ひとつになれない家族 | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


映画「ひとよ(一夜)」の原作を書いたのは、円演劇研究所養成所時代の一期下の女性。
養成所はもう20年以上前のこと。
当時岸田今日子さんや渡辺謙さんが所属していた。


彼女は入って早くに辞めた。
自分のやりたいことが明確にあったからだ。
円にしがみついて、何とか所属したいと心底願っていた自分とは違う。
彼女は劇団を立ち上げ、成功した。
この映画に出演もし、映画を支えている。


監督は「凶悪」や「彼女がその名を知らない鳥たち」等、刺激の強い傑作を生み出し続けて来た白石和彌監督。
15年前の一夜の出来事によって狂わされた家族。
彼らの再会とは?


変わらぬ力強い演出。
俳優も皆、いい。
起きてしまった事実に翻弄されて生きてきた家族が、それでも生きていかなきゃならない。
そのどうしようもなさ。


それぞれ不器用で上手く相手に伝えられない。
それでも不器用なりに体当たりでぶつかり合い、家族を問う。
家族として。

優れた原作によって、また白石和彌監督の新たなる傑作が生まれた。