
「誰もがそれを知っている」のイランの映画監督アスガー・ファルハディや、「ファースト・マン」のディミアン・チャゼルとか、新作が公開されると、新作観たさにテンションが上がる監督がいる。
アスガー・ファルハディには「別離」や「セールスマン」、チャゼルには「ラ・ラ・ランド」「セッション」がある。
「ゴールデン・リバー」のジャック・オーディアールも大いに期待してしまう一人。
オーディアールはフランスを代表する監督で、賞の常連。
その作品の主人公は皆曲者揃い。
俳優も演技派が演じ、その曲者がますますアクティブに演じられる。
「真夜中のピアニスト」ではロマン・デュリス、「リード・マイ・リップス」ではヴァンサン・カッセル、「君と歩く世界」ではマリオン・コティヤール、輝かしい実績のフランスの俳優達が、オーディアールと組んで演技を絶賛された。
実際のスリランカ内戦の元兵士を使って撮った「ディーパンの闘い」はカンヌ国際映画祭パルムドールに輝いた。
俺はこの映画に打ちのめされたんだ。
前置きが長くなったが、新作「ゴールデン・リバー」は初めてハリウッドの俳優を迎えた作品である。
ジョン・C・ライリー、ホアキン・フェニックス、ジェイク・ギレンホール、このキャストが揃ったら、どんな化学反応が起きるか、映画ファンならお分かりだろう。
西部劇であり、黄金を巡るサスペンスでもあるが、オーディアールが手掛けるとそれだけで終わるはずがない。
ジョン・C・ライリーとホアキン・フェニックスが殺し屋兄弟と言うのも魅力。
ホアキンの本当の兄は故リバー・フェニックス、ライリーとは似ても似つかないが。
ジョン・C・ライリー自身がどうしても映画化したかった作品。
本人が主演となったことで、ますます深みが増した。
映画のラストがこれまたオーディアールの映画らしい。
美しいエンディングである。
ヴェネチア国際映画祭銀熊賞受賞。
