代では余計にヤクザが生き辛くなった。


それは似ているということではない。
同じ時期に公開している「ヤクザと家族」と「すばらしき世界」に、共通点が非常に多いということ。
「ヤクザと家族」が動なら、「すばらしき世界」は静。



よりによって出演者も重なる(たまたまだが)。
オープニングに登場する康すおんさんは「ヤクザと家族」でヤクザ役だったし、同じくヤクザで若頭だった北村有起哉さんは180度違う役所勤めの男。
二本続けて観ると面白いかも。


人生を丁寧に切り取る西川美和監督の演出は、役所広司さん演じる主人公が社会に思うように順応出来ない様を赤裸々に綴る。
原案は佐木隆三さんの「身分帳」。
「復讐するは我にあり」も有名だが、自分は「深川通り魔殺人事件」を読んだな。


人間の本質はそうそう変わらない。
変わりたくても変われない。
社会の見つめる目も同じ。
偏見や好奇の目がどこまでもついてくる。


西川美和監督だからこそ作れたヤクザ映画。
いや、ヤクザ映画とは違うヤクザを主人公にした人間ドラマ。
女性にもオススメ。
ベタだけど、ハンカチの用意を。